November 2011

3日、缶詰しました

木・金・土・日と感謝祭の4連休だった。 私は、13歳でアメリカに移り住んでから初めて、感謝祭をご馳走で祝う事をせずに 木・金・土と家に引きこもってリサーチ・ペーパーを書いた。 題目は、「メシアンの『天の都市の色彩』に置けるグレゴリアン聖歌の使用と、 クリスチャンでは無い演奏家、そして聴衆の一員としてのアプローチの仕方」。 20世紀の代表的な作曲家、オリヴィエ・メシアンは熱狂的なカトリック信者で、 自分の作曲をキリスト教の真実を表現するための手段、としていた。 彼は、特に二つのことにおいて有名。 ①バルトークが世界の僻地を旅して、民族音楽の収集を始めたのと同じ感覚で、彼は世界中の自然の中に入っていき、世界中の色々な鳥の鳴き声を楽譜におこして、自分の作曲に取り入れた。 ②第二次世界大戦中、捕虜に取られた彼は食糧不足で厳寒の劣悪な環境の中、ドイツ軍の捕虜収容所にたまたまあったアップライト・ピアノ、弦の一本切れたチェロ、ヴァイオリンとそしてクラリネットのための「世の終わりのための四重奏曲」を作曲、収容所の中で何千人と言う捕虜のために初演を行う。その逸話と、「世の終わり」と言う聖書に基づいた題材、そしてインド音楽のリズムや、鳥の鳴き声などを取り入れた斬新な作法により、この曲は彼を代表する20世紀の名作となる。 彼に関する文献はとても多いし、また彼自身が自分の作法について書いた楽理の本や、インタビューなども山の様にある。そして読めば読むほど、彼の信仰は私の想像を絶するレヴェルなのだ。例えば、私にもマリアの処女懐妊は、象徴的な逸話としてならば受け入れる事が出来る。しかし、彼(や彼のようなカトリック信者)にとってはこれは歴史的事実なのである。その彼が書いた、「天の都市の色彩」はキリスト教新約聖書にある「最期の審判」、世界の終焉のあとに訪れる、信者のための天国を描いた作品だ。私はこの曲(ピアノ・コンチェルトと言っても良い、独奏ピアノと室内楽オケのための曲なのです)を4月20日に学校のオケと演奏することになっている。ほとんど布教活動的、と言っても良いようなこの曲を、信者でない私がどうやって解釈し、どう表現するのだろう?私は無神論者と言い切ることはしない。しかし、組織的宗教は歴史上色々な悪行を行って来たと思っているし、ある視点を排他的に「絶対的真実」として提示し、不特定多数の人間に理論を越えて信頼する事を要する組織は、宗教であれ、軍隊であれ、危険で、好ましくない、と思っている。 クラスの課題をこなすだけでは無い、自分の精神的スタンスを問われるようなリサーチのプロセス、そして三日間だった。とても貴重な時間だった。私はもうすでに無くなったメシアンをかなり親しく知る事が出来たと思う。メシアンは、とても楽天的な、とても幸せな、無垢な人だったのだと思う。非常に頭が良い人だったと思うけれど、彼がその楽天性や、無垢な状態を保つためには、カトリック教徒であることが必要だったのかも知れない。そして私は文化、信仰、時間、そして言葉の違いを超越したところで、彼の音楽を通じて、彼の精神性と繋がれると信じるし、彼も同じことを言っただろう、と確信する。 音楽って素晴らしい。私は、今自分の人生がとても好き。4月20日の演奏が楽しみ。

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ブログ

このブログ、タングルウッド音楽祭に参加した一年目、2009年の夏から初めて早2年を超えました。 ここに来て、急に不調! ここ2週間ほど、ブログを書いて、「全員に公開」をクリックすると、マッサラになってしまうのです。 そんなわけでしばらくお休みしていました。 いつも読んで下さっている方に「私は、忙しいけど元気ですよ~」とお知らせしたくて気がかりでしたが… 今日、ちょっとテストして見たら成功したので、これだけ書いて公開して見ますね。 それ!

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グッド・タイミング!

