October 2011

文武両道!

私がここで言う、「文武両道」の『武』の方は、練習の事である。 運動もまったく不足しているのだが、非常時なので冬休み(あと一ヶ月ちょっと!)まで目をつむる。 今、勉強が大変! 図書館リサーチ法(Bibliography)のクラスが色々な辞書の出版社、編集者のバックグラウンドを調べ、記事の信憑性を評価する、とか、膨大にある音楽百科事典の類のタイトル、用途、年月日などを覚える、とか兎に角時間がかかる宿題が多い。それに加えて、中世音楽の試験が来週の木曜日にある。さらに、指揮のクラスでは段々責任や担当曲を増やされ始めた。これは大変光栄な事なのだが、指揮法を学ぶ、と言うより半分は指揮する準備のための勉強方を教わっている、と言う感じで、でもこれを実践しようと思ったらそれなりに勉強時間を割かなければいけない。 しかし、ここで練習を割愛してはピアニストがすたる! 今練習中なのは、4月20日に演奏するメシアンの『天の都市の色彩(Couleurs de la Cité Céleste )』、 11月11日に演奏するSteven Stuckyと言うアメリカ人作曲家の「アルバム・リーフス」 11月4日にゴールドベルグCDリリース祝賀会があるので、そこでちょっと弾くためにゴールドベルグ、 11月5日にオーケストラの定期演奏会で弾く、レスピーギの「ローマの松」のピアノパートと、 バルトークの「舞踏組曲」のチェレスタ・パート。 そして特に演奏予定は無いけれど、この冬NYに滞在時にクローデ・フランクに聞いてもらいたい、 ベートーヴェンの協奏曲4番。 毎日最低2時間半は練習、が目標である!! そして指揮は毎日30分。 睡眠は出来るだけ削らず。 気分転換にストレッチやその場でジョギング。 好きこそ物の上手なれ、それぞれその時やっている事を『楽しい!』と思う気持ちを忘れない!

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ヤギの乳

今、ヤギの乳を入れた紅茶を飲みながらブログを書いている。 なぜ、ヤギの乳なのか。 この前パリに引っ越す友達の手伝いに行った際、食べ切れなかった食料をどっさり譲り受けたのである。 彼女は食安全に関して物凄く詳しく、また神経質で、物凄く遠くの農家まで無農薬、自然栽培の野菜を直接買いに行ったりする、食のツワモノである。その彼女の食料倉庫にあるものを、私は全部、興味津々で引き受けた。 その中にあったのが、冷凍したヤギの乳と、牛の乳である。 彼女は今、一般に行われている乳の煮沸消毒などのプロセスを、ミルクの中のエンザイムを壊す、体に悪い物、としている。彼女が買うのは低音殺菌の物凄く新鮮なミルクだ。でも、これをゲットするために何時間も運転しなければいけない。(しかもテキサスでは、低音殺菌の)乳は人間の飲料用にすることは違法とされているので、「ペット用」とわざわざ断りつきで買うのである。この手間は、並大抵ではない、と、言うわけで大量購入して、冷凍するらしい。ミルクを冷凍できる事さえ知らなかった私は、何から何まで信じられない。 「牛乳の方は絶対大丈夫だけど、ヤギのミルクはもう一年も冷凍して在ったから、解凍したらきちんと確かめてね。もしかしたらダメに成っているかも」と言われた。彼女の指示通り、冷蔵庫に入れておいたら、一ガロン完全に解凍するまでに4日かかった。 そして恐る恐る飲んで見る。 しかし、はっきり言って私はヤギの乳なんて飲むのは生まれて初めてなのだ。ヤギの乳のチーズは何度も食べているし、好きだが、このヤギのミルクが「大丈夫かどうか」なんて、分からない。 腹をくくった。ダメだったら、数時間後に腹を下すだろう。とりあえず一口飲んで、数時間待って大丈夫だったら、きっと大丈夫なのだ。味はほのかに牛乳より甘い感じ。後味がヤギのチーズと同じにおいがする。 そして、数時間経って大丈夫だったから、とりあえず大量にあるので、紅茶に入れてみた。 ちょっと不思議な感じ。 この大量のヤギのミルク、どうやって使おう? 蛇足だが、このミルクの入れ物には値段が書いてあった。 なんと、一ガロンのヤギのミルク、24ドルである!! やっぱり最後の一滴まで飲み干そう! しかし、どうやったら一番美味しく飲めるのだろうか?

