今日は、タングルウッド7週間中に三日間だけある完全休日の二日目でした。 (休日第一日は6月の30日でした) 数えてみたら、あとまだ5週間近くあるタングルウッド、 それなのにこの2日目の休日が皆、もう何日も待ち遠しくて堪らず これからどうなるのかな~、これからが本当に忙しいんだけど、と言う感じです。 昨日の夜は、休日前夜祭、と言うことでいたるところで飲み会があり、午前まで盛り上がりました。 私も2時位まで飲んでいました。 音楽家と言うのは一般的に健啖家で、美食好み、そしてお酒好きの人が多いです。 でもこれには少し、理由もあると思います。 演奏会と言うのは大体、普通の人のお仕事の後~就寝前に行われます。 私たちはその時に自分の体調が一番良いように調節しますから、 その前にご飯は食べませんし、朝は遅く、お昼寝をしたりすることもあります。 そして、演奏した後、と言うのは一種のナチュラル・ハイになっていて、 脳みそはまだフル回転しているし、気持ちも高揚していて、 そのままおうちに帰っても絶対に眠れない(少なくとも私は)。 あまりに疲れている時はそれでもバタンキューの時もありますが、 そういうときは必ず非常識な早朝に目が覚めてしまいます。 自分が演奏した曲が頭を離れずに、その夜の演奏のことをよく夢に見ます。 だから、お酒と、和やかなお食事が、ありがたいのです。 私はお酒に弱いので、それでも摂取量は少ないのですが、 凄い人はそのために出演料が。。。みたいな人もいます。 食事にも、凝る人が多いです。 ここのカフェテリアは素晴らしく、 いつも朝ごはんにはブルーベリーや、他のフルーツがどんぶりで食べられますし、 ワッフル、オムレツ、フレンチ・トースト、ヨーグルト、オートミールに各種シリアルと、 これ以上望めないバラエティーです。 夜ごはんも魚と肉、そして菜食のメイン・コースが必ず毎晩選択できます。 ちなみに今日の肉は子羊、魚はタラのソテー、菜食はパスタのクリームソース和えでした。 私の在籍するコルバーンのカフェテリアも、ここには劣りますが、 学校の賄い食としてはまず文句のつけようがないと思い(何しろ無料だし)、私は満足しています。 でも、私の友人の(19歳ですでに大学院を卒業してコルバーンに来た、ちょっと天才)のジョンは、 本気で涙を浮かべてカフェテリアの食事に抗議をし、それを理由に学校を去って行ってしまいました。 今は、他の学校で博士課程の勉強をしています。 そして、たまに一緒に食事をすると、本当に嬉しそうに 「う~ん、やっぱり美味しいものを食べると、触発されるよね。 美味しいものを食べることは、本当に大切だと思う」 と、言います。 私はそこまではこだわりませんが、それでもやっぱり美味しいものを食べることは大好きです。 今日はみんなで近くの中華料理屋さんでおひるを食べました。 ちゃんとしたアジア料理は久しぶりで、ご飯がおいしかった! 醤油味にも、ラー油にも、中国茶にも、感激しました。
肌寒い! 雨が続き、外は長そでのブラウスでジーパンでも肌寒く、みんなジャンパーを着ている。 それなのに蚊が多く、蚊よけスプレーやクリームをお互い塗りあい、 講義の途中や、時には演奏会中まで、 お互い頭や肩や背中を静かに、しかし圧力をかけてたたき合って 蚊退治にかなりの集中力を使っているのだが、それでも皆、蚊に噛まれまくり! 昨日の演奏会では、自分の演奏後に譜めくりをしてあげたピアニストの左手の周りを 蚊がブンブン飛び回り、私はそれを捕ってあげるべきか否かで、しばし悩んだ。 日本は蒸し暑い、と母からのメールに在ってびっくりした。 そういえば、もう7月ですね、七夕ですね、と言う感じ。 あまり夏の実感がわかない。 ここは北海道とほぼ緯度が一緒のマンハッタンよりもさらに北、 と言うことを思い出して、納得する。 今日は、比較的楽ちんな日だった。 昨夜は2時まで打ち上げで、皆で飲み会で盛り上がり、 今日は久しぶりに朝食が終わる9時にぎりぎり間に合うまで寝坊した。 そして久し振りに、ゆっくり自分のペースで練習して、 レヴァインが研究生たちのオーケストラとボストン交響楽団つきのコーラス、 そして名だたる声楽ソリストたちの豪華キャストで来週演奏予定の 「マイスタージンガー」のリハーサルを聴講した後、 ちょっとリハーサルして、夕食。 夜はベートーヴェンのピアノとヴァイオリンの為のソナタのリサイタルを聞いて終わり。 明日はレヴァインの声楽家の為の公開レッスンで演奏する。 トップバッターだし、今日は早めに寝ます。
