October 2013

凄い格言を発してしまった…

私は、教えることも大好きです。 特に今は、私は本当に個性豊かで熱心な生徒さんに恵まれていて幸運! その中のAちゃんとのレッスンで、今日私は自分でもびっくりする格言を発してしまったのです。 Aちゃんは凄く飲み込みが早く、音楽性もある6歳の女の子です。 実は物凄い美人なのですが、それに反抗するかのように憎まれグチをたたきます。 「同じことを繰り返し言わないで!」とか平気で言います。 「繰り返し言わなきゃいけないのは、同じ問題が続くからなんだけどな~」 「忘れちゃったの!」 「だから思い出させるのが私のお仕事だよ。」 などとやり取りするのですが、それでもこちらがいやな気持ちがしないのは、 やはりこの子の愛嬌でしょうか。 この子は素早く曲を仕上げてくるのですが、 曲の性格に関係なくなんでも凄いアップテンポで弾くのが好きな子でもあります。 今日の会話。 「これはどんな曲?」 「ハッピーな曲」 「そうだよね~、でも今のAちゃんの弾き方は、ハッピーじゃなくて忙しそうだったよ」 「…忙しいってピアノではどういう感じ?」 「忙しいって言うのは、一つ一つの音の全てにそれぞれ集中していることだよ。ハッピーはそれぞれの音が大きなグループに属していて、そのグループを大きな目で見られること。違いが分かるかな?」 凄くないですか? 忙しい=一つ一つの小さなことにそれぞれ集中してしまい、収集が着かなくなること 幸せ=それぞれの仕事が一つの大きな方向性や目標に属していて、それを安心してこなすこと。 おおお!真希子(の潜在意識!?)、素晴らしい! 自分で自分の発言を聞きながらびっくりしていました。 勿体無くて、思わずブログで発表してしまいました。

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演奏活動!

星座とか「タイミング」とかって本当にある、って実感する時があります。 私は博士過程を終えたら、もっと演奏活動をしたい!とひそかにずっと思っていました。 まあ、厳密にはまだ論文が残っているし色々あるのですが、 でももうこの学年度から授業は無いし、随分自由な身になって パリに行ったらこれからの演奏の機会の打診を色々始めてみよう、とか考えていました。 パリからヒューストン降り立った瞬間! …ずっとチェックしていなかった携帯メールに着信。 「12月に協奏曲、弾く?」 何と!(これは今時期など交渉中) さらにヒューストンに戻って2日目! クラリネットとヴィオラとピアノの室内楽コンサートが テキサス州のオースチンで10月26日に予定されているが、 ピアニストがドタキャン -と言う事で私に出演依頼! これは2日間に及ぶリハーサル量、出演料などの交渉の末、出演決定! 24日に現地入りして、2泊三日の予定。 これはコルバーン時代に何度も一緒に弾いた、 今ではハーレム四重奏のヴィオリストとして有名になってしまったMiguelとの演奏会。 私とMiguelの共演はYoutubeでもご覧になれます。 楽しみ! さあ、練習頑張るぞ!

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実はパリに居りました。

試験が終わったのにずっとブログを怠っていた理由(言い訳!?)。 …実はパリに居たのです。 この夏もHouston – NY – 日本 - パリ - 日本 - パリと 飛行機の旅の多い日々でしたが、機内では必死に勉強していて、 映画のメニューさえ見ない、まあ充実はしているけどちょっと忙しい旅でした。 それに夏だったからいつも満席。 でも、今回の飛行機は違います! 秋半ば。 半分も満たない飛行機の中で、行きも帰りも一列丸々独り占め。 そして約10時間の飛行機の旅で行きは3本も立て続けに映画を見てしまいました。 最近映画を観ていなかった私はそう言うものに対する免疫力が落ちており、 もう、つぼにはまりまくり! 機内にも関わらず顔中べたべたにして大泣きしてしまったり、 エンジンの轟音にかき消されるのを良いことに腸がねじれるのではと思うほど大笑いしたり。 3本見た中の2本が日本映画だったことも我ながら興味深い選択です。 「奇跡のりんご」ではもう本当に泣きました。 「図書館戦争」も面白かった。この映画は自衛隊を揶揄って居るのかな? さて、パリ。 試験が終わって、人生一段落して、ゆっくりとカフェでコーヒーでも飲みながら これからの人生について思いをめぐらせれば… など、と夢想していたこの旅ですが、着いてみたらばトンでもない! たまたま現地合流できた相棒と こちらのフォアグラ、あちらの鴨、向こうのTart Titinと食べ歩き。 中でも人生観が変わるほど美味しかったのは かの有名な焼き菓子屋, Pierre Herme! そしてやはり忘れられないのは、朝一番に隣で買う、香り高いバゲット。 本当に焼き立てで、抱えている腕がジンワリと暖かくなり、 魅力的なパンの芳香で頭がくらくらする中、 階段をとことこ上がっていく時の、楽しみな気持ち。 そしてドアを開けて、キッチンに直行して、まな板の上で 「パリパリ!パリパリ!」とそのバゲットを切って、 チーズとジャムで食べるバゲットの美味しさ! トロトロのチーズ(数種)も本当に美味しくて、 でもその臭さは形容不可。 冷蔵庫を開けるたびに(何事!?)と思う臭さです。 さらに意外なことにアジア食もパリで進出しており、 本格的で美味なベトナム、タイ、そして中華も美味しく頂きました。 さらに音楽人生で培った友情は世界中に広がっており、 残念ながら全員に会え切れないほど! そして次のパリでの演奏に向けての会合、打診、お願い… と、言うことで予想に反して非常に充実はしてしまった私のパリ滞在。 しかし、試験が終わって飽和状態に陥る危険をはらんでいた私の試験後の人生は、 これでしっかりとまたフォーカスして来ました。 帰りの飛行機では映画はドキュメンタリーを一本観ただけで、 読書に没頭。 そして一昨日ヒューストンに帰ってきてからはひたすらやることリストをこなし、 練習、練習、練習! いつものリズムが戻ってきました。

