演奏

チャリティー演奏会で音楽と社会の接点を再考慮。

東日本大震災の6周年記念だった昨日、ヒューストン日本人会に主催して頂き、ご多忙の中総領事にもお越しいただき、地元のFort Bend Music Centerに会場をご提供頂き、沢山のボランティアの皆さまと6人のゲスト演奏家にご協力頂き、そして思いがけない人数のお客様にご来場いただき、昨晩は本当に盛況な会で盛り上がりました。お陰様で$1,511の寄付金と、東北と熊本への応援の寄せ書き、そして集合写真を現地にお送りすることが出来ます。でも何より会場一体となって東北と熊本の惨事を振り返り、復興状況に思いを馳せ、そして音楽を通じて共感の気持ちを現地に放てたことが、本当に嬉しかったです。 総領事と司会を引き受けてくださった日本人会の副会長が2011年の3月11日を振り返って思い出を語ってくださいました。私も2011年の3月11日をありありと思い出せます。 アメリカ人の尺八奏者の手向けの演奏で、会場はまず音の世界に引き込まれました。佐々木麻衣子さんと私は「音楽は世界の共通語」と言うメッセージを体現した活動をしていきたいと思っています。その為にもアメリカ人のShawnさんが演奏してくれたのは嬉しかったです。 次に私がスライドで東北と熊本の惨事当初を振り返り、その後の復興状況と復興に関わる団体のご紹介をしました。 そしてドビュッシーの「版画」から「Pagodes」の演奏。電気を暗くして「遠い所の遠い人の事を想って聞いてください」とお願いしてから演奏したら、皆さん本当にシン!として聞き入ってくださいました。小さなお子様も多くご来場だったのですが、すごい集中力でした。次のリストのハンガリー狂詩曲では生まれて初めての試みをいたしました。会場の皆さまに『この曲はお客様の参加を想定して書かれています。掛け声や手拍子や演奏中の技に対する拍手など、一般的にはクラシックではタブーとされている事を今回は思いっきりしてください」と頼んで、演奏を始める前にみんなで少し練習したのです。そしたらみんな思いのほか乗ってくださり、くらい付く感じで「どこで何をしよう!」と言う感じでワクワクした雰囲気ですごく盛り上がり、私もうれしかったです。 休憩をはさんで後半は6人の若いゲスト・アーティストのハープ、クラリネット、歌の演奏がありました。その後、麻衣子さんと私でブラームスのピアノとクラリネットのためのソナタの2番を演奏。3楽章からなる、かなり重厚な曲ですが、子供さんも含め皆さん本当に一生懸命聞いてくださいました。 音楽と言うのは共感をもたらすものです。公開演奏会の歴史と同じくらいチャリティー演奏会の歴史が長いのは当たり前だ、と思います。音楽を通じて時空を共感し、そして想像力を触発されて自分以外の人に思いを馳せ、その人達のために宗教や文化や言語や国籍の違いを超越して、一緒に祈るーそういう場を提供する、と言うのが音楽が出来る社会貢献なのだ。 これに気が付かせてくれたのは2011年の東日本大震災を受けてヒューストン日本人コミュニティーやロスの日本人コミュニティー、そして日本で行ったチャリティー活動です。そしてこのチャリティー活動を通じて、私は素晴らしい友情とコミュニティーに恵まれることが出来ました。音楽は人をつなげる、人をつなげなければ、どんなに演奏技術に長けていても音楽では無い、そう思うようになりました。 これからも、こういう活動を続けていきます。    

