オケ・ピアノ
7:30 起床、身支度、朝食 8;30 キャンパスに移動、練習(ピアノとチェレスタ) 10 ウェスト・サイド・ストーリー、リハーサル 12;30 復習、昼食にお友達がプレゼントしてくれたカップヌードル、款談 1;30 マーク・モーリス、声楽公開レッスン 3;30 ちょっと練習 4 28日のピアノ・アンコール曲コンサートの打ち合わせ、通し稽古 5 寮に帰る、夕食、練習 7;30 キャンパスに移動、散歩、ブラームスのドイツ・レクイエムbyボストン交響楽団(レヴァイン指揮) オケのピアノ・パートと言うのは、私は今まで何度か弾かせてもらっている。 一番最近では、バルトークの「中国の不思議な役人」のピアノ・パートを学校のオケと弾いた。 でも、オーケストラのレパートリーでピアノ・パートが出てくるのは20世紀以降の曲だけだし、 (ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」、ショスタコーヴィッチの交響曲一番、などが有名) ピアニストと言うのは一般的にソロ中心の教育を受けてきているので、 オケの中で弾く、と言う経験は他の楽器の人たちに比べてはずっと少ない。 私は演奏の機会に信じられないほど恵まれてきたので、 実は協奏曲の独奏の方がオケのピアノ・パートの経験よりずっと多い。 しかし、協奏曲とオケのピアノ・パートは全く正反対の視点で弾かなければいけない、 と言うことを今日改めて確認した。 協奏曲は、音楽学者のD.F.トヴィーに言わせると 「一般社会と個人の対立を描く、という構図が観客の気持ちに訴える」 と、言うことになる。 独奏者は、オーケストラ全部の音を抑え込むような音量、存在感、と主張を持つことを目指す。 しかし、オーケストラ内での演奏は音を溶け込ませ、 スポットライトの当たる数小節のソロ以外は、できるだけ目立たないことを目指す。 ピアノの場合、発音が他の楽器よりずっと早いので、 気をつけて、周りの音を良く聴いて、アタックのタイミングをはかる。 オケのピアノ・パートは久しぶりだったし、 大好きな曲の演奏に参加できることで興奮気味だったので リハーサルの最初では全然うまくいかなかったが、 でも、だんだん冷静に音を聞いて、ちゃんと適度なタイミングで弾けるようになってきた。 そうすると、自分の音がいつも聴いているのとは全く違って聞こえてくる。 はじめは、だんだん自分の音が聞こえないような、不安な気持ちになってくる。 でも、そのうちに、自分の出す音が他の楽器の音と一緒になって 何十倍も、何百倍もの深み、音の伸び、音色をもったような、 素晴らしい気持ちになってくる。 凄い一体感だ。 マルタ・アルゲリッチは「ソロは寂しい」と言って、 この頃は室内楽の演奏を中心に演奏活動を行っている。 私は、あんなスーパースターじゃなくて、良かったなあ、と思う。