新年明けましておめでとうございます。
昨年も大変お世話になりました。2023年もよろしくお願いいたします。
2023年の抱負。
在米34年目を迎える日本人女性ピアニストとしての私の役回りは二つあると思っています。一つは日本とアメリカ・西洋と東洋・白人と有色人種と言った人々や地域の区分や、知性と体験・理想と実践・科学と芸術・学問と社会運動といった専門の区分の橋渡しをする事です。そしてもう一つは希望や慰めを提供する事—絶望的に見える状況下においてこそ、光を提供出来る存在になる事です。
問題意識から目を背けたり、現実逃避をするわけでは決してない。白人男性優勢主義・帝国主義といった排他的な世の中。自然や弱者に対する侵略的な体制。こういう現世に変革をもたらしたいと思う気持ちを捨てたわけでは決してありません。でも過去の不正に対する怒りや課題の多さ・悩ましさに注目するよりも、解決法や改善の余地に視点を移行して、チャレンジ精神を持って、明るく発信していきたいのです。その為に必要なのは美意識とユーモアのセンスだと思う様になりました。言動が美しいか否かでポジティブさの度合いが、そして笑えるか笑えないかでどんな状況でも建設的な視点と距離が保てているか否かが、分かる。
そういう心を込めて、2023年のブログは題して「美笑(びしょう)日記」です。
年末年始の天使到来。
ピアノの道は波乱万丈。(本当に間に合うのか?)...次の新曲、次の演奏会、次の飛行場と、飛び石の様にこなしていく時もあります。一方、しばし予定が無い日や週が続くときもあります。こういう時は心の葛藤。(このままで良いのか?)(私は誰の役にどれだけ立っているのか?)(もっと効果を上げられる方法があるのではないか?)...これはこれで内心の波乱万丈です。
内面の葛藤は自分の考えや道を熟成させる必要な時間です。が、内向的になる為に発信が間遠になりがちです。最近の長期「冬眠」はパンデミックの最初の年末年始の半年ほどでした。あの時は思いがけぬ人からの触発や本との出会い、そして大きな収録プロジェクトの依頼で2021年の4月に再稼働しました。そして2022年の暮、また間遠になりかけていた発信を勇気づける様な出来事が続けざまに起こったのです。こういうご縁は天の啓示に思えます。最近私の再稼働を触発してくれた天使さまたちは以下です。
- 哲学者ビョンチョル・ハン氏のインタビュー。
- 韓国生まれでドイツに拠点を置く哲学者、ビョンチョル・ハン氏について私は全く無知で、この記事に巡り合えたのはご縁と言うより他無いのですが、多いに勇気づけられました。要約するとこういう主張です。
- 「真実(Truth)」と「情報(Information)」は対局する。
- 真実は世界を照らし、意味や方向性・指針(Orientation)を持って安定性を民衆にもたらす向心力を持つ。共存社会や民主主義には必須。
- 情報は一時的な驚きと慢性的な懐疑心で不安定性もたらし、遠心力を持つ。現在民主主義や共存社会を脅かしているのは情報社会。情報伝達のデジタル化はこの破壊力(Atomaization)を増加。
- (真希子忘備録:この真実vs.情報の二極化は、古代ギリシャ人がカオス(はてしない暗闇・混沌・天地創造以前の状態)vs.コスモス(宇宙の調和・秩序・自然の理に沿って整然と機能する宇宙)や、中国の陰陽説にそっくり。)
- 儀式は社会(Community)を形成する。儀式の欠如は人々を消費とニーズを満たす事のみに集中させる。
- パンデミックを経た今の社会(Society)が最も必要としているのは文化の再起による儀式と、その結果起こる社会性の活性化。経済性や利害関係は人々を孤立化させる。そういうものとのしがらみがない純粋な芸術文化が、長期の方向性を定め人生を安定させる。安定性というのは、時間をかけずしては見いだせない。時間がもたらすものは結束・信頼性・誠実性など。これらの欠如を「自由」と誤解してはいけない。自尊心を根付かせるために必要な時間の構築が儀式。
- 哲学は実用性の無い専門的学問になり下がった。プラトン・ルソー・ヴォルテール・カントといった過去の哲学者が持っていた変革をもたらす力は、今は哲学者ではなく、芸術家にある。
- 「真実(Truth)」と「情報(Information)」は対局する。
- 韓国生まれでドイツに拠点を置く哲学者、ビョンチョル・ハン氏について私は全く無知で、この記事に巡り合えたのはご縁と言うより他無いのですが、多いに勇気づけられました。要約するとこういう主張です。
- 自称「隠れフォロワー」様たちの藪から棒の嬉しい表明
- 野の君のオンライン共同研究者さんたちが冬休み日本から来訪中。忘年会の席で来訪者数人が口々に「ブログ読んでます」「YouTube観てます」と突然の表明。(最近私が発信を怠っているから野の君がサクラを頼んだか...?)という私のとっさの疑惑を払拭するがのごとく、K氏過去数か月のブログエントリーの感想をとうとうと述始める。何を隠そう、素直に嬉しい。超うれしい。(注:『野の君』は「ののきみ」と読みます。「ののくん」ではありません。)
- 元旦の朝。英語のブログに時々コメントを下さる面識のない読者さまか、毎月の寄付を申し出て下さる突然のメール。思いがけない晴天の霹靂。そして嬉しい。
- これからの音楽創りを楽しみにワクワクさせてくれる共演者・主催者・音楽愛好家たち
- コルバーンで去年も一緒にリサイタルをしたアメリカ人ヴァイオリニスト。来年の演目を決めるにあたって「日本人作曲家の曲を一緒に弾きたい」と涙が出る様な事を言ってくれ一緒に選曲中。
- 2020年の夏に20周年記念を祝うはずだった私の日本での恒例演奏活動。パンデミックで半ば半永久的に諦めていたのですが、2023年の7月の帰国の際にはいくつか可能性が浮上。乞うご期待!
- 元旦に立ち寄ったレストランでの行きずり天使さまの親切。
- 元旦は思いっきり海岸でお散歩。そして海岸沿いのちょっと有名な魚介レストランでお昼。「魚介のトマトスープ」を、半分こするつもりで一つだけ頼んだら「二人で食べやすいようにお椀は二つに分けたわよ~」とおばちゃん。絶対1.5倍以上の太っ腹大サービス。更にホタテ貝グリル(4個)のアペタイザーを頼んだら5個出てくる!感動の甘さとプリプリ感。そしてちょっと奮発したチリアンシーバスのスパイス焼きは脂がのって最高の美味!おばちゃん、ありがとう!2023年がより明るくなったよ!
お疲れ様です。
初春のご来光は、素晴らしいです。
多くの方々から祝意と献金もあって
出だし好調ですね。
これもこれも、自らの価値を高めた精進の賜物と思います。
今年も存分にご活躍ください。
小川久男
小川久男さま、
明けましておめでとうございます。
小川さんにコメント頂くようになってもう何年目になるのでしょうか。
毎回お読み頂き、コメントを頂き、感謝の念に堪えません。
これからもよろしくお願いいたします。
真希子