日刊サンコラム「ピアノの道」

洒脱日記157:ホームスクールに音楽でメリハリを!

カリフォルニアの多くの学区域で新学年度がオンライン授業で始まります。今日は、ご自宅でお子様の教育を指導する親御さんのお役に立てばと思い書いています。音楽のパワーについてこのコラムで色々お話ししてきました。音楽は子供さんには更にパワーを発揮します。理由は前頭前野と呼ばれるの部分。管理するのは「計画実行」「集中」「努力」「我慢」など自己制御と実行機能。前頭前野は25歳位まで未完のまま成長を続けます。この発達途中の前頭前野を、音楽教育や音による合図が補佐してくれるのです。

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洒脱日記141:歴史と文化ー広島原爆記念日にちなんで。

体制の検閲が入ろうが入るまいが、私たちの脳は世界をできるだけ簡略化する事で理解したつもりになって安心しようとする傾向があります。でもその時に、私たちの感情の揺れ動きや現実の複雑さやニュアンスを感覚的に捉えるのが、美術や文化なのではないでしょうか?私は音楽は人間性の底力だ、と信じています。

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非常時の音楽家の役割

コロナウィルスのニュースで持ち切りですね。休校・イベント中止・株価暴落…そんな中、休校になったミラノの校長が生徒に宛てた手紙がSNSで話題になっています。17世紀にミラノを襲ったペストを描いたマンゾーニの普遍的小説「許嫁」をまず引用して、「集団パニックは、危険性が蔓延していると錯覚を起こし、周りの人間までをも敵対視させる脅威。冷静な平常心と向上心を忘れず、私たちの財産が社会と人間性であるということを念頭に合理的・文明的に物事を判断しましょう」と説いています。 疫病を始めとするさまざまな世界恐慌と音楽の関係は、最古の歴史まで遡ります。自然や病の原因も分からず、なす術もなかった時代、人々は様々な思いで音楽を奏で、声を合わせて歌い、踊ったことでしょう。古文書でその様子を垣間見ることができます。音楽は祈りとしても、恐怖心を忘れる慰みとしても、コミュニティーの結束を強め士気を高める手段としても使われました。そして、科学や医療の発展した今でも、未来や死については無知に甘んじるしかない私たちが、究極的に彼らとどう違うのか…  “Music is a bigger weapon for stopping disorder than anything on earth. (音楽は混乱に対する地上最強の武器だ)“と言ったのは、沈むタイタニック号で最後の瞬間まで演奏を続けたという8人の音楽家のリーダー、ウォレス・ハートリーです。それとはまったくスケールの違う話しですが、停電が何日も続いた時、普段はばらばらの生活をしていた同居人たちが私の弾くピアノの周りに集まってきて、いつの間にかミニコンサートとなった思い出が蘇ります。暗闇の中、ろうそくの明かりで音楽を共に体験して微笑み合った思い出は、私が自分のこれからの音楽人生を考える上で重要なものです。 コロナのニュースが落ち着いても、恐慌はさまざまな形で世界を脅かすことでしょう。私たちの生存本能は常に何かに恐慌を見出すからです。そんな中で音楽家として私たち音楽家が、社会に提供できるものは何か、どのような形で一番効果的に貢献できるのか…試行錯誤が続きます。 この記事はアメリカ西海岸の日本語新聞「日刊サン」に隔週で連載中の「ピアノの道」No. 28として3月5日2020年に発表されました。

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「ピアノと視覚」

アメリカ西海岸で1984年から慕われている日本語新聞『日刊サン』に今年から掲載中のコラム「ピアノの道」。毎月第一・第三木曜日に発表されています。 “Your eyes can deceive you. Don’t trust them. Stretch out your feelings. (目は欺くことがある。視覚に頼るな。感覚を研ぎ澄ませ。)。” スターウォーズ・ファンなら、オビ=ワン・ケノービが主人公のルークにジェダイの精神を伝授している場面が目に浮かぶセリフです。 これ、ピアノでも当てはまるんです。 ピアノを弾きながら楽譜と鍵盤を両方同時に見ることは出来ません。このジレンマは象徴的でもあります。音楽に集中するのか、ピアノを弾くと言う行為に集中するのか?答えは、「見ない」。見ない事によって、音楽(知的把握)と演奏(肉体的行為)と感情(心)のバランスを取る事が可能になります。理想的には、見るのは準備段階で済ませて、演奏中は視覚は超越したいんです。 この記事の続きはこちらでお読みください。

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戦時中の在日ユダヤ人音楽家の貢献

戦時中の在日ユダヤ人音楽家の貢献

アメリカ西海岸で1984年から慕われている日本語新聞『日刊サン』に今年から掲載中のコラム「ピアノの道」。毎月第一・第三木曜日に発表されています。 “When playing music, it is possible to achieve a unique sense of peace(音楽を奏でる時、他では在り得ない平和を感じることができる)。”パレスチナ人を含むアラブ系とユダヤ人の若い奏者たちで形成されたオーケストラを養育して和平活動を行うイスラエル人指揮者、ダニエル・バレンボイムの言葉です。 ピアニスト田中希代子(1932-1996)が日本人として初めて国際音楽コンクールの一位無しの二位で最高賞を受賞したのは1952年です。大戦終結から7年、黒船到来から99年での計り知れない快挙。もちろん本人の努力と資質、周りの理解と支援もあったのですが、もう一つあまり知られていない歴史的背景があります。戦前から第二次世界大戦を通じて在日した、ユダヤ人避難民の貢献です。 この記事の続きはこちらでお読みいただけます。

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