ブログ

アメリカ政府が政府機関を閉館!?

来週末、金曜日と土曜日に国会図書館のクーリッジ演奏会場で演奏予定の私たち5人に こんなメールが届きました。 「土曜日の午前零時に政府機関が一斉に閉館になる可能性が今日図書館に通達されました。 これは在り得る可能性としての事で、多分大丈夫ですが、 図書館が閉館になれば当然演奏会もキャンセルになります。 今、政府機関以外の演奏会場を検討中です。」 昨夏日本にいた時もニュースは「仕分け人」の話題で持ちきりでしたが、 今、アメリカでも多額な負債対策に関して色々な意見の食い違いから 非常事態が起こりえる、と言うことらしいのです。 この頃忙しくて、ニュースに関して全く無知になっていた私は寝耳に水で 昨日は一生懸命ニュースを見たり、新聞を読んだりしました。 この土曜日に政府機関が一斉閉館する可能性は今ではゼロに近いようです。 良かった、良かった。

アメリカ政府が政府機関を閉館!? Read More »

摩天楼を空から見下ろす

今週末からライス大学は一週間の春休みです。 私たち、国会図書館プロジェクト・チームの5人はリハーサルと2回の演奏の為、 水曜日からワシントンDCに入ります。 ライス大学は太っ腹な事にヒューストンから東海岸までの往復航空券と 食費を含む経費用のお小遣いを少々くれました。 私はこのチャンスを利用して、学校でのクラスやリハーサルを金曜日に済ませ、 今朝7時半の飛行機でヒューストン発、正午にNYに着きました。 それまでが死に物狂いでした。 金曜日に一つ大きな音楽学理の宿題提出が在り、 ゴールドベルグ変奏曲のアリアをシェンカ―と言う学者のメソッドを利用して分析、 その分析結果をグラフにして提出。 さらに、春休み明けに一つ大きな締め切りが在り、 このプロジェクトには6冊の重~い教科書が必要だったので 私は是非とも出発前にこのプロジェクトを終わらせたかった。 6冊の教科書を東海岸に持って飛ぼうと思ったらスーツケースが不可欠。 最近飛行機会社は国内線はお預け荷物は23ドルも加算するし、 何しろそんなに重い物をわざわざヒューストンからNY,さらにDCに持って行くなんて馬鹿げている! と、言うことで死に物狂いの半徹だったのです。 このプロジェクトは「クラス教授法」と言うクラスの物で、こう言う課題です。 音楽学部の学部生と言うのは、基礎音楽理論のクラスが必修となります。 その音楽理論の教科書と言うのは実に何十種類とあり、それぞれが方針、優先順位、など違います。 私たちは先生の選んだ5冊の音楽理論の教科書、さらに自分で選んだ教科書一冊を比較検討し、 それぞれの教科書について3ページのリポート、そして比較検討に3ページのリポート、 最後にこれらを全て1ページにまとめて、提出するのです。 寝不足のせいだったのか、それとも自分は意外と視覚系の学習タイプなのか 印刷の色(大事な用語が色でハイライトされている)とか、表のサイズとかが、 教科書を並べてみればみるほど、大事に感じられてきます。 私は子供の頃は叱られるほど本を読む、「本の虫」だったのですが、 叱られても読みたいのは物語で、こう言う技術的な説明の文章は短くて簡潔な方が良い! 箇条書きは素晴らしい!表はもっと素晴らしい! 言葉でだらだら説明されると、どんどん眠くなって来るのです。 兎に角、そう言うことで昨日の睡眠は真夜中から3時半まで。 3時半に起床して、5時半出発まで荷造りしながら何とかプロジェクトに晴れて形を付けました。 NYでは久しぶりに思い切り練習、そして寝不足解消、友達に会う、など予定ぎっしりです。

摩天楼を空から見下ろす Read More »

