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寝る、と言う事。

私は音楽家としてはかなり規則正しい生活を送っている方だと思う。タングルウッドでも朝の3時や4時まで飲み会が行われているのに、私はできるだけ12時前に就寝し、9時に片づけられてしまう朝ご飯は一度も欠かしたことが無い事を結構誇りに思っている。多分とても健康な印だと思うが、たまにする昼寝も15分ほどすればパッと目が覚め、とても元気になている。 でもやはり本番が立て続けにあった今日この頃は疲れていたのだと思う。昨日は朝朝食にギリギリセーフで間に合い午後の2時から5時まで、泥の様に眠ってしまった。その後オペラの最終本番が在り(日本人で指揮の研修生として参加している原田慶太楼君が堂々と振り切りました!凄い!)、オペラ打ち上げパーティーがタングルウッドのスポンサーで実に華やかに行われ、また夜中の1時半まで派手に飲み食い。。。今日は起床は10時でした。オペラの翌日と言う事でタングルウッドの特別計らいで朝食が11時まで延長されていたので、朝食はそれでも食べましたが、今夜の11時ですでにちゃんと眠いです。 今日はとても良い日でした。 昨日ストラウスの「ナクソス島のアリアドネ」を指揮すると言う大役を果たした原田慶太郎君が水餃子とパスタ・サラダと、蛸飯と納豆とつくだ煮と言う素晴らしいお食事会にもう一人日本人のピアニストのYさんと一緒に招待してくれたのです。久しぶりの純日本食と日本語の会話で、素晴らしい一時でした。本当になごみました。 それから、アウガスタ・リード・トーマスと一緒に"Traces"出版前の最終校正と録音前の打ち合わせで色々楽譜の表記の仕方や、解釈について話し合うミーティングをしました。凄く意見を尊重してくれるので、私も嬉しくなって本当に曲が出来上がる過程に携っていると言う感覚でワクワクします。 夜はベルナルダ・フィンクと言うメゾ・ソプラノとアンソニー・スピリと言うピアニストのリサイタルに行きました。リサイタルその物も素晴らしかったのですが(歌手の声も素晴らしかったが、ピアニストと本当に息が合うと言う感じで音色が溶け合っていてびっくりしました)、私の敬愛するルーシー・シェルトン(現代曲専門のソプラノ歌手でタングルウッドの教授。月夜のピエロを歌う代表的な歌手)のとなりの席に座って彼女と意見を交わしたり、聴き入る彼女の息遣いとか、どこに興味を持って聴いているかとか、垣間見れてとても面白かった。彼女はとても丁寧に曲の解説とか色々してくれて、ベルナルダを物凄く評価して、リサイタルの後は「こんなに良い演奏会の後は、絶対にいかに真剣に聴衆が喜んだか知らせるべきだ!」と言って恥ずかしがる研修生をひきつれて楽屋まで皆で挨拶に行きました。

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これから大活躍!

明日の朝から私は超売れっ子のスケジュールです。 8月1日(日)  朝10時のオザワ・ホールでの演奏会でアウガスタ・リード・トーマスのソロ・ピアノの為の"Traces"を演奏。 1時~2時半 8月3日のソロ・ピアノの演奏会出演者のリハーサルに参加。 7時半~ ストラウスのオペラ、「ナクソス島のアリアドネ」の初演 8月2日(月) 午後に8月3日のオケの演奏会のリハーサル(ジョン・ウィリアムズの"Seven for Luck"でピアノ・パートを担当)と、同じく3日のソロ・ピアノの演奏会の通し稽古 7時半~オペラ 8月3日 4時からソロ・ピアノの演奏会でシューマンの「子供の情景」から抜粋の演奏 8時半 オケのコンサートでジョン・ウィリアムズの"Seven for Luck"でピアノ・パートを担当 8月4日 7時半~オペラ 4日で6つの演奏会! 私は結構こういうスケジュールは好きです。張り切ります。

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ヨーガ

タングルウッドとほぼ同じ通りにKripalu(クリバル)と言う有名なヨーガ・保養所が在ります。昔、4年ほどに渡ってタングルウッドの研修生が実験台になり、「ヨーガが演奏での緊張を和らげ、本番に強い演奏家を養成する」と言う立証がされたそうです。研修生の20人は定期的に朝7時からこのヨーガ・センターでヨーガをし、他に何もしなかった20人と比べられるのです。研究の結果は「ヨーガは多いに演奏を良くする」だったそうですが、結果が出たらヨーガ・センターは希望の研修生にヨーガのクラスを無料で提供する事を辞めてしまいました。 でも、音楽家の中にはヨーガをする人は実にたくさんいます。私もやる時は週3回くらい定期的にやっていた時期が何度も在りました。タングルウッドでは今「夜のヨーガ会」が木管奏者の間でほぼ毎日行われています。私は演奏会やリハーサルなどで今まで一度も参加できませんでしたが、今日は参加して来ました。ゆっくりのストレッチでも呼吸と共にギュ~ンとやると、汗が出てきます。一時間みっちりやりました。気持ち良かった!

