明鏡日記㉙:『Fukushima 50』を観ました。

鬼滅の刃」のブログエントリーを読まれて「それよりも『Fukushima 50』を観て頂きたい」と勧めて下さる方があったので、昨日野の君と一緒に鑑賞しました。福島原発で2011年3月11日から何が現場で起こっていたのか。

自分の命を賭けてやらなければ沢山の人に多大な被害な及ぶ事ば明確な時に、自分の身を投げ打てるか。

溺れている子供を見て反射的に飛び込む。車に轢かれそうなご老人を救いにとっさに道路に飛び出す。人間にはそういう本能があるのだと思います。でも、この福島原発で何十時間も満足に飲み食いも睡眠もとれない中、爆発の危険性や放射線量の上昇の恐怖が拷問に思えたであろうじりじりとした待機時間も耐え抜いて、現場に残って戦い抜いた人たちには、本当に脱帽します。

そしてもう一つこの映画で驚いた事には、日本を壊滅するかもしれないくらいの大事故がどこまで迫っていたかという事を自分が把握していなかったことです。津波の被害の映像や逸話ばかりが印象に残り、原発での大爆発事故までどこまで近づいたのか、現地の方々の死闘がどこまで凄まじかったのかを理解していなかった。

もう一つ私がこの映画で感銘を受けた事は、音楽の使い方です。この映画は音楽が極端に少ないです。私はそれをとても好ましく思いました。私はニュースやドキュメンタリーで視聴者の感情をわざと煽るような音楽の使い方は、悪趣味なだけでなく非倫理的だと思います。その代わり、音楽関係で物凄く印象に残ったシーンが在ります。所長の吉田昌郎氏が極度の緊張と疲労の中で、羊羹を食べながら自分でも気が付かずに鼻歌を歌うシーンがあります。東京からのプレッシャーと現場の危険性の間でもがき苦しみながら上司にたてついて怒鳴ったりする実に熱血人間の吉田氏の人情に、オフィスのスタッフが聴き入って静かになります。台詞もアクションもない、かなり長いシーンなのですが、物凄いパワーがありました。

エルンスト・トッホ作品68の6番目の曲、フィナーレの解説をYouTubeで公開いたしました。ご覧ください。この曲は盛り上がります!

2 thoughts on “明鏡日記㉙:『Fukushima 50』を観ました。”

  1. 小川 久男

    お疲れ様です。

    『Fukushima 50』鑑賞されましたか。
    原発事故は、絶体絶命のピンチでした。
    作者が関係者を丹念に訪ね歩き事実確認をし、真実に至った映画です。
    日本人は、自己犠牲を厭わない民族なのかも知れません。

    小川久男

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