May 2010

卒業、引っ越し、送別、そして練習

本当に色々な方にお世話になって、お陰さまで昨日無事卒業式を終え、コルバーンでの4年間が終了した。 こう言う人生の節目というのは振り返って思い出として感慨深いものだと思うが、リアルタイムではちょっと間が抜けている。感動を狙うスピーチを、スピーカーが熱演しているのを聞きながら、頭の中では引っ越しの手順を忙しく考えたりしている私は、ちょっとへそ曲がりかも知れない。 今回の引っ越しは結構入り組んでいる。 AからBに直接引っ越すのではなく、今回の私の場合、ロスの現住所を引き払った後、日本に約3週間半滞在して演奏活動を行い、その後NYで一息入れてから、タングルウッド音楽祭で2カ月の研修生としての勉強、演奏活動を行った後、初めて私の新居で在るテキサス州のヒューストンに向かう。現時点では、テキサスで落ち着く住所もまだ未定。と、言うわけでちょっとややこしい。とりあえず、向こう3カ月で必要無い物は全て箱に詰め、ロスの友達に引き取ってもらい、住所が分かり次第郵送してもらうことにする。「持つべきものは友」、である。私は物欲を良しとしないし、出来れば禅僧の様に所持品をほとんど持たずに人生歩んでいきたいと言う憧れがあるが、実際は結構貧乏性なので、荷物をまとめる段階で(もったいない)とすぐ思ってしまう。始めは「引き取ってもらうのは多分一箱くらい」と友達に言っていたのが、結局引き取ってもらったのは3箱だった。その他、NJの私の高校時代のホームステイ先で私の「アメリカの実家」に3箱送り、後は日本に重量制限ギリギリまで持って行く。 エレヴェーターに乗り合わせた、同じく今年コルバーン卒業でシカゴに引っ越して行くバスーン奏者の男の子は、「引っ越し、どうしてる?」と聞いたところ「全部捨てる!」と答えて、私を大笑いさせた。彼曰く、引っ越しの手間と労力と送料、などを全部考慮した場合、「荷物を送るのは割に合わない、向こうで買った方が安い」、のだそうだ。何だかとてもすっきりしたすがすがしい考え方だ。ただ、彼と私の違いはバスーン奏者は楽譜が少ない!私の一番の荷物は楽譜と本なのです。それから、男性の場合タキシードとスーツを一着ずつ持っていれば仕事はそれで全て足りるが、女性の場合、何着もドレスが必要なのだ。夜の演奏会は長いドレスのイブニング・ガウン、昼の演奏会はもう少しカジュアル、この演奏会場では肩を出してはいけない、とか色々。そしてドレスに合わせた靴、アクセサリー、化粧…全く引っ越しの際にはげんなりしてしまう。 そうしている間にも、ロスでお世話になった方々や友達とのお別れ、そして日本での演奏の準備も着々と進んでいる。昨日は特に親しい友達を数人呼んで、学校のホールで日本のプログラムの通し稽古を聞いてもらった。 大丈夫、一つ一つきちんとこなしていれば、全部終わります。 明日、ロスを発ち、日本に向かいます。

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私のブログの趣旨の再考

ブログを書き始めて、もう一年が経とうとしている。早いものである。 最初にブログを書こうと思ったきっかけはタングルウッド音楽祭に招待研修生として参加することが決まり、その毎日の活動の記録を自分の為に残すと共に、そう言う素晴らしい音楽の探求の場のことを私の体験を通じて一人でも多くの人に楽しんでほしかったからだ。 私が音楽の道を歩む人生を続けていられるのは、色々な人が私を養育し、私を信じて支援してくれたからだ。そう言う人は、私の夢を買って、私に夢を託してくれているんだと思う。だから私がお返しに出来ることは、その道を歩む過程で得た成果を、演奏や文章や考動を通じて披露することだと思っている。コルバーン学校での4年間も、去年に続いて今年も招待されたタングルウッド音楽祭での研修生としての夏2か月も、世界的に有名な音楽家たちとの共演や、レッスンで毎日が充実している。また、私は演奏をするために普通の人が行かないような世界の僻地に旅行したり、不思議な出会いをしたりする。私がそう言う好運に恵まれたのは本当に色々な人の助力と、それから偶然(13の時の父のNYへの転勤や、色々な先生、音楽関係者との出会い)無しでは在り得なかった。その全てに対する感謝の表現、そしてより意識してそれぞれの有難い経験を自分の記憶に留め、これからの自分の成長の糧にするために、これからもブログを書いていきます。 時には書くために書いてしまうことも在るし、こうして毎日書いていると、私生活のことについて言及したくなったりもするが、あくまでこれはプロのピアニストとしての私の修行と活動の記録と公表、と肝に銘じて、これからも書いていきます。 いつも読んでくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