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明日また、ゴールドベルグを弾きます。

2011年にCD「Goldberg Variations」をリリースしてもう5年以上が経ちました。 今またGoldbergの演奏を明日に控えて、この5年の重大さを感じています。   Goldbergは壮大で、美しい。 私が想像する「天球の音楽」とは、Goldberg Variationsです。 明日の会場は大学病院。 特に癌研究と、アメリカで唯一芸術と医療の協力を研究している事で有名な Houston Methodist Hospitalのコンサートシリーズです。 精一杯の生と死が入り混じる会場の概念には意義を感じて奮い立ちますが、 同時に病院のロビーと言う事で人の行き来も激しく、ノイズも多い。 ピアノも最高とは言い難い。   その中で、一生懸命演奏をします。 その為の、明日の演奏に向けての覚書とイメトレ。   組み合わせになっている変奏曲はバッハの直筆が入っている初版のファクシミリで見つけた このサインが変奏曲の終止の所にある時は、 「テンポに関連性を持たせて次につなげよ」 と言う意味だと解釈しました。     最初のアリア。 第一音で、イメージ的に宇宙を開かなければいけない。 ベースを響かせて、メロディーをその上に乗っけるイメージで。 倍音の共鳴をイメージ化する。   変奏曲1. 鍛冶屋。 ピサゴラスが鍛冶屋が金属を叩く音を聞いて 協和音が数字の比例を体現することを発見したと言う伝説をバッハは多分知っていた。 力仕事にまつわる重さと勢いのリズム。   変奏曲2  2.左手のLower neighbor(下隣接トーン)の繰り返しはおばあちゃんのゆっくりとした相槌。 「おや、そうかい」を優しく。   変奏曲3 -> 変奏曲4 -> 変奏曲5 3は水。たゆみなく流れる(”涙も泉も私の兄弟~♪”) 4は土。しっかりと、そして石がバウンスする。 5は火。踊る。ラップとかビートボックスのクールさと緊張感。   変奏曲6 宮沢賢治の「雁の童子」 – 不思議なお話し。 長調でも下降するメロディーの悲しさを醸し出す。   変奏曲7 -> 変奏曲8 7.スナフキン「風の吹くまま、気の向くまま」 8.子供が笑いながらスキップ

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ドガー展で演奏しました。

今週末はヒューストン美術館(Museum of Fine Arts Houston)のドガー展で演奏しました。 ドガー展は物凄い人気で、今日が展示最終日のはずでしたが来週末まで延期になったほど。 昨日は美術館付きの駐車場が全て満杯で、かなり離れたところに駐車してヒールで走って ちょっと泣く思いでした。   でも会場についてびっくり! 演奏開始までまだ30分以上あると言うのに、もうすでに半数以上の席が埋まっているのです。 ドガーの絵に囲まれて、ドビュッシーやラヴェルを弾くと言うのはまた乙な物です。 そして、聴いている人々が本当にかぶりつくように聴いてくれるのです。 やはり絵を見てインスピレーションを得てから音楽を聴いているので 聴衆もより集中力があるのでしょうか? かなり小さなお子さんも沢山沢山いたのですが、 皆本当にじーっと一生懸命聞いてくれ、質問も沢山出ました。 演奏後には聴衆が私やオーボエ奏者を囲んで楽器についての質問をしたり 色々感想を聞かせたりしてくれて、普通の演奏会とは一味違った まさしく交流、と言った感じでした。 私はこういうカジュアルな短い演奏会で子供連れの家族が沢山来てくれた事が 本当に、本当に嬉しくて、子供たちにピアノの構造の説明などをして 大サービスをしてしまいました。 子供は本当に素直に喜んでくれるからスっごく好きです。   私も演奏の前後にインスピレーションを沢山もらいました。 美を愛でると言う行為はそのまま、自分を愛でる、周りの人間を愛でる そして世界を愛でると言う事に直接つながる。 だから、大事なんだと実感できた週末でした。 幸せでした。 音楽人生万歳!

