June 2016

みなとみらいの録音

明日はみなとみらい以来初めての演奏。 …と言う事で今日はみなとみらいの演奏を聴く、自己反省会をしました。 全体的には3つ。 1.演奏中は主観的に致命的に思えるミスタッチが実は一瞬のかすり傷。 2.内声部に集中しすぎると、主旋律が影が薄くなる。 3.拍に固執すると、『歌』がおろそかになることがある。 要するに全てはバランス。 視点も、声部の弾き分けも、拍vs歌も。 1.についてですが、このような話しを聞いた事があります。 スポーツ選手のスカウト・マンと言うのは、 その選手がいかにミスをしないかではなく、 ミスからの立ち直りがいかに早いか、を見るそうです。 人間、誰でもミスはする。 そのミスから来る心理的動揺と言うのから どれだけ素早く立ち直っていつもの自分のペースに戻れるか、 それがその選手の本当の価値だ、と言うのです。 私はこの話しを聞いて感銘を受けてから10年近く、 この事を心がけて頑張って来て、随分良くなった。 でもまだ上達の余地が多いにある。 例えば、普通の人なら気が付きもしないような小さなミスに一々細かく動揺している。 さらに、ミスの可能性がある難所で、ミスの可能性に動揺していることがある。 まだまだ、まだまだ。 2.はこれはみなとみらいのピアノにも少し問題があったかも知れませんが、 全体的にソプラノの音域に当たる部分、 人が一番一緒に声を合わせて歌いたくなるメロディーがもう少しはっきりしていたら もっと共感を呼び起こす演奏になっていたと思う。 3.はメトロノーム練習のし過ぎ。 メトロノーム練習はプレッシャーがかかる中での演奏に安定感をもたらしますが、 安定感と言うのは裏を返せば、つまらない、と言う事にも成りえる。 その瞬間の音の響きや観客の吐息、会場の雰囲気に臨場した反応を もっと細やかにするためには、安定したテンポ感よりも大切な物がある。 次にこれから明日、さらに5日と8日の演奏に向けて 細かい練習を要する曲の順位は。 1.ベルグ(入り組んだ内声部をきちんと整理して歌えるところまで練習) 2.リスト(ペース配分。最後のパッセージが自動的に弾けるまで技術練習) 3.ジョップリン(のり、ゆっくりメトロノームをかける練習) 4.ラフマニノフ (旋律の歌い回し) 5.ベートーヴェン(特に1楽章の第二旋律の手の交差を集中的に) 頑張るぞ!

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お陰様で盛況の内に無事成功!