演奏旅行の為に不在のアックス氏に代わって、 今日はチェリストのノルマン・フィッシャー氏によるメンデルスゾーンのコーチングがあった。 中西部で見かけそうな、古き良きアメリカ人、と言う感じの人だが、 始業式でシューベルトのチェロ五重奏で表現豊かな、エネルギッシュな演奏をして、 印象深かった人だ。 この人が面白いことを言っていた。 演奏家は三つの役割をこなす:音楽家、運動家、そして演奏家 これは企業に例えると、音楽家=企画・研究、運動家=工場・製作、演奏家=マーケティング 音楽家としては、アイディアを豊富に出し、そのためのリサーチや会議を行う。 運動家としては、練習をする。 しかし、コンサートでは、できた商品を兎に角売らなければいけない。 だから、出来上がった商品がなんであろうと、とりあえず良く見せろ! なんという実際的なアドヴァイス。 そういう風に考えたことはなかったし、ずいぶん俗っぽい言い方だが、 結構納得した。
日曜日の午後、ボストン交響楽団が春祭とブラームスのヴァイオリン協奏曲の演奏会をする。 今日、ジェームス・レヴァインが春祭の稽古を行うところを見学した。 自分の練習とリハーサルの合間のわずか30分だけの見学だったが とっても面白かった。 ジェームス・レヴァインはスター・ウォーズの第二に出てくる カエルのお化けみたいな悪者(ハン・ソロを冷凍してしまう奴)にちょっと容姿が似ているが、 今日、しゃべり方と声もちょっと似ていることがまず第一の発見だった。 そして、ボストン交響楽団も彼自身も、もう何回も演奏したであろう、 この有名な曲に、実に実に緻密に稽古をつけていくので、本当にびっくりした。 一瞬一瞬の音色から、曲を創り上げていく、と言う感じ。 「そこのところ、もう少しチューバ控え目に、高音を浮かせる感じで」 「ピッコロとフルートとクラリネット、他の木管の細かい音の邪魔にならないで、 ダウン・ビートで入る前に彼らのパッセージを聴いてあげて」 など、15秒とオケを弾かせっぱなしにしない。 そしてやり直して、指示がきちんと伝わっていることを確認すると、 必ず親指アップを出して、努力をねぎらう。 そして、指揮が割と大きく、実にはっきりしていて本当に音を体現している。 やりたいことが明確に自分で把握できていて、 それが実現できるまで妥協しない。 そしてそのプロセスを実に精力的、意欲的に、楽しそうにこなしていく。 触発された。
タングルウッド音楽祭は6月21日から8月17日まで、7週間半、二か月弱のプログラムですが、 正式な完全休暇の日は二ヶ月間中に3日だけあります。 オフィスも図書館も閉まり、コンサートもリハーサルもありません。 今日はその完全休暇の日でした。 「湖で泳ごう!」とか、「買い物に行こう!」とか、企画は色々あったのですが、 皆寝坊をして、ゆっくりご飯を食べ、 ここに来てから久しぶりに外界の友達と長電話をして、 昼寝をしているうちに夕立ちが来て。。。と言う感じで、 結局一日が脱力した感じで過ぎてしまいました。 環境の変化とかを自覚する間もないまま、リハーサル、コーチング、公開レッスンと 立て続けにいろいろあって、その合間にお互いの名前を覚えあい、探り合い、 心地いい距離を測りあい、と、楽しいけれど、やはり疲れるプロセスだったんだ、 と改めて自覚します。 一応キャンパスに行って、ガラ空きのキャンパスでちょっとだけ指を動かしましたが、 帰りのバスの中で爆睡してしまった自分に驚きました。 明日から7月! また心機一転で、頑張ります。