旅路

ヴェニスより。

10時半にヴェニス到着予定だった飛行機は、 悪天候の回復待機のため、ボローニャに一旦着陸してしまい、 そこからまたヴェニス空港まで戻ったのがすでに午前一時半すぎ。 Airbnbで予約していた旅路の一晩下宿を反故にして、空港で寝てしまおうかとも思ったけれど、 それもなんだか侘しいし、一大決心をして真夜中の大冒険。 酔っ払いに抱き付かれたり、ちょっと怖い思いをしながら着いたのは、 私のAirbnb体験では一番(お金儲けのためにやっています)色を濃く出した、 50代夫婦の安宿。 8畳くらいの部屋に簡易ベッドを4つ押し込んで、3つにはすでに若者3人がぐっすり寝ている。 「このベッドがあなたの」と言われたベッドには先客の猫が、押しても引いてもびくともしない。 眠りこけている。 確かにVenice近辺では破格だったけれど。。。 猫に遠慮しながら、それでも爆睡した翌朝はでも、すっごく楽しかった。 午前3時過ぎに私が叩き起こしたため、機嫌がものすごく悪かったおばちゃんは 3時間かけて作ったという自家製のジャムとすごくおいしいカプチーノで朝食をもてなしてくれる。 もう一つの個室に泊まっていたデンマークから来たアベックとの会話が弾む。 大学一年生を今終えたばかりだと言うけれど、もう23歳。 デンマークでは高校を終えてから、アルバイトをしたり、世界旅行をするために 政府から給費が出るらしい。 「可愛い子には旅をさせろ」と言いますよね。 デンマークはそれを実行していて、自国の教育方針を誇りにしているらしい。 このカップルも自然の中のサヴァイヴァル訓練を一年やったり、アメリカを半年横断旅行したり、 色々やっていた。 音楽が好きだそうで、昨日ヴェニスで行ったヴィヴァルディの演奏会のプログラムを見せてくれた。 ヴェニスでヴィヴァルディ―…乙ですね~! 私との相部屋で一緒になったのは、韓国から来た女の子二人組。 フランス、チェコ、イタリア、と14日間のヨーロッパ旅行をしているらしい。 デンマークのアヴェックに誘われて、音楽祭に向かう前の数時間をバスに乗ってヴェニス探索。 さすがに水の都! (この方向)と確信を思って歩いていくと、突然道が水に面していて、それ以上行かれなかったりする。 でもどこをまがっても歴史を感じる。 歴史を売り物にしている街って、どうやって発展すればよいんだろう。 何を指針に指定行けば良いんだろう。 え!?それってクラシック音楽も同じですって!? すばり。。。 これから行く音楽祭ではインターネットが無料でも無いし、 あんまり無いようなので、ブログ毎日更新は無理かもしれませんがご心配なさらずに。 いってきま~す!

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ベルギー、ブラッセルより。

今日は正午過ぎの飛行機でマドリッドからヴェニスに行くのに、ブラッセル経由。 ブラッセルで5時間あった。 ちょっと迷ったけれど、やっぱり空港を出て、街を見に行くことにした。 気温は摂氏18度。 皆日本の秋のかっこう。 そして思いがけない観光地。 いたるところにチョコレート屋さん、ワッフル屋さん、Belgian Frites(要するにフレンチフライだけれど、マヨネーズをかけて食べる)…、そういえばベルギーはビールも有名。 でも、なんかみんな楽しそうでないのは、空がどんより曇っていて、外が肌寒かったから? こういう風に知識不足で、印象と独断と偏見だけで国柄に意見してしまうのは非常に危ない。 物凄い大聖堂や、金ぴかの劇場や教会に囲まれた広場、 市場が開かれるにぎやかな市場など、色々見て回ったけれど、 その人ごみに反比例して、なんだか暗い印象なのは、 私が疲れていたから?。。。だけとも思えない。 ドイツ人のファンタジー作家、ミヒャエル・エンデの『モモ』をご存知の方々には 『灰色の男たち』に毒された後の街、という感じがした、と言えばわかっていただけるだろうか? 町並みも建築物がとっても面白かったけれど、窓が敗れたまま放置してあるもの、 壁がすすけて歪んでいるもの、そういうのが目についた。 華やかな大聖堂から道一本入ったら、ドキッとする数のホームレスがたむろしていた。 たまたま、かも知れないけれど。 れっきとした観光客として、Belgian Fritesを注文してみた。 お店のお兄ちゃんも不愛想。 半分食べて、道端に座り込んでいた親子のホームレスに 「食べ残しで悪いけれど」とあげたら、6歳くらいの女の子ががっついて食べた。 お母さんに感謝された。 今夜はヴェニスで一泊します。

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スペイン5日目:マドリッド史付け焼刃―強行軍突破!