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良い日

朝食の時、少し元気が無かった。 今度8月1日に演奏する”Traces”と言う現代曲のピアノ・ソロ。 音は全て習得したのですが、昨日現代曲専門のピアニストの先生に「信念を持って弾いていないから、訴えかけてくるものが無い。もっと感情をこめて、自分の音楽性を発揮してみろ」と凄くしごかれてしまったのです。私はこの曲の作曲家であるアウガスタ・リード・トーマスと言う女性にとても魅入られているし、彼女と一緒にこの曲を作り上げていくプロセスが楽しいので、この曲の事を気に入っているつもりでしたが、やはり私の現代曲一般への猜疑的な態度がにじみ出てしまうのかなあ、と少ししょげていました。だって物凄い速い楽章をダーーーーッと弾いた後で、最後の和音を「最低15秒か、それ以上響かせる」とか指示が在ったりするのです。一生懸命頭の中で「1、2、3、4。。。」とそれまでの速いパッセージのせいで息を切らせながら、数えてはいるのですが、でも本当に音楽的必然性を感じて和音を響かせているのでは無いのが、何だか見え見えらしい。 その話しを朝食の時に皆に披露したら、皆凄く親身になって一緒に考えてくれました。「音を邪念を払って集中して聞いていたら、15秒なんてあっと言う間だよ」、とか「自分の呼吸を整えて瞑想し、次の楽章へ頭を切り替える凄く良い時間じゃない」とか、「必然性と言うのは、自分の中で作って行くものだ。もっと弾き込んで、身体にこの15秒をインプットしてみたら良いよ」とか。皆に一緒に考えてもらったのが凄く嬉しくて、今朝の練習はとても張り切った、集中した練習になりました。 そして午後、Lucy Sheltonと言う、私の凄く尊敬する現代曲専門のソプラノ歌手に頼み込んでこの曲のレッスンをしてもらいました。この人はショーンベルグの「月夜のピエロ」を歌う代表的な歌手です。どんな複雑な現代曲を歌わせても本当にドラマチックに、訴えかけてくるのです。でもやはり歌手だから、私は現代曲に対する心構えとか、そういう一般論的な質問をするつもりでレッスンをお願いしました。ところがさすが!「この細かく一音一音に表記されている強弱記号―右手はきちんと従っているけど、左手は全然できてないよ!」とか、「和音と和音の合間、手をじっと休めていてもタイミングは上手くつかめないよ。和音を手で鷲掴みにするつもりで、グワ、グワ、っと実際に動いて見なさい!ほら、余程自然な呼吸になって来た。」「フレーズの合間は実際に呼吸してみなさい。そうすれば身体もリラックスするし、音楽に句読点がきちんと付いて、余程分かりやすい構成になってくるよ」「こう言うダイナミックな曲は、音を一瞬きれいに無くする瞬間を入れ込んで行かないと、聴衆の耳も貴方自身の耳も音楽に付いていけなくなる。小さな休符もきちんと守って、チャンとペダルをクリアして、静寂の一瞬一瞬をきちんと作って行きなさい」 指示の一々が素晴らしく的確で、そのたびに目からうろこがボロボロボロボロ落ちて行くような感覚!! 夕飯の時に興奮して日本人のピアニストのYさんと、打楽器のT君に大声でいかにルーシー・シェルトンが素晴らしいか身振り手振りを交えて話していたらば、近くに座っていた子たちから「マキコは良いねえ、一言も分からないけれど、マキコが何だか凄く喜んでいるのが分かるから、こちらまで嬉しく成ってくるよ」と褒められてしまいました。

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鳩のひなが孵り、タングルウッドがなごむ

タングルウッドの研修生の大半が宿泊している寮の窓に鳩が巣を作り、卵をずっと温めていました。 タングルウッドの初日から、暑い日も雨の日も毎日です。 その雛が孵り、タングルウッドの皆がなごんでいます。 丁度窓の外に巣が在って、ガラス越しにのぞくと鳩が警戒して身体をそらすで可哀そうなのですが、 余りにも可愛いので、通りすがりに皆で必ず見てしまいます。 面白いのは、卵を温めている段階では鳩は警戒のそぶりも見せなかったのですが、 ヒナが孵ってからはそうやって身体を固くしてそらすのです。 ヒナは孵ってもしばらくは母鳥の身体の下に居るようで、今日で三日目です。 都会ばかりに住んできた私はこう言う田舎の自然に包まれるのは新鮮で、驚きが多いです。 田舎も、都会に負けないくらい音が在る事に気が付きました。 カエルの鳴き声、鳥の鳴き声、水の音、木の葉が風に揺れる音。。。 演奏会を会場のすぐ外の芝生で聴く時は (タングルウッドなどの音楽祭では会場の壁を開け放って人々が芝生でピクニックやごろ寝をしたりしながら 演奏会を楽しめる、と言うのが夏の風物詩です。) 突然、鳥が音楽に合わせるように鳴き始めたりして、芝生の人々の間からくすくす笑いが起こります。 昨日は、練習室に向かう途中、2匹つながっているセミの死体を見つけました。 どうしてつながって死んでいるのかとても不思議でした。

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