日本を振り返って
ロサンジェルスに帰って来ました。 地球の自転の為(と聞きました)、日本へ行く時と、日本から帰るときでは飛行時間が違います。 行きは12時間近い旅でしたが、帰りは9時間でした。 そして、時差の関係で、飛行機は29日の午後4時50分に日本を発ったのに、 ロサンジェルスに着くのは29日の朝になります。 何度旅をしても、不思議な感覚に付きまとわれます。 たった9時間飛行機の中に座っているだけで、日本からロサンジェルスに来てしまう。 私の中では二つの独立した別世界が、一日の間に行き来出来てしまう。 アメリカの学年度は9月から5月までですから、私の日本の滞在はいつも初夏か夏の終わりが多く、 秋の日本は実に20年ぶりくらいでした。 28日にリサイタルをした神奈川県民ホールは目が覚めるような銀杏並木の前にあって 私は本当にびっくりしました。 ロサンジェルスに銀杏は無いと思います。 NYにはありますが、ああいう風に並木道になっているところは知らないし、 それに土が違うのか、あんなに鮮やかな明るい黄色は見たことが無いと思います。 それから雲の形とか、通りすがりの親子の会話とか、食堂の看板とか、そう言う小さなことや、 どんな住居もセントラル・ヒーティングが完備しているアメリカでは考えられない、 朝起きたら身体がホカホカで、顔だけ冷たい感覚とか、 母と父が私より早く起きていて、下で朝ご飯を食べている音とか、 石油ストーブがつく「グオ~っ」と云う音や、音と一緒噴出される温風や、 そう言うものが、今朝は私の現実だったのに、今はとても遠いところにある。 ロサンジェルスは摂氏20度、快適です。 今週の木曜日にはオーボエのリサイタルで演奏することになっています。 明日からまたレッスンと、リハーサルと、友達に囲まれた日々が始まります。 私はせいぜい早寝をして、時差で夜中に目が覚めても、 明日からまたきちんと楽しく修行の道を歩いていけるようにします。