December 2015

食う食わぬ、ジレンマ毎回、本番当日。

本番当日、どれだけの何をいつ食べるか、と言うのは割と切実な問題である。 演奏と言うのは、結構スタミナが居る。 2時間、集中を切らさずにベストを尽くしたい。 その為には肉が良いと言う人、肉はだめと言う人、 炭水化物を推奨する人、炭水化物の中でもパスタ、ピザ、米、パンととても特定する人。 砂糖がダメ、カフェインがダメと言うのは割りと一環している。 水は気を付けてがぼ飲みする。 しかし、食べられるのは余裕がある方らしい。 私はそういう問題は至ってないが、 神経質な人は本番当日食べられない、と言う人もいる。 朝から何も口にしないで本番を乗り切るのはつらいだろう。 大きな本番の前は数週間、食が細る、と言う人もいる。 私にはまったく縁のない問題である。 そしていつ食べるのか、と言うのも問題。 本番直前に食べると、消化に血が回ってしまい、集中が出来ない。 と言うことで本番前の夕食は抜く人が多い。 じゃあ、何時間前なら良いのか、と言うのはすぐにお腹がグーグー言う私には 非常に切実な質問。 本番直前の3時間前なら、と言うのが一般的だが、 しかし本番は大抵2時間。 本番が終わったら最後の食事から5時間。 ペコぺこではないか… と、言うことで私は個人的には本番前の朝食と昼食はかなり食べる。 そして本番直後のお祝いの宴は非常に美味しく沢山いただく。 音楽家に食いしん坊が多いのは、こういう事情があるのである。 昨日は本番成功の後、お祝いで本格派イタリアンをごちそうになりました。 美味しかった~!

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言うべきか、言わざるべきか、ストーカー

今日はコンサートである。 ヒューストンの様な石油産業や有名な癌治療センターを初めとする病院産業で 経済的に潤っているヒューストンですら貧富の差と、飢えの問題と言うのは如実にある。 飢えている家庭のために、食材を寄付で募り配布するNPO, Target Hungerのためのチャリティーに今夜参加する。 今までも特に2011年の災害の復興支援などではチャリティーで頑張ったりもしたが、 まさかの自分が家庭内虐待と、離別の後のストーカー行為の被害に遭ってしまって 色々な友人、コミュニティー、そして福祉や警察に色々良くしてもらってから特に コミュニティー還元をしたいと強く思い、今回の演奏会に声がかかって喜び勇んだ。 しかし… ストーカーはまだ牢屋に入っていない、仮釈放の身である。 今ここで何か事を起こせば彼の刑期はどんどん重くなるし、 接近禁止令も発令していてしばらく音沙汰は無いのだが、 自分の安全性の問題だけでは無い、主催者・運営スタッフ、 そして何より聴衆の安全の問題でもある。 言うべきか、言わざるべきか。 余計な心配は掛けたくない。 しかし万が一お出ましになったら私一人では対応し切れない。 教えている学校には非常に悩んだ末、 接近禁止令が発令した段階で、言った。 首になる覚悟だった。 接近禁止令が出る前は出没しても、どうしてもらえば良いかがはっきりしない。 しかし、接近禁止令が出た後は、出没したら彼は逮捕の対象となるので、 接近禁止令のコピーを送り、事情を説明した。 そしたら「言ってくれてありがとう。何にも心配せずに教えることに専念してください。 警備には万全を尽くします」と言ってくれた。涙が出るほどうれしかった。 今夜の演奏会は若い音楽家を育成するためのプロジェクトで、 企画・運営もまだ若いトランペット奏者。 私は、私の経験から一人でも多くの人が色々学んでくれれば、と思っているので、 彼に言うことにした。 彼は非常な責任感を持って、接近禁止令の難しい文書を全て読んだらしい。 そして、運営スタッフにとても丁寧な協力要請のメールを書いてくれた。 その上、この音楽家を育成するための法人にも連絡を取ってくれたのである。 法人は、警察がこのイベントに一人警察官をよこすことを要請してくれた。 イベントでこのように警察官にガードとして来てくれることを要請するのは、 時間給を払ってやるのである。 チャリティーイベントなのに… このお金をチャリティーに廻せるのに… やるせない。 悔しい。 …ここでブログを一回終了して、さあ一日を始めましょうと思ったら、 物凄い倦怠感で、自分で焦ってしまった。 どういう風に言葉にするか、と言うのはとっても大事だ。 「やるせない。悔しい」を結論にするのは、良くない。 私は宣言するぞ! 私は絶対にこの経験を活かしてみせる。 私は絶対にこの経験からただでは起き上がらない。 私はこの経験からすでに色々な事を学んでいる。 ―弱い立場の人に同情する人間性。 ―家庭内虐待に関するアメリカの法律と警察・福祉の仕組み。 ―友情とコミュニティーのありがたさ ―そういうありがたい友人たちとコミュニティーに恵まれて、私はこう言う挑戦に遭遇してしまったが全然へこたれていない、自分が思っていたよりも強い人間だ、と言うこと。ふてぶてしく友達と冗談や面白い場面に手放しで大笑いし、音楽活動にますます意義を覚えて活発に演奏の機会を増やし、そして前にも増して人生を謳歌している、と言うことに誇りを覚えるタイプの女だ、と言うこと。それで得た、自信。 さあ、今日の演奏会も大成功にさせるぞ!頑張るぞ!