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野外コンサートとラテン系クラシック

土曜日のシーズンオープニングに続き、 日曜日は同じ室内オーケストラの同じ演目で野外演奏をしました。 会場はライス大学のすぐ北にあるヘルマン・パークのミラーシアター。 ヒューストン・シンフォニー、バレー、グランドオペラなども出場するほか、 シェークスピアなどの演劇、ブロードウェーミュージカル、 そして和太鼓など民族色の強いグループも出場します。 出し物はすべて無料。 無料ではあっても配布されるチケットを受け取って入る 屋根のついたちゃんと椅子に座って鑑賞する場所と、 その外にある広い芝生でピクニックなどをして鑑賞する場所があります。 冬の寒い時期以外はほぼ毎週何等かの出し物があります。 私も和太鼓やシェークスピアやミュージカルなど、何回か見たことがあります。 こう言う野外劇場にはもちろん問題も、あるのです。 雨など、気候がすぐれないときがある。 音をどうしてもスピーカーで通さずにはできないので、アコースティックの音楽には不利。 チケットをちゃんと受け取って屋根付きの場所で真剣に鑑賞したい人には 芝生でピクニックしたり、子供を走り回らせたりしている人の雑音は気になる。 でも、逆に良い点と言うのが盛りだくさん! 例えば、チケット制の屋根付き・椅子付きの部分は障がい者用の対策が万全。 実際にこの会場で何度も車いすやストレッチャーの重度障がいの方々をお見受けして 感銘を受けました。 それから子供が、自由に音楽を楽しめる。 「静かにしなさい!」と言うピリピリした雰囲気が無いだけ、 大人も子供が少々はしゃいでもおおらかな気持ちで楽しめます。 屋根付きの場所でもリラックスしてビール缶など片手に姿勢もだらしなく楽しんでいる人。 中にはお弁当を食べている人もいます。 そして何より、こういう会場で本物を無料で提供するのは、すごい! 普段演奏会ではあまり見かけないような人たちを沢山見かけます。 例えば子だくさんの家族。 いかにも移民と言う人たちや、いかにも留学生、いかにも年金暮らし、と言うような 演奏会のチケットが経済的に負担のような人たち。 そういう人たちが本当にリラックスして楽しんでいるのを見るのはうれしいです。 そして一番うれしかったのが、今回の演目のトリを飾ったラテン系の音楽で 皆が口笛を吹いたり、踊りはじめたりして、ものすごく盛り上がったことです。 この曲です。 生憎の雨で、客足は少し寂しかったものの、 土曜日の盛装の演奏会とはまた違った醍醐味を味わいました。 ヴィヴァ、音楽!

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オケのコンサートに乗る日

独奏のコンサートと違って、オケのコンサートに乗る日は緊張感が少ない。 その代り、ソロの練習や、論文執筆、そして生活のペースダウンをしないで いかに演奏をこなすか、と言うことが重要事項になってくる。 今日は朝は6時起き。 夜の本番はシーズンオープニングのギャラなので、 後でオケ付きのドーナー(寄付してくださる方々)をお招きするパーティーのイベントにも出席。 その時を見込んで朝の身支度はいつもより入念に。 そして朝食を取ったあと、8時過ぎに学校の練習室に入り、練習開始。 9時半まで練習して(11月の現代曲リサイタルの譜読み) 10時開始のオケのリハーサルに向けて、出発。 会場には10分前には入ったのですが、すでに奏者はほとんど全員着席状態。 素早くハーモニアムのチェックや、最終の打ち合わせを行い (音量の微調整をするために、ふたの開け閉めを担当するアシスタントがそばに座ることに) 10時ぴったりにリハーサルが始まります。 11時には私の乗る曲はリハーサル終了。 昼食は外で食べることにします。 どんなに小さな本番でも、やっぱり本番の日はいつもより多めに食べます。 『古き良きアメリカ』風の「House of Pies」と言うライス大学の学生を始め、 この地域一帯に愛されている24時間営業のお店でポーチドエッグとトーストとポテトの朝食セット。 すごいボリュームです。 食べながら、することのリストを作ります。 書くべきメール、整理するべき郵便物、払うべき請求書、スケジュールするべきレッスン… 図書館でも、楽譜を借りたり、録音を聴いたり、することのリストはどんどん長くなっていきます。 お腹とリストが一杯になったらお家に帰って、一つづつリストの項目をチェックオフ! 一段落したら、学校に行ってもうちょっと練習して、 その後入念におしゃれをして、5時に開演に余裕を持って着くべく4時には出よう! 5時開演、7時終演。 終演後は近くのカントリークラブでのギャラに出席です。 今日は幸い、気持ちの良い快晴です! それにしても面白いのは こういうスケジュールだから見える、色々な奏者の、化粧を落とした素顔。 今夜ばっちりお化粧することを見込んでか、 今日の朝のリハーサルは皆ほとんどすっぴん。 自分があまり化粧をしないため、私は男性のように誰がどのような化粧をしているか、疎い。 ところが、すっぴんを見て初めて 「あの美しい女優のような顔は要するに、ものすごいアイメークだったのですね! もしかして、付けまつげ+マスカラ+アイシャドー+アイライナーなど、などですか!?」 みたいな。 皆、素顔もきれいなのに。 それによく見ると、ちょっと怖そうな印象だった人が、意外とあどけない顔だったり。 何だかちょっと家族になったみたいで嬉しい。 すっぴんも良いものです。

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