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ショパン、バッハ、ブラームス、人生…素晴らしい!!

受験勉強している間は本当に練習しなかった。 こんなに練習しなかったのは実に二十歳の時、1ヶ月位入院していた時以来です。 それでも試験の3週間くらいまでは一日1時間くらいは弾くようにしていた。 それが一日置きになって、二日置きになって… この頃です。本当に弾くと言う行為が恋しくて、恋しくて。 久しぶりにピアノにたどり着くときは、本当に一音一音、一和音、一和音が愛おしい! そうやって、うっとり弾いていると、なんか新しい音楽の境地に達したようで (エ!?私って勉強している間になんか上手くなった!?)とまで思ってしまいます。 試験が終わって、演奏会に行く度に大感激です。 ブラームスって素晴らしい! 4番を聞きました。 本当に、なんて美しいのでしょう! それに、学校のオケだったのですが、演奏している皆が本当にいい顔! 私が聴音のクラスで受け持った、学部三年生のチェリスト。 苦学生なのか、いつ見てもステマネのアルバイトを物言わず黙々とこなしている子が もう、ピカピカの笑顔で目をきらきらさせています。 弦楽器が、あわせるためにお互い目線を交わせるとき、皆嬉しそうに微笑みあっています。 そして、金曜日の演奏は特別良かったのです。 私が演奏を聞くことに飢えていた、ということを差し引いても良かったのです。 それが証拠に、演奏後、観客からの拍手を受けている間、オケのメンバーがハグし合い始めました。 もう、私は感涙ものです。 そして、ショパンと言うのは、何と美しい音楽を書くことでしょう! 音楽理論の試験の時、分析するために試験の24時間前に渡された楽譜は 作品62-1のショパンのノクターンでした。 ピアノ禁断症状の私は、本当にこの楽譜を読みながら、分析を忘れてうっとりしてしまい、 筆記試験が終了した直後にピアノに向かってこの楽譜を弾き始めました。 子供の時は、その単刀直入な感情表現に、 バッハやベートーヴェンに比べて少し馬鹿にしていた自分がおろかに思えます。 ショパンは、凄い! 試験が終わったと思ったら、突然秋めいて、毎日風が気持ち良い! そして、雨が降っても、雨の音が心地よい! 私は試験から開放されて、人生をただ今、満喫しています。