みなとみらい小ホールは私の16年目になる日本での演奏活動の中でも 一番多く演奏させていただいているホールです。 港の見えるロビーが本当に気持ちが良く、 ふわ~っと広がる演奏会場の音響と共に素敵な非日常性を醸し出してくれる お気に入りのコンサート・ホール。 ここで祝い、感謝を述べることが出来た16年目の今年の演奏会は 特に感慨深いものがありました。 16年前に横須賀を拠点とする「海外で活躍する演奏家を応援する会」の斎藤さんに きっかけを作っていただいて始めることが出来た日本での演奏活動です。 もうすでにアメリカやヨーロッパで色々演奏の機会を頂いていた私ですが、 苦しいスランプの時期に日本で演奏を始めることになりました。 最初の数年は足も手も声も震え、 本当に生きて弾ききれれば御の字と言う感じで 早打ちする心臓を抑え、恐怖心と戦いながら、 歯を食いしばって毎年頑張りました。 演目の間に舞台袖で膝を抱えて座り込んで 「怖い!」と駄々をこねたことも在ります。 見守ってくれた家族、「応援する会」の皆さま、 そして友人たちには心配をかけることも多々あったと思います。 (ここで辞めたら私はダメになる)と思って必死でしたが、 あそこで演奏の機会を与え続けてくださった人々、 そしてそういう私「初々しい」などと言う言葉と共に 暖かく応援し続けてくださった聴衆の皆様の愛情に ただただ感謝あるのみです。 まだまだ反省点も多い演奏ですが、 それでも場数を踏ませて頂いたと言うかけがえの無い幸運のお陰で、 私は反省点も前向きにとらえ、これからの練習の活力にできる 面の皮の厚さと、客観性を自分の演奏に対して持つことが出来るようになりました。 これから、もっともっと音楽人生の修行を通じて 人間として向上、そして貢献できるようになりたいと思っています。 これからもよろしくお願いいたします。 ところで、備忘録。 昨日の演奏会の準備に向けてうまく行った点。 1.演奏会前数日の徹底メトロノーム練習。(特に裏拍にメトロノームを合わせる練習) 2.ゆっくり、片手づつなど、地道で基本的な練習を本番直前までやったこと。 3.本番前、会場での練習をピアノに慣れるためだけの最低限にしたこと。 4.本番30分前に20分ほど爆睡したこと。 5.休憩中にエネルギードリンクを飲んだこと。 6.休憩中に横たわって目を閉じて3分ほど安静にしたこと。 7.演奏数時間前から演奏終了までの間に2リットル以上の水をがぼ飲みしたこと。 昨日の反省点。 1.本番前夜、本が面白くてつい熱中して3時間位で読破してしまった事。 (ちなみに読んだのは山口絵里子さんの「裸でも生きる」-素晴らしい!お勧め) 2.もっとイメージトレーニングをするべきだった。 3.もっとピアノに触らずに楽譜を読む時間を作るべきだった。 4.本番前はお腹が空かないのですが、昨日はもっと食べておくべきだった。 5.ペース配分に失敗してリストの最後で筋肉がパンパンになって困った。 (もっと脱力!) 6.トークの際、もっと口をマイクに近づけないと、エコーがかかって聞き取りにくい。 7.もっとゆっくり喋る。 8.ラグタイムの時、みんなと一緒にリズムを手でたたく時はもっとゆっくり。 9.休憩中にもっと糖分を取るべきだった。 まだまだありますが、それは次の演奏会の前に。

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いよいよ明日みなとみらいです!

今日は体力温存の日。 明日はいよいよみなとみらいです! 美しいホール、良く鳴る音響、そして完璧に調整されたピアノで 聴衆の方々と再会できるのは、本当に音楽人生冥利に尽きます。 私の演奏会は今年で16年目になりますが、 16年前から毎年欠かさず来てくださっている方々もおられます。 例えば私が小三の時に担当してくださった恩師のS先生。 幼少の頃、私の最初の先生をご紹介してくださったBおじさんとその奥様のNおばさん。 修士時代のクラスメートで現在は大活躍、音楽ジャーナリストのKさん。 そして久しぶりに来てくださる事が分かっているN校長先生。 音楽同志のKちゃん。 さらに今年は初めていらしてくださる方々も沢山いらっしゃいます。 色々なご縁で普段はあまりクラシックにお馴染みで無い方々も今年は多くいらっしゃいます。 皆さまに、心からくつろいで、楽しんで頂くためには、 どのような演奏で共感を促し、音楽を通じた会場の連帯感を強め、 そしてどのようなトークで演目を弾き進めていけば良いのか。 皿洗いをしながら、論文のリサーチ用読書をしながら、 ご飯を食べながら、イギリスのEU離脱のニュースに驚きながら、 頭の後ろはいつも明日の演奏会の事を考えている自分が居ます。 ワクワク。 音楽人生万歳!