今日の私たちは凄かった。 まず、マドリッドの西側、ウォーキング・ツアーと言うのに参加しました。 http://www.ogotours.com/madrid-free-walking-tour 朝の10時から1時半までかなりの暑さと日差しの中、 マドリッドのお城、聖堂、歴史ある市場広場、ヨーロッパ一古い食堂など見て回り、 マドリッドの創立から現在に至るまでの歴史を 王族の代々の家系、イスラム・ユダヤ・キリスト教信者の関係と迫害、歴史的エピソードや伝統などの お話しを聞きながら歩き回ったのです。 面白かったことはいろいろ。 最初に、そのビジネス・モデル このツアーは全く無料です。 オンラインで予約することはできますが、それもいい加減なもの。 何時にこの広場で、と言うところに出現さえすれば、参加することができます。 ツアーで回る観光スポットはあらかじめホームページで分かっています。 ツアー終了時に、参加者はそのガイドに提供されたサーヴィスに適度と思われるチップを渡すのです。 この会社とビジネス・モデルは10年前くらいに開発され、ヨーロッパでは定着した観光方法の模様。 ツアーの最初の時点でまず参加者はこのビジネス・モデルについて簡単な説明を受け、 ガイドの生活が受け取るチップにかかっていること、ガイドは会社のブランドとトレーニング、そしてビジネス・モデルの利用料として受け取るチップの半分を会社に払うこと、しかし参加者には支払の義務は無く、それがガイドのサービス内容向上のインセンティブになっていることを説明されます。 面白い! 人間はお互いを助け合いたがっていると言う基本的信念のもとに 10年も続いていることが素晴らしい! 次に私たちの今日のガイドのセバスチャンが面白かった こういうツアーだから、ガイドによってその経験が大きく左右されることは一目瞭然です。 この会社がどの程度までガイド内容のクオリティーコントロールをしているか知りませんが、 例え一字一句説明本文を暗記することが義務付けられていたとしても ガイドの個性と参加者との相性が、ツアーの印象を影響することは当然でしょう。 しかし、今日のツアーではセバスチャンのキャラクターが私と麻衣子さんの論点と一つとなりました。 セバスチャンはバンビの様な目をした熱血青年です。 可愛い顔をしているから、多分年齢より若く見えるのでしょう。まあ、20代半ばか後半か。 150年早く生まれていればリンゴ箱に乗っかって革命スピーチをしていたか、と言う 社会改革・現状不満のメッセージが溢れてしょうがない、 良い意味でも悪い意味でも「これが『青い』と言うことか」と、ちょっとだけ年上の私に思わせてしまう、 そんなツアーガイドでした。 確かにマドリッドの歴史は複雑で、今でもその説明は非常な心配りを要します。 参加者は20人で、世界中から来ている。 イスラエル人も、イラク人も、フランス人も、ロシア人も、 スペインが植民地にした南米、東南アジアの人々も居て、 宗教もカトリック、プロテスタント、ユダヤ教、イスラム教と実に多様。 そう言う中で、血まみれの宗教迫害の歴史を説明し、 ヨーロッパの王族同士の戦争・政略結婚、そしてスペイン帝国の植民地の支配などについて話すのは 至難の業、と言うことは良く分かります。 セバスチャンは、歴史的年号・名前・権力関係、すべてを暗記で機関銃のように喋りまくります。 その知識量には、心から脱帽! しかし、事実を披露するだけでは我慢ならず、 自分がいかにスペインに植民地化された南米コロンビア人とスペイン人のあいの子で、 抑圧や偏見については実感しているか、 イカに政治的でも宗教的でも人権の抑圧は良くないか、 原理主義は歴史上どの宗教にもあって、今ISISがいろいろ問題を起こしているからと言って アラブ人全員にそのステレオタイプを押し付けるのがいかに間違っているか、などなど 私たちが質問を挟むのもはばかられる勢いで、一生懸命語り続けるのです。 セバスチャンのかわいい顔とその懸命な勢いのミスマッチは、 私のマドリッドの明るい包容力の印象と、 昨日Reina Sophia 美術館で見たピカソの『ゲルニカ』を初めとする戦争の絵とのミスマッチと