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有効な時間の使い方

やる事が沢山ある。 練習、指揮、オーケストラ、中世の音楽の勉強、食事、睡眠、演奏活動にまつわる手配、メール、友達付き合い… そのリストの全てがとても楽しい事なのだけれど、 でもその集まりが時に(こなしきれないかも知れない!)と言う焦燥感を醸し出したりする。 さらに(こんなに毎日忙しくて、出会いが無い!私の赤い糸はどこに繋がっているの!?) と、トンでもない(でも無いのかな?)方向に頭が飛んで、集中がはるかかなたに飛んでいったりもする。 でも、この頃ちょっと工夫をすることにした。 それは、メリハリをつける工夫をする、と言うことである。 例えば、練習はタイマーをつけて25分ずつする。 25分のベルが鳴ったら、ストレッチしたり、水を飲んだり、トイレに行ったりして、絶対に休む。 でも、25分間は絶対に他に何もしない。 と、自分に約束すると、25分でかなりはかどるのである。 それから(忙しい)を理由に友達のSOSを断るのを止めた。 例えば、今週の月曜日にパリに引っ越す友達がいた。 彼女に日曜日の夜、引越しの最終でどうしてもできない事がいくつかある、とSOSを出された。 私はペーパーの締め切りがあったけど、「夜に行く」と約束した。 そして耳栓をしっかりして、本当に猛烈にペーパーに集中したのである。 限られた時間だったから、 (この時間には彼女の家に向かって出発しなければ)と言うプレッシャーがあったから 際限無く時間が在った場合よりも短時間で済ませられたと思うし、集中できたと思う。 そして、彼女にはとってもとっても感謝されたのである。 そして実際私が手伝いに行かなかったら、彼女はきっと全部出来なかったと思う。 物凄い満足感があった。運動にもなったし。 人が自分に何かを要請してきたら、何としてでも都合をつけることにする。 私の新しいポリシーである。 もう一度、宣伝させて下さい。私の新発売、5枚目のCD! http://www.cdbaby.com/cd/makikohiratapianist

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CD新発売!のお知らせ

私の最新CD、「Goldberg Variations」が出来立てほやほやで届けられました! 私は20歳の時に大病をして、自分でももうダメだと思い、一度は覚悟を決めました。 その時本当に幸運な事に、お医者様や看護婦さんを始め、 色々な方に必死に看護して頂いて、元気になりました。 母は病院の食事が食べられなくなった私のために手料理を持って毎日病院まで通ってくれました。 そして知り合いのつてで、私の病気を専門とする病院に転院の手はずをつけてくれました。 その時の転院のお世話をして下さった方にお礼を申し出たところ、 「マキちゃんが元気になって成功した時に、CDを頂戴!」と、きっぱりと断られたそうです。 その時の私はまだ音大の学部生で山の物とも海の物ともつかないピーピーの若造でしたが、 その方や、家族や、お世話になったお医者様や、私の成長に携わってくれた多くの方々のおかげで 私は今日5枚目のCDを出すところまで来られました。 発売はインターネットです。 http://www.cdbaby.com/cd/makikohiratapianist このサイトは生憎全て英語ですが、 それぞれのトラックからのサンプルも聞けますし、ダウンロードも可能で、 アルバムのカヴァーや、私の書いたプログラム・ノート、 さらに私のプロフィールなどもご覧いただけます。 来週中には、iTunesでもダウンロードが可能になるはずです。 ご希望で在れば、このブログにメッセージを頂ければ、 一枚2000円の郵便振込を頂いて、直接郵送も出来ます。

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金曜日の喜び

英語では、頭文字だけ取って略語とする言い回しがいくつかある。 例えば、「ASAP=As Soon As Possible(出来るだけ早く)」、とか「FYI=For Your Information(「ちなみに」、と言う雰囲気かな、文字通りには「あなたの情報のために言わせてもらえば」、と言う感じ)。 こういう略式言い回しの一つに「TGIF」と言うのが在る。 「TGIF=Thank God It’s Friday!(金曜日だ―神に感謝!)」と言うのである。 実は音楽家をやっていると、週日・週末と言うのはあまり関係ない。 演奏会の多くは週末にあるし、リハーサルとかも関係なくバンバン入るし。 でも、金曜日になるたびになぜかホッとして「TGIF」と行き交う友達と廊下で笑い合うのである。 (今週も色々あったけど、元気でこなせたなあ)、と言う一つの時間の区切りに対する安心感だろうか。 まだ私が初々しい学部生も一年生だった年。 マンハッタンと言う世界でも有数の大都市での初めての一人暮らしで色々な事にびくびくしていた。 ある夜、練習を終えて、暗くなってから急いで帰途についていた途中、物乞いのホームレスが立っていた。 私は彼を見て、何を感じたのだろうか。 覚えているのは、彼から声をかけられてびっくりした事である。 「Cheer up! It’s Friday! (元気出して、金曜日だよ)」と彼は私に言ったのである。 感慨深い思い出だ。 彼に声をかけられて、何だか気を取り直して元気になったことは覚えている。 彼の人生はあれから向上したのだろうか? マンハッタンでホームレスと言う厳しい状況の中でも私を気遣ってくれた優しい人だから、 きっとあれから幸運に恵まれたに違いない、と信じてみたい。

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