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今日、口答試験がありました。

口答試験で今まで落第した人は、緊張で一言も喋れなくなってしまった人と、態度が物凄く悪くって教授から凄く反感を買った人が最近では居るだけで、大抵の人は合格をするから、と言われては居たものの、やっぱり合格はかっこ良くしたいし、出来ることなら緊張しないで堂々とするために自信たっぷり、準備万端で望みたい! …と言う思いから昨日と今朝は金曜日の試験以来、久しぶりに辞書と教科書とノートに囲まれて、勉強をしていました。でも、(大丈夫だろう)と言う油断があったことは否めません。筆記が思いがけず簡単に感じられて(実は私って頭が良かった!?)と言う錯覚に見舞われていたし、筆記に比べてこれはただの会話。記録が残るわけじゃ無し、多いにごまかしが利くだろう、とどこかで思っていました。 歴史科から一人、音楽理論科から一人、そして私のピアノの教師が丸テーブルの向こう側に座り、私はこちら側にポツネンと座らせられます。ピアノの教師は私の見方。オープニングに、私のピアノに関する質問の回答がいかにこれまで見た中でも最高に良かったか、などとスピーチをしてくれます。ちょっと勇気付けられます。でも、その後の「それではあなたのドビュッシーのエッセーは素晴らしかったのですが、そこにもう少し肉付けしてもらいましょう。ドビュッシーの後世への影響、特にメシアンを始めとする20世紀半ばから後半にかけてのフランス人作曲家について話をして下さい」。打ち合わせ通りの質問にも関わらず、話し始めたら自分の口がからからなのに気がつき、それに気がついたらびっくりして緊張して、ちょっとしどろもどろに。準備していたことの半分も言えませんでした。その後、音楽理論の教授、音楽史の教授が順番に質問をしていきます。音楽理論の試験では私は4声部の作曲の質問の所で実に初歩的なミスをしていました。そこを教授がつついてきます。「私は学部生一年の時音楽理論のクラスで習ったと記憶している、あるミスをあなたはこの小節で犯していますね。そのミスは何か、そして何故、この声部の動きがルールを犯しているか、説明して下さい。」次は歴史の教授。「ワーグナーのオペラが何がそんなにオリジナルだったか、説明してください」。この質問は答えられる!私は張り切って話し始めます。「例えばバイロイトの劇場を自分のオペラ上演のためのみに建設したと言う事実、そしてその劇場のデザインからも分かるように、彼はオペラを娯楽とは考えておらず、むしろほとんど宗教的な,崇拝の対象と思っていました。この時代の作曲家は自分たちの芸術を非常に大事な物だと考えていて…」 「ちょっと待ってください。それまでの作曲家は自分たちの作品を大事だとは思っていなかった、と?」 「そうでは在りません。古典派以前の作曲家は音楽がなんらかの社会的役割を果たしていると思って作曲していました。例えば教会のための宗教音楽、宮廷音楽、など。それらの音楽は大体フォーマットが在って、それにしたがって勤め先の要望に答えて、作曲する。だから、百幾つのオペラを書いたりで切るのではないでしょうか?しかし、ワーグナーの時代には音楽は自分の分身です。芸術、自己表現、自分そのもの。」 「ワーグナーのオペラにはフォーマットが無い、と?」 「ゥ~ン、自分に課したフォーマットはありますが、それはそれまでの常識をほとんど極限まで試していて…」 「歴史や伝統から完全に自由になることなど、可能でしょうか?」 「それは可能ではないと思います。しかし、反抗と言う形で歴史や過去との関係を持つことも出来る」 「ワーグナーは反抗していた、と言うのですか?」 「ワーグナーは自分を伝統や歴史より偉大だ、と思っていたと思います」 「ワーグナーを同時期のオペラ作曲家と比べてみてください。誰がいますか?」 「Verdi,Rossiniはもうこの時期には作曲はしていませんが、でも彼の人気は続いていました。ベリーニ、ドニゼッティ…」 「イタリア人ばかりですね」 「オペラはイタリア発祥のジャンルです。完全に独立したドイツのオペラの伝統はWeberで始まっているのでは無いでしょうか?」 「ワーグナーのオペラは歌手に何を要求していますか?」 「…大きな声を持っていること…?質問の意味が分かりません」 「イタリアオペラを歌うのと、ワーグナーを歌うのはどう違いますか?」 「ワーグナーではレチタティーボ、アリア、などと言うセクションが無くて、延々と一人の歌手が独唱をする…(この人は一体私が何を言ったら素直に満足してくれるんだ!?) この間、この教授は本当ににこりともしないのです! 私は段々と焦ってきました。 そうやって押し問答が続くこと実に1時間くらい。 その後、楽典の教授が「それでは、部屋を出て待機してください」 と、実におごそかに宣言。 ここまで来ても、私はまだ一分後くらいには部屋に呼び戻されて、合格を告げられるだろう、と思っていました。ところが、廊下で立ちんぼすること、3分、4分、5分、いつまでも待たされるのです。「何でこんなに時間がかかるんだろう?一体何を協議しているんだろう? もしかして私の4声部の間違いが問題になっているんだろうか? 歴史の教授はなんか私のことをすごく反感持っていたみたいだし…)刻一刻と時間が過ぎるに連れ、私は自分の不合格にどんどん確信を深めていきました。(あの4声部の間違えはやばかった。去年は音楽理論のクラスを教授までしたのに…あの間違えは本当に恥ずかしかった。ああ、私はまだまだ勉強が足りない。私はここで合格するべきじゃない。私は不合格にしてもらって、もっと修行を積むべきだ…)と、考えているうちにドアが開き、 「おめでとう!合格です!!」 歴史の教授も楽典の教授も次々と手を差し伸べて、握手を求めてきます。でも、私はこの段階に及んでは素直に喜べませんでした。(あんなに協議してたくせに、そんなにニコニコして。。。) 「ああ、アレは伝統なんだよ。中では本当はお互いに近況報告とかしているんだよ。そういえば、楽典の教授は凄く真希子のことを褒めていたよ。『あの子は素晴らしいピアニストだ』とか言って」 そお、私のピアノの教授が教えてくれたのは30分後くらいです。 私がやっと素直に喜び始めたのは、一緒にパスした同級生のクララとビールを飲んで祝杯を挙げたころからです。やっぱり嬉しい! 合格!! 試験勉強、終わり! 人生、始まり!

今日、口答試験がありました。 Read More »