演奏道中記12.3:充実してます!

木曜日の朝は理学療法士(Physical Therapist)の所に行きました。腰の痛みはずっと改善されたのですが完治したわけではなく、兎に角悪化予防と原因解明をしたくて、お医者さんにご紹介頂きました。そしたら目から鱗!ピアノ演奏というのは、ヴァイオリンなどに比べるとずっと左右対称で奏者の演奏寿命が長い楽器だとされています。そして私は上体の脱力を心がけ、いつも姿勢を褒められ、腱鞘炎などは幸い心配した事もなく、演奏関係の怪我は今まで無かったのですが…「あなた、右足が微妙に左足より長いですね。ああ、仙骨が右側に少し回ってしまっています。右半身が左半身よりずっと柔軟で強い…」仙骨が周ってしまっているのは、明らかにペダルの為です。そして右半身の方が柔軟で強いのは、右手に意識が行っているから...これから毎日運動やストレッチで、仙骨を整骨し、体の強さと柔軟性を右と左で平均化していきます。本当にびっくり!

木曜日の午後は生涯学習センターでの演奏と講義がありました。コロナ前から毎年2回ほど客演講師を務めさせて頂いています。コロナ中はオンラインに移行。この秋から生身で再開になりました。が、講義出席者は三割くらいになってしまいました。それでも来てくださる方々は、熱心に手を挙げて質問してくださいます。そしてショパンの夜想曲に、しみじみとため息をついて下さるのです。

木曜日の夜はラヴェルのソナタのリハーサルです。私の卒業校でもあるコルバーン音楽学校のスタッフに起用されたのは2021年の秋です。弦楽器や管楽器奏者のレッスンや演奏会などでの共演を務めます。音楽学校でのお仕事は、何しろフルコンで演奏会場で弾けるのが嬉しい。そして、ラヴェルのソナタはいつ弾いてもうっとりとしてしまいます。共演しているヴァイオリニストと曲を掘り下げていくのも楽しいです。執筆や研究など、演奏以外のお仕事で練習がおろそかになる時に、無理にでも演奏の仕事を入れる事でバランスが取れています。

金曜日には隔週でStanford大学の国際・異文化教育(SPICE)のオンライン講師を務めています。生徒さんたちは本当に熱心に授業に参加し、宿題に熱意を込め、そして私に色々打ち解けてくれます。私もついつい熱血先生になってしまいます。

最近、和歌山県教育広報ラジオからこんなビデオが発表されました。

5分目~7分40秒目くらいまで、私がインタビューに応えています。

そして土曜日の午後は10月と同じ図書館での出張演奏会。今回は前回よりも更にお客さんが多く、会場が体温でにわかに暖かくなります。むしろ感謝祭の後急増しているコロナ感染者数の数が頭をよぎる程です。しかも今回は子供連れが多い!3歳のEちゃんを始め、6歳と10歳の兄弟、そして12歳くらいの同級生の男の子たち。皆、ピアノを習っているそうです。

最初のモーツァルトのソナタの一楽章を弾き終えたところで、後列の男の子が飛び上がる様に手を上げていました。「質問ですか?」というと「なんでそんなに早く弾けるんですか?」ー会場が一気に和んで笑いの波が広がります。「退職後にピアノを始めたのですが上達しなくて...」と開演前にこぼしていらした年輩の女性を始め、数人の大人も小学生の様な表情で大きく頷いています。

「例えばスケールを弾くときに『ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド』と一音一音切り離して考えてこれを速く正確に弾こうと思うととても大変だけれど、ドの音から一オクターブ上のドの音まで、一つの上昇する音型として考えると、とっても簡単でしょ?そうしたらもう速くも感じられないよ」というと、「ああ...そうか…うん、分かった!」と、とても元気よく納得してくれて、また会場が笑いに包まれます。

3歳のEちゃんはちゃんと座って居られるかちょっと心配だったのですが、お行儀よくパチパチと笑顔で手を合わせて喜んでくれていました。皆驚くほど熱心にかぶりついて最後まで聞いてくれました。大人も子供もバンバン質問も出してくれました。CDも沢山買っていただけました。「来年は、定期的にシリーズでやりましょう。」ピアノマニアの図書館員さんは、満面の笑顔です。私も何だかとっても幸せな気分になっている自分を発見しました。

明日はまた、ラヴェルのソナタのリハーサルです。Dr.ピアニスト、充実してます。

2 thoughts on “演奏道中記12.3:充実してます!”

  1. Pingback: 美笑日記2.11:誰のために何を弾くのか - "Dr. Pianist" 平田真希子 DMA

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