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修羅場のショパン

ここ数日、修羅場を経験した。 私はLAに在る学校からも全額奨学金のオファーを受けたのだが、それを蹴ってヒューストンに行くことにした。 それを私からの個人的な拒絶と感じた何人かの友達や、音楽関係者と非常に感情的なやり取りが何回かあった。 私だって、LAには郷心が付いている。 去るのは辛いし、自分の決断が本当に正しいのか疑問も不安もある。 だからつい声を高らげてしまう。 そして普段ならお互い笑い出してしまうようなくだらない水掛け論を 本気になって凄い時間とエネルギーを費やして延々と繰り広げてしまう。 むしろ喧嘩別れした方が辛くないから喧嘩してしまうのかも知れない。 一人で身も蓋も無く泣いたりした。 人と居る時は大丈夫なのだが、一人だと泣けてしょうがなかった。 SOSを受けて友達が一緒に居てくれるのだが、練習と睡眠は一人で無くてはできない。 寝入りばなに何度も泣きだして目が覚めて、眠れない日が二晩続いた。 練習しようとしても涙が出てくる。 それでも段々落ち着いてきて、泣く回数が少なく成って来て、面白いことに気が付いた。 他の曲は大丈夫なのに、ショパンになると泣けてしまうのである。 なんでだろう。 ショパンはやっぱり何か特別なんだと思う。 ちょっと垢ぬけない泥臭さが時として在るけれど、それが人間的なんだと思う。 実直と言うか、本当にストレートに感情的なのかなあ? 今はもう大丈夫。今日は泣かずにショパンも弾けました。 皆とも仲直りしたし。 私はコルバーンで、本当に親しい友情を培ったし、色々な人に本当に良くしてもらった。 去ることをそんなに怒ってもらえるなんて、光栄だと思う。

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私のこれからの進路について

人生の過渡期にあって、余裕が無い。 4年間暮らしたLAで出会った一人ひとりにお手紙を書こうと思っていたのだが、 どんどん時間が無くなって来て、 昨日(全くご挨拶せずに去るよりは)と思って一斉メールを出してしまった。 ブログにも色々書きだそうと思っていたのだが、余りに大きなトピックで、 書こうと思うと気分が萎えていつも一日延ばしにしてしまい、今日に至った。 もう少し時間が出来たらもっと内容の在ることを書くので、 とりあえず昨日送った一斉メールのコピーペーストで許して下さい。 「お陰さまで四年間のコルバーン・スクールでの修行を来る5月10日で無事終了し、卒業いたします。 卒業後は、ヒューストンのRice UniversityにあるThe Shepherd School of Musicと言う所で、 演奏博士課程(DMA)を修めることにいたしました。 The Shepherd Schoolのオーケストラは全米一、二位と言われており、素晴らしい常人指揮者が居る所です。 石油のおかげで芸術に対する支援も盛んで、コンサートも多く在るそうです。 学校のホールや練習室と言った設備も抜群です。 ニューヨークやロサンジェルスへの郷心は強く、最後の最後まで迷いましたが、 ライスからは全額奨学金とさらに生活費を出して頂けるとのことで 結局お金の心配をせずに勉強と練習に没頭できると言う好条件と、 ライスとそしてThe Shepherd School の評判の高さ、 それから新地への興味でライスを選びました。 十日の卒業式の後、一二日に日本に発ち、演奏会を幾つかした後、 去年に引き続きボストン交響楽団主宰のタングルウッド音楽祭にて 研修生として二か月勉強、演奏いたします。 その後、八月中旬にHoustonでの新生活が始まります。 LAでの4年間、本当に色々な方に暖かくご支援頂きました。 感謝の念に堪えません。」

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