音楽人生

食う食わぬ、ジレンマ毎回、本番当日。

本番当日、どれだけの何をいつ食べるか、と言うのは割と切実な問題である。 演奏と言うのは、結構スタミナが居る。 2時間、集中を切らさずにベストを尽くしたい。 その為には肉が良いと言う人、肉はだめと言う人、 炭水化物を推奨する人、炭水化物の中でもパスタ、ピザ、米、パンととても特定する人。 砂糖がダメ、カフェインがダメと言うのは割りと一環している。 水は気を付けてがぼ飲みする。 しかし、食べられるのは余裕がある方らしい。 私はそういう問題は至ってないが、 神経質な人は本番当日食べられない、と言う人もいる。 朝から何も口にしないで本番を乗り切るのはつらいだろう。 大きな本番の前は数週間、食が細る、と言う人もいる。 私にはまったく縁のない問題である。 そしていつ食べるのか、と言うのも問題。 本番直前に食べると、消化に血が回ってしまい、集中が出来ない。 と言うことで本番前の夕食は抜く人が多い。 じゃあ、何時間前なら良いのか、と言うのはすぐにお腹がグーグー言う私には 非常に切実な質問。 本番直前の3時間前なら、と言うのが一般的だが、 しかし本番は大抵2時間。 本番が終わったら最後の食事から5時間。 ペコぺこではないか… と、言うことで私は個人的には本番前の朝食と昼食はかなり食べる。 そして本番直後のお祝いの宴は非常に美味しく沢山いただく。 音楽家に食いしん坊が多いのは、こういう事情があるのである。 昨日は本番成功の後、お祝いで本格派イタリアンをごちそうになりました。 美味しかった~!

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朝ぶろが浴びれる贅沢

アメリカに居ると本当にお風呂に浸かる習慣から遠のく。 何年もシャワーだけで過ごすなんて結構普通にあるし、 第一風呂桶が無い、シャワーだけのアパートも貧富の差関係無く沢山ある。 セントラルヒーティングが完備していること、 洋風の風呂桶は浅く、すぐ覚めてしまって「浸かる」「湯を愛でる」と言う文化が無い事、 色々理由はあると思うけれど、 私はやっぱり日本人なのだろうか? 最近寒くなって来て、 何だか布団から出るのが後ろ髪をひかれるようになって、 自分を元気にするつもりで朝ぶろに入ってみたら、これが素晴らしかった。 それ以降毎朝、マイブーム。 気持ちよい! 元気になる! それにしても、音楽人生と言うのは本当に特権階級だなあ、と思う。 お金は無いかも知れないが、自由になる時間がかなり多い。 朝は朝ぶろにゆっくり浸かれるし、気分が乗らなければ練習は後回しでも良い。 ゆっくり朝ごはん作ったり、ブログ書いたり、物思いにふけったりできる。 そして何より、仕事が自分が大好きな音楽だ。 幸せ。

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指導の難しさ:飴と鞭

昨日は久しぶりにオーケストラのリハーサルを聞きに行った。 指揮をかじったことも在るので、オケのリハーサルは一時期はかなりの頻度で通っていたが、 それを辞めた理由の一つは指揮者と奏者の関係と言うのが見ててつらかったと言うのもある。 この映画予告編は一年ほど前にブログに載せた記憶があるが、もう一度載せてみよう。 勿論、これはジャズバンドの話しだし、フィクションだし、映画だし、 これがこのままクラシックのオケ業界に当てはまると言っている訳ではないけれど、 でも指揮者が奏者に対して持つ権威、そしてだから起こり得るパワハラと言うのは かなり切実な問題だと思っている。 昨日見た指揮者は有名で、非常に効果的。 特に大学生レヴェルのオケを教育指導するのに一目置かれている。 しかし彼は昨日はかなり焦っていた。 コンサートまであと2回しかリハーサルが無いのに、 オケのモラルが落ちている。 実力の半分出ているか。 感謝祭とクリスマスの間の宙ぶらりんの時期。 学期の最終ダッシュ―期末試験、ペーパー提出、休暇の計画… オケの団員は青春真っ只中の学生なのである。 オケが必ずしも人生の最大重要事項ではない。 恋愛問題に悩む子も多いだろう。 家庭が複雑な子も居るだろう。 将来に悩む子は、ほとんどだろう。 そういう80人を2時間半、こちらに向かせて精一杯集中させるのだ。 そして自分の人生がかかって居るかのようにベストを尽くさせる。 並大抵の事ではない。 脅しや威嚇や皮肉が出るのも、分からないでもない。 厳しい道を選んだ音楽家の卵たち。 これから彼らが直面するであろう困難への訓練、と思えば愛情でもあり得るのかも。 でも、どこまでが愛情でどこからがパワハラなのか。 厳しい競争社会の中、セクハラ、パワハラが歴史的に横行する狭き門の業界への準備期間中 本当はこうあるべき理想郷、お互いへの尊重や応援を全面に押し出す教育と言うのも 良いのではないか?

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身近にある飢えの問題。

11月はありがたい事に毎週末、音楽的にとても大事に思う演奏会を弾くことが出来ました。 それに続いて、12月の最初の週末、金曜日の夜7時から出演する演奏会は 面白い趣向です。 入場料の代わりに、10ドル(約1200円)分の、保存食を持って来てもらうのです。 缶詰、赤ちゃん用の粉ミルク、乾燥パスタ、乾燥食品、豆、米などの穀物、など。 飢えの問題は難民キャンプやアフリカなど、遠い国の事と思いがちですが、 実はアメリカでも日本でも多いにある、見えにくいだけの現象のようです。 ヒューストンでは特に貧困は地域が限定され、 中産・上流下級とは距離があり、寄付の余裕がある人々の多くは気が付かない。 しかし、こういう地域の貧困は本当に深刻で、車を持たない人も多い。 しかし、こういう地域にはスーパーも2キロ半径に無く、 ヒューストンの公共交通機関はあまりにも頼りなく、 買うお金が無いと言う問題だけでなく、 容易に買いに行く手段がまず、無かったりする。 今度のコンサートで集める食料品は全てTarget Hungerと言うNPOに寄付されます。 このNPOはヒューストン界隈で実に3万8000人に食料品を届けるのだ、とか。 今朝初めてのリハーサルで、この演奏会を企画したトランペット奏者が語ってくれました。 私は多いに賛同! こういう演奏会に音楽を提供できることを誇りに思います。

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演奏後に皆で抱き合って泣きました。

昨日の「時の終わりのための四重奏」の演奏中、 私はこんなことは本当に初めてだけれども、何回か泣きそうになってしまった。 チェリストは泣いていた。 お辞儀の時は本気で泣いてしまい、楽屋で4人で抱き合って泣いた。 「時の終わりのための四重奏」が 第二次世界大戦中にフランス兵士としてドイツの捕虜収容所に居たメシアンが 収容所の中で書いて、初演した曲だ、と言う歴史的事実と 先週のパリ、今週のマリでのテロ惨事、 そして演奏前に 「負の力に抗って創造を続ける世界の全ての人々のためにこの演奏を捧げます」 と言った事、そういう事も今回の感動の理由の一部だったかも知れないけれど でもやっぱりこの曲は部屋を一体にする、 パワフルな、祈りのような曲なんだなと実感した。 お客さんが泣いていたかどうかは分からないけれど、 ゆっくりと始まった拍手はいつまでもいつまでも続き 一人ひとり立ち上がって最後は総立ちになってくれた。 音楽家になってよかった。

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