タングルウッドに着いた翌朝、タングルウッドの総監督と、ピアノ・プログラムの主任、そして今年の招待研修生として来たピアニスト12人の、ミーティングが在った。「3、4世代前までは、ソリストはソリスト、室内楽奏者は室内楽奏者、そして伴奏者は伴奏者と、はっきりと分業されていました。しかし今の世の中、プロの音楽家として生きていこうと思ったら、独奏も、共演も、伴奏も、オケの一員として演奏することも、教えることも、さらには音楽について書いたり、喋ったりすることも全てが要求される世の中です。またレパートリーもバロック初期、あるいはもっと前のものから近代まで弾けなければいけません。タングルウッドでは2ヶ月間にこの全てを少なくとも味見してもらう、と言うプログラムを試みました。今までの経験レヴェル、得意、不得意に関係なく、普段の自分では挑戦を尻込みするような未知の領域にも挑戦してもらいます。勿論、得意分野で輝く機会も十分持ってもらうつもりですが、新しい経験に戸惑うことも在るでしょう。でも将来振り返って、あの時無理してやらされて良かった、と思ってもらえると信じています。」
今夜はアリアのクラスが在った。メトロポリタン歌劇団の常任ピアニストから、オケのピアノ編曲を弾く時の心構え、歌手を伴奏する時の心構え、フランス、ドイツ、イタリア、そして18世紀、19世紀、20世紀のそれぞれのスタイルに付いて、色々教わる。12人のピアニストの半分は声楽との共演や伴奏を専門に勉強、あるいは職業にしている。しかし、私を含む残りの半分は歌手との経験はほとんどない。そのどのレヴェルの人達にも有効な一般的、あるいはとても技術的な知識を、一人ひとりにアリアの伴奏部分を弾かせながら教えてくれる。びっくりするのは、彼らの情熱だ。それぞれのアリアの背景であるオペラの筋書きや、登場人物の性格描写をしながら、時にはほとんど泣きださんばかり、時には感極まって歌いだしたりする。そして、本当に楽しそうに教えてくれるのである。予定されていた2時間を多いに上回ってクラスが終わったのは夜の10時。何だか美味しいお食事をお腹いっぱい頂いた様な、ほっこりとした気持ちになって帰って来ました。
お話を聞いていると、タングルウッドのやり方はとても興味深いです。知的好奇心を刺激されますね、学校式の良さでしょうか。独学ではモチベーションの維持がとても大変、わたしはいつも怠けの誘惑に負けています。
お洒落をしましょう、ときどき。自意識過剰は自分が客観的に見えているということだから、自己変革の糸口がみつかるかもしれないですね。もし変わってみたい、と思うことがあればですけど。
>abbros.kawashimaさん
私の翻訳が余り良く無かったのですが、タングルウッド総監督は「日常的に持っている自分のイメージを脱皮する機会、より大きくする機会を与えたい」と言う風に言ったのです。お洒落もそうですよね。今日はちょっと頑張って、スカートを履いています。成長、進化、大いにしたいですから!
マキコ