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朝ぶろが浴びれる贅沢

アメリカに居ると本当にお風呂に浸かる習慣から遠のく。 何年もシャワーだけで過ごすなんて結構普通にあるし、 第一風呂桶が無い、シャワーだけのアパートも貧富の差関係無く沢山ある。 セントラルヒーティングが完備していること、 洋風の風呂桶は浅く、すぐ覚めてしまって「浸かる」「湯を愛でる」と言う文化が無い事、 色々理由はあると思うけれど、 私はやっぱり日本人なのだろうか? 最近寒くなって来て、 何だか布団から出るのが後ろ髪をひかれるようになって、 自分を元気にするつもりで朝ぶろに入ってみたら、これが素晴らしかった。 それ以降毎朝、マイブーム。 気持ちよい! 元気になる! それにしても、音楽人生と言うのは本当に特権階級だなあ、と思う。 お金は無いかも知れないが、自由になる時間がかなり多い。 朝は朝ぶろにゆっくり浸かれるし、気分が乗らなければ練習は後回しでも良い。 ゆっくり朝ごはん作ったり、ブログ書いたり、物思いにふけったりできる。 そして何より、仕事が自分が大好きな音楽だ。 幸せ。

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指導の難しさ:飴と鞭

昨日は久しぶりにオーケストラのリハーサルを聞きに行った。 指揮をかじったことも在るので、オケのリハーサルは一時期はかなりの頻度で通っていたが、 それを辞めた理由の一つは指揮者と奏者の関係と言うのが見ててつらかったと言うのもある。 この映画予告編は一年ほど前にブログに載せた記憶があるが、もう一度載せてみよう。 勿論、これはジャズバンドの話しだし、フィクションだし、映画だし、 これがこのままクラシックのオケ業界に当てはまると言っている訳ではないけれど、 でも指揮者が奏者に対して持つ権威、そしてだから起こり得るパワハラと言うのは かなり切実な問題だと思っている。 昨日見た指揮者は有名で、非常に効果的。 特に大学生レヴェルのオケを教育指導するのに一目置かれている。 しかし彼は昨日はかなり焦っていた。 コンサートまであと2回しかリハーサルが無いのに、 オケのモラルが落ちている。 実力の半分出ているか。 感謝祭とクリスマスの間の宙ぶらりんの時期。 学期の最終ダッシュ―期末試験、ペーパー提出、休暇の計画… オケの団員は青春真っ只中の学生なのである。 オケが必ずしも人生の最大重要事項ではない。 恋愛問題に悩む子も多いだろう。 家庭が複雑な子も居るだろう。 将来に悩む子は、ほとんどだろう。 そういう80人を2時間半、こちらに向かせて精一杯集中させるのだ。 そして自分の人生がかかって居るかのようにベストを尽くさせる。 並大抵の事ではない。 脅しや威嚇や皮肉が出るのも、分からないでもない。 厳しい道を選んだ音楽家の卵たち。 これから彼らが直面するであろう困難への訓練、と思えば愛情でもあり得るのかも。 でも、どこまでが愛情でどこからがパワハラなのか。 厳しい競争社会の中、セクハラ、パワハラが歴史的に横行する狭き門の業界への準備期間中 本当はこうあるべき理想郷、お互いへの尊重や応援を全面に押し出す教育と言うのも 良いのではないか?

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