レベッカ・クラークと言う作曲家について。

レベッカ・クラーク(1886-1979)はイギリスでアメリカ人の父親とドイツ人の母親の間に生まれた作曲家である。生前は女性にしては珍しく作曲のコンクールで賞を取り、その為に何度か脚光を浴びたが、主にヴィオラ奏者として活躍し、パブロ・カサルス、ルービンスタイン、マイラ・ヘスなどの超有名演奏家と室内楽の共演をしたり、イギリス四重奏と言う、女性四人の四重奏と世界中演奏旅行したりしていた。アメリカでその人生の大半を送っている。90代になってから偶然、ピアニスト、マイラ・ヘスを記念するラジオ番組にマリア・ヘスの幼馴染として出演した際、彼女自身の作曲の多くの初演をマイラ・ヘスが手掛けていた事が話題に上り、やがて彼女自身が同じ番組で後日取り上げられることが決定。そしてその番組で演奏された彼女のヴィオラ・ソナタ、ピアノ三重奏などが思わぬ反響を呼び、シンデレラの様な好運なカム・バックを他界寸前に果たした。 私は来る3月の4日と五日にワシントンD.C。の国立図書館(library of Congress)での演奏会で、彼女のピアノ三重奏を演奏する。Library of Congressには彼女が生前書いた直筆の楽譜(ピアノ三重奏も含め、数点)や、手紙などが多数残されており、この演奏に向けて私は彼女の伝記や、エッセー、当時の女性の投票権運動に関してや、世界大戦がどのように女性の社会的立場を向上したか、と言う事についてもちょっと調べた。 芸術家が良い仕事をするためにはいかにどれだけの好条件がそろわなければいけないか。そして、その好条件が必ずしも本人にとって「楽」な人生では無い、と言う事も中々興味深い事実である。例えば、第一次世界大戦の勃発は彼女自身にとっては在る「好条件」の一つとなっている。大戦勃発前の1910年、彼女は長年行き違いの多かった父親と最後の大げんかをし、家を放り出されている。学校は当然(学費を払えないから)退学。そしてその後彼女はヴィオラ奏者として、自らの生計を立てるのである。かなり上手い奏者だったようだが、それでも女性蔑視の強い当時のイギリスである。まだ女性の参政権も認められていない。その彼女が大成した背景には、大戦で多くの男性奏者が参戦してしまったから、と言う事実もあると思う。 彼女の作曲活動は家族にとってはからかいの種でしかなかったらしい。それでも断固として書き続けた彼女のハングリー精神はむしろ反抗精神なのかもしれないが、他界3年前に思わぬ偶然から脚光を浴びたにも関わらず、彼女の遺族が彼女の残した直筆の多くや、自伝などの研究を許していないらしい。ピアノ三重奏や、ヴィオラ・ソナタなど、それでも主な作曲は再出版を最近果たし、ヴィオラ・ソナタに至ってはすでにヴィオラ奏者なら誰でも勉強する曲になっているが、彼女の他の作品や、彼女自身の人生についてはそういう訳で余り多くの資料が無い。 彼女のピアノ三重奏は、文句無しに素晴らしい、訴えかける物を多大に持っている作品である。胸をかきむしるような、悲痛な演説の様な一楽章の第二テーマは、何か童謡や民謡を思わせるような、耳馴染みが無いのに懐かしいメロディーで在る。2楽章の沈痛な美しさも胸を打つし、3楽章のドライなユーモアには思わず踊りだしたくなる。私はこの余り知られていない作品を、library of congressで演奏出来る事を誇りに思っている。

レベッカ・クラークと言う作曲家について。 Read More »

今週末の5つの演奏

記録の為にも今週末の演奏の記録: 2月11日(金) 朝 ― 2月12日世界初演予定の子供が参加できるように作曲された、ジョージ・ヒースコ氏作曲の"Alpha-Beta, One, Two, TREE!" を小学校で試験演奏。作曲家と言う物は、音で実験する科学者の様なものだ、と説明するジョージが子供の提案を募り、子供たちの前で曲を演奏して行く。子供はジョージの合図で曲と一緒に足踏みしたり、ダンスしたり、数を数えたり、アルファベットを唱えたりする。 2月11日(金) 夜 ― ライス大学のオーケストラで、去年作曲科を卒業したChris Goddardの曲, "Songs of Arion"のピアノ・パートを担当、演奏。この夜のオーケストラの曲はゴダード氏の曲を皮切りに、教授Desmond Hoebig氏によるエルガ―のチェロ協奏曲、そして休憩をはさんでショスタコーヴィッチの交響曲11番 2月12日(土) 午後 ― ヒューストンに在る美術館、The Menil Collectionにて、ジョージ・ヒスコしの "Alpha-Beta, One, Two, TREE!”の世界初演 2月13日(日) 午後 ― 学校のダンカン・ホールで3月にD.C.の国立図書館で演奏する予定の曲の一つ、レベッカ・クラークのピアノ3重奏を演奏。 2月13日(日) 午後 ― ヒンデミット作曲ヴィオラ協奏曲「白鳥を焼く男」をピアノ伴奏で演奏。

今週末の5つの演奏 Read More »

余裕

今日はびっしりと充実した一日だった。 9時に登校してから約12時間、毎時間予定が分刻みで入っている様な日だった。 でも、とても楽しかった。 心配していたリハーサルもとても上手く行ったし、皆と多いに笑いあいながら、 励まし合いながらリハーサルを進めた。 そして今日は金曜日とは打って変わって春のようなホカホカの日だった。 綿雲がゆったり流れている。 リハーサルの途中の休憩は、出来るだけ外でゆっくり過ごすように努めた。 普段はケチって水しか飲まないけど、今日は自分にご褒美でお茶とクッキーを買った。 そして今、しょうが湯を飲んで、16世紀イタリアのマドリガルを聞きながら(宿題) こうしてゆったりブログを書いている。 マドリガルは本当に美しく、しょうが湯は本当に美味しい。 そして、ブログを読んでくれているはずの色々な知り合いの顔を思い浮かべながら、 こうやって無心に日本語をタイプしていると、 邪念がどんどん消えていく。 今日は早寝。 明日も頑張る。

余裕 Read More »