Tempo: Music for Climate Action (音楽による環境運動)は私が今特に意義を将来性を感じているプロジェクトです。
物理科学者・社会科学者・音楽家という3つの分野の専門家が集まり、音楽効果を有効利用する事によって環境問題に対する関心と行動を喚起する事を目指しています。地震学者として防災運動に多大な貢献をしてアメリカのお茶の間で有名になったカリフォルニア工科大学のルーシー・ジョーンズ博士がリーダーを務めるほか、リスク認識研究では第一人者であるオレゴン大学の社会心理学者ポール・スロヴィック博士、そしてカリフォルニア工科大学のレズニック・サステイナビリティ―・センターの物理学者などが発起人です。他にもハリウッド映画音楽の作曲家や、民族音楽をベースとした合唱曲で有名なアメリカ人作曲家、さらにクラシックピアニストとしての活動と同時に脳神経科学の視点から音楽の効用を研究している私なども一年ほど前から企画・発展に関わってきました。
下はTempoの為に製作された、私と合唱音楽作曲家の対話です。なぜ音楽が環境運動に有効なのか、話しています。(日本語字幕付きです。)
米日財団が出資をしている事もあり、アメリカの独立主義とは別の地域観念や世界観を持っている日本からも物理科学者・社会科学者・音楽家が多く参加しました。シンポジウムでは災害ボランティア活動の研究を神戸大震災以来続けておられる、社会心理学者の渥美公秀教授からのプレゼンテーションもありました。その他、日本のジャズ界やクラシック業界などでご活躍の音楽家、お琴や三味線などの邦楽をご専門になさる方やその研究家、そしてまたWCS(野生生物保全協会)の方などのご参加もありました。
3時間に渡るシンポジウムは次の様な時間表で行われました。
- ルーシー・ジョーンズ博士からの開会のご挨拶
- セッション① 感情:危機に関する意思決定を司る感情と、音楽がその感情にどう働きかけられるか。
- 二つのプレゼン(字幕付き)
- ポール・スロヴィック、心理学者、意思決定研究、オレゴン大学
- 平田真希子、ピアニスト、脳神経科学研究
- 音楽の演奏(グレタ・トューンべリの2019年の国連スピーチを基にした合唱曲「How Dare You!(よくもまあ!)」
- 40分間のブレイクアウト・セッション(4つのグループに分かれての、プレゼンとテーマに関しての意見交換)
- (5分の休憩)
- セッション② ストーリーテリング:必要な変革を起こす為の協力体制を結束するのに必要な、環境問題解決や共同体に関するストーリーテリング
- 二つのプレゼン(字幕付き)
- ニール・フロマー、レズニック・サステナブル・インスティテュート、カリフォルニア工科大学
- 渥美公秀、社会心理学者、大阪大学
- ハイチでの防災テーマソングの普及の効果と、そのテーマソングの演奏。
- 35分間のブレイクアウトセッション(4つのグループに分かれての、プレゼンとテーマに関しての意見交換)
- ルーシー・ジョーンズ博士からの閉会のご挨拶。
- 最後に「歌にして歌おう」という世界結束を呼び掛けるモイラ・スマイリーの合唱曲の演奏。
お疲れ様です。
すごい祭典です。
そのメンバーに選ばれたことは、必然です。
越し方の専心が実り、今は、収穫の時期です。
小川久男