金曜日は、ヒューストンの日本人会の方が中心となって 私の5枚目のCD,「ゴールドベルグ変奏曲」完成記念の会を開いて下さいました。 (このCDに関する情報はこちらから=http://www.cdbaby.com/cd/makikohiratapianist) 土曜日の演奏会のための学校のオーケストラのリハーサルが5時に終わってから ヒューストン・ダウンタウンにある会場にドレスを持って直行! そのまま音出しをして、会場の音響を確かめます。 私と会の趣旨のの紹介、ちょっとゴールドベルグの触りの演奏の後、 皆さんとのお食事(ステーキやえびやチーズケーキの出るコースで、美味しかった!) そして私のデモンストレーションを交えたゴールドベルグに関するトーク。 皆さんにこやかに身を乗り出して聞いてくださり、活発な質問が沢山出る、 とても素晴らしい会となりました。 ヒューストンで、このように日本語で私の熱意を分かち合って下さる同郷人と一緒に 熱く語り合う時間を持てて、本当に凄く嬉しかった! 持って言ったCDが、完売してしまいました!! オーマイゴット! これから「ヒューストンの若手演奏家を支援する会」で定期的に演奏会をしよう!と 積極的におっしゃって下さる日本人会のVIPの方々と夜中の2時まで語り合いました。 そして昨日の夜は学校のオーケストラの演奏会。 私は、ライス大学、シェパード音楽学校のオーケストラは正直、 多くのプロのオケ(例えばヒューストン交響楽団)より上手いと思っています。 大きな理由を二つ挙げると、指揮のラリーラックレフが素晴らしいのと、 一つのプログラムを入念に3週間リハーサルする、と言う事があると思います。 私がこの学校に来た理由には、このオケの評判とラリーラックレフの物凄さがあります。 そんなわけで、私はオケの鍵盤パートを誇りを持って担当しているのですが、 昨日はピアノ・パートがかなり重要なレスピーギの「ローマの松」、そしてバルトークの「舞踏組曲」が ドヴォルザークの交響曲8番に続くプログラムで、私はちょっと緊張して望みました。 シェパード音楽学校の大ホールは2千人ほど入る、本格的なものです。 音響も素晴らしいのですが、照明も素晴らしい。 毎回、ステージに上がって、調弦が終わり、指揮者がステージに登場する前の瞬間に 客席の照明が落とされ、ステージがほわ~っとまぶしくなると 戦意が高まる、と言うか思わず高揚感を感じます。 昨日の演奏は素晴らしかった。 本当に「ノル」と言う感覚でした。 もう次のパッセージとかのことを考えていない。 音楽の事だけを考えていて、自分のパートは思わず弾いてしまう。 考えていなくても弾かずには居られないという感じ。 オケと本当に一体となっている感覚。 私は結構、素晴らしい人生を送っているではないか、と思います。 とは言え、やはり寝不足の本番は禁物です。 昨日は午後のゲネプロの後、前後不覚に1時間半熟睡してしまいました。 起きたら、一瞬今朝なのか、午後なのか、何曜日なのか思い出せなかった。 20秒後くらいに(ああ、今日は土曜日でオケの本番の日)と思い出し、 あわてて時間を確認して、まだチャンとシャワーを浴びる時間があることを確認してホッとしました。 そして本番の後はかなりぐったり。 涙が出るかと思うくらい疲れていました。 そのまま帰宅して眠る事実に10時間。 しかし、今日は冬時間の始まり。 日照時間がずれるのにあわせて、真夜中に一時間時計を戻すのです! と、言うわけでたっぷり寝たのにその割には早起き、と言う超お得な日! グッド・タイミング、冬時間、ありがとう! 今日はショスタコーヴィッチの交響曲1番のピアノパートを担当します。 これも重要なピアノ・パートで有名な曲です。

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私も頑張る!

私のルームメートは統計学で修士2年生をやっている可愛い中国人だ。 おおらかで、控えめで、お料理が上手で、気前が良くて、優しくて、 私の妹を思い出させてくれるので、私は大好きだ。 彼女が物凄い頑張り屋さんなのである。 試験、宿題、プロジェクトと、徹夜もしばしば。 この二日間はろくに寝ていない。 「家賃、明日以降は罰金が付くよ。それからちょっとは寝ナよ」 と私がちょっかい出すと、「寝てる暇がないんだよ~」とそれでもにこやかに応対してくれる。 「大丈夫?ストレス感じてイラついたりしないの?」 と私が余計なお世話の質問をすると、 「イラついている暇が無いの。ただもう次のことをどんどんこなしていかないと」 と、物凄い返事が返ってきた。 う~ん、私よりもずっと、ずっと凄い! 私も触発されて、頑張ろう!と言う気持ちになった。 これから図書館に行ってきます!

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冬休みまで、後一ヶ月の追い込み!

これからの予定を書き出してみます。 11月4日(金)  6時半~「ヒューストン若手演奏家を応援する会」ヒューストン日本人会と日本総領事館の後援による「ゴールドベルグ変奏曲」CD完成記念の会。(お食事、トーク、演奏) 11月5日(土) 朝、Campanile(音楽以外の専攻のライス大学学生のオーケストラ)のリハーサル指揮。(ヴァイオリン・セクショナルを仕切る) 午後、Shepherd School of Music(ライス大学音楽学校の正式名)オーケストラのゲネプロ。 夜 8時~、Shepherd School Symphony Orhcestraの演奏会。レスピーギの「ローマの松」とバルトークの「舞踏組曲」のチェレスタ・パート担当 11月6日(日) 夕方5時半~ ヒューストンの高校生のためのオーケストラの演奏会でショスタコーヴィッチの交響曲一番のピアノ・パート担当 11月8日(火) 図書館リサーチのクラス、試験(参考文書・百科事典・辞書について) 11月10日(木) 作曲家Steve Stuckyと顔合わせ、と翌日の演奏会前の曲の解釈確認、打ち合わせ。 11月11日(金) 現代音楽シリーズ、Syzygyにて、Steven Stucky のソロ・ピアノ曲「Album Leaves」を演奏 11月12日(土) 朝、Campanile のリハーサル。正式な指揮者がこの日は休みなので、代わりに仕切る。 11月13日(日) 朝、ヴォランティアで、日本人会の方々と地域の公園の掃除 11月15日(火) 図書館リサーチのクラス、文献まとめのプロジェクト締め切り 11月18日(金) 誕生日! 11月19日(土) Campanile,最終リハーサル 11月20日(日) Campanile 5時から7時までゲネプロ、8時本番 11月22日(火) 中世音楽のクラス、ペーパー締め切り「メシアンの中世聖歌の使用について」 11月24日(木) 感謝祭 12月1日(木) 朝、図書館リサーチ方の期末プロジェクト締め切り 中世音楽のクラス、期末試験 夜、8時からコープランド、クラリネット協奏曲のピアノ・パート担当 12月3日(土) 1時~「自閉症児と家族のための演奏会」出演 思ったとおりの効果あり。 書き出してみたら、思ったよりは圧迫感が少ない! 出来る、出来る! 前向きに、前進!

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