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スペイン4日目。スペインにどっぷり。

練習をするつもり、はあったのです。 これははっきりと言えます。 私たちはClarinetFest中のリハーサル・練習会場に行って、 受付に誰もいないので、勇気を出して暗い建物に入り、電気のスイッチを入れることまでしたのです。 その途端「ウィ~ン、ウィ~ン、ウィ~ン、ウィ~ン」と警報が鳴りだし… 走ってきた係りの人たちに身振り手振りで「練習!練習!」と言ったら 「9月1日まで閉館です。」 とスペイン語でおごそかに告げられてしまった。のです。 そうしたらもうすることは二つだけでしょう! 1.ゆっくりする。 2.スペイン文化にどっぷりはまる。 1.をまず達成すべく私たちがしたこと。 まず、カフェでゆっくり食事。 内容:絞りたてオレンジジュース。コクの深ーいコーヒー、チョコクロワッサンと、雑穀クロワッサン。 そして、果物屋で大袋1ユーロでたたき売りしていた桃一袋を買い、 約3時間かけて砂糖煮を作る。 作る過程で桃をきれいにしながら、一つ一つかじり、味比べをし、 それぞれの桃の個性の強さについて麻衣子さんと二人で話し合う。 大量に出来た砂糖煮を、パンに乗せたり、チーズと混ぜたり、ヨーグルトを乗せたりして楽しむ。 そして「音楽家である意味」とか「将来」とか非常に壮大なトピックで大学生のように熱論を交わす。 2.の『どっぷりスペイン文化』に移行したのはもうすでに夕方5時! でも大丈夫。スペインは実に、実に夜型の国なのです。 まず私たちはReina Sophiaと言う美術館に行きました。 ピカソのゲルニカを中心に、ダリ、ミロー、ゴヤと国内戦、第一次・二次世界大戦ごろの スペインの絵画を見て回り、その暗さの中にも熱情を込めた表現に圧倒されました。 そのあと、フラメンコを見に行きました。 すごい!すごい! 女の人が強い!しかも私たちが普通「ダンサー」と言ってイメージする年齢より2周り位年上の 多分50代の女性が実に力強い、ダイナミックで、太っ腹で、エネルギーが感染するような 物凄い踊りをギラギラとした集中力を持って見せてくれ、私は本当に触発されました。 自分もああ言う女性に成長したい。 フラメンコを踊ってみたい! そのリズム感、躍動感、生命力、そしてこだわり、誇り、逞しさ。 最後に行ったのは、タパス・バー。 飲み物を注文すると、飲み物に食べ物がくっついてきて、びっくりするような安さ。 そして出される小皿料理が、酢漬けや、イベリコハムなど、素朴でおいしいのです。 そしてバーテンダーのミゲルはやさしい顔をしてお客さんを見守り、 静かに確信をもって思いやりのあるサービスをさりげなくこなし、 いかにもよそ者の私たちも、絶対に疎外感を感じないように 素晴らしいタイミングでさりげなく挨拶や、小さなコメントで会話の糸口を提供し、 本当に地域に根付いた、古~きよきたまり場、という感じのところ。 私たちは二回目です。 ミゲルは私たちの最初の注文を覚えていてくれて、 「ドリンクはこれだね?」とさっと確認して出してくれます。 シードレと言う、スペイン特産のリンゴジュースを発酵させた炭酸の強い甘いアルコール。 近所の人たちも私たちをにこやかに迎えてくれます。 10席くらいしかないのですが、お互い知り合いっていう感じ。 今日は隣に座った酔っ払いのおじさんに全部おごってもらっちゃいました。 なんだか、うれしい。 スペインは、ものすごい包容力でもって、私たちを迎えてくれます。

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お洒落なパリ

パリで道行く人は本当にみ~んなお洒落に見える。 何が違うんだろう、とギョロギョロヒューマン・ウォッチングした、私の結論。 お洒落=意思・意図・意識的表現としての洋服と身のこなしと身の手入れの選択の結果 簡単に言えば「こうした」がお洒落で「こうなっちゃった」が非・お洒落。 ただ、この「こうした」にどれだけ自信を持って、 その自信が表情や身のこなしや態度に表れるか、と言うのもお洒落の一部なんだと思う。 流行におどおどと付いて行っている、と言うのはだから どんなに時間・お金と神経を使っていても、究極的には「非・お洒落」。 反対に、自分は絶対着ない!と言う服でも「私はこれを良いと思っています」と言う態度が 堂々たる身のこなしに繋がって、その自信がその人をより寛容にしているなら、 その選択に私自身が感心しなくても「この人はお洒落だ」と思える。 あくまで私の意見です。 昨日、私のパリの心の友(と言うか文字通りの幼馴染で、感覚的にはちょっと妹みたいな)、 Mさんと私たちの共通テーマ、二人が会えば必ず話題に上る「女性美」の話しをしていた時。 (ちなみにMさんはお洒落な美女です)。 私は録音技術の向上が今日のピアノ演奏の画一化にいかに繋がっているか、 と言うことを、現在の(私達がいつも誤解されていると同意する)女性美に繋げてみました。 録音技術の向上によって、 市場にでる録音はすべてミスタッチが無い、非・人間的に完璧な音楽になった。 これに慣れた聴衆は生演奏でも録音に近い完璧さを演奏家に求めるようになり、 演奏家は期待に応えるべく、凄い練習と、それに耐えうる正確と、 音楽や聴衆からある程度距離を保つ冷静さを身に付けるようになり、 結果、現在の演奏家は画一化した。 1950年代より前の世代のピアニストはその音色や歌いまわしを聞けば すぐ「この人!」と分かるような特徴を強く持ったピアニストが多い。 それに反して、最近のピアニストは極端に言えば、誰が弾いても同じ。 女性美にも同じことが言えるのではないか。 美容整形や、化粧品、美容薬品の向上により、女性がどんどん「美しく」なっている。 しかし、何を基準にした「美」なのか。 韓国の最近の美人コンテストの入賞者が皆同じ顔だ、と言うことが話題になっている。 韓国ではレーザーで顔のほくろなどは全て除去するのだそうだ。 整形も、物凄い。 それが、本当に「美しい」のか。

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