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泣きながら追悼演奏をしました。

親しくさせて頂いた人生の先輩が亡くなりました。 とっても面白い人で、いつも私を笑わせてくれました。 奥様と、NYの素敵なアパートでパーティーを良く開いてくださり、 (19世紀のサロンと言うのはこう言う物だったのでは?)と思わせるような 色々な分野の面白い方々を沢山ご招待されて皆が楽しく意見交換を出来る、 本当に触発される会に良く私も加えてくださいました。 「パーティーに何をお持ちしたらよいですか?今から買い物に寄ってから伺います」 と、メールをすると、 「それでは金の延べ棒が欲しいです。スーパーにあったら買って来てください」 と返してきた思い出は、今でも思い出し笑いしてしまいます。 若くしてアメリカに渡られ、 エンジニアとしての技術を活かされてビジネス界で大成功を遂げたのち、 若くしてそれを売られて芸術に没頭され、絵画や彫刻などに精進されました。 その姿は私の様に子供の頃から音楽の道を進んできたものの襟を正さすような、 インスピレーションがあり、色々私は触発されました。 私の人生の色々に本当に親身になって一喜一憂してくださり、 一生懸命私の話しを聞いてくれ、私よりも一生懸命私のためにお考え下さり、 私が忘れたころに「次はこうしたら?」と人生相談のリンクを送って来てくださったり、 本当に人生や、友好を、愛でて生きられた方でした。 私が菜食主義だった頃、私の演奏会に来てくださって、 演奏直後でお腹が空いていたた私のために 特別に手作りでスープも昆布だしの「菜食ラーメン」を作ってくださった。 演奏後にホッとしました。 若輩者の私に、本当に腹を割ってご自分の考えや人生観をお聞かせくださり、 そして腹を割って私と対話をしてくださいました。 私には親戚のおじさんの様な、心の拠り所、勇気をくれる人、大事な友人でした。 昨日は三鷹にある和風工芸品のギャラリー「静」さんで演奏だったのです。 自分の気持ちの中で追悼演奏にしようと思っていたのですが、 もう何年も「静」で私の事を聞いてくださっている方々にはやはり聞いて頂きたくて、 アンコールの時に和夫さんのお話しをしました。 そしたら、弾きながら涙が出てしまいました。 ラフマニノフの「哀歌」を弾いたら本当に涙と鼻水が出て、 鼻水がすすり切れなくて、どうしようかと思いました。 そういう私の姿を見たら、和夫さんはきっと大笑いをしたと思います。

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言語のバランスーバイリンガルの場合。

日本に帰ってくると嬉しい事は色々ある。 美味しいごはん、CMに大笑いすること、家族との時間、アイディア商品の奇抜さ… そういう事に加えて、私は本の虫なので、日本語の本を乱読するのが楽しい。 私のために母が図書館から推薦図書をわんさか借りてきてくれている。 「図書館で借りて読んで、これは良いと思ったので」と買っておいてくれて ピアノの上にそっと置いてある本もある。 お母さん、ありがとう! 父は、この前私が築地玉ずしでの会合にお味噌で参加させていただくことを知ると 「お!玉ずしに行くのか…」と自分の愛蔵書から 「築地玉ず90年~暖簾4代の物語」と言う本を貸してくれた。 1924年に創始のお寿司屋さんが東京大地震、世界大戦、高度経済成長、 そしてバブル崩壊をそれぞれどのように切り抜けて今に至るかと言うのを書いた本。 面白くて武蔵小杉から築地に行く電車約45分の間に熱中して大半読んでしまった。 この本を水戸黄門の印籠の様に自己紹介の直後に披露して 「勉強家ですね~」とちょっとポイントアップした。 お父さん、ありがとう! アメリカにずっと居て、帰国して来て日本語の本を読むのは、 野菜不足が続いた後に食べるサラダを食べているような感じである。 いつまでもいつまでも面白い!いつまでもいつまでももっともっと読みたい! 不思議な事に日本語の本を読むと、英語の本が読みやすくなる気がする。 私は今年アメリカ27年目の日本人としては珍しく、日本語の方が微妙に楽。 英語は今、学術本や学術論文ばかり読んでいるせいもあって、 日本語を読むよりも4倍くらい時間がかかってしまう。 ところが、日本語で楽しく読書をした後は「読む姿勢」が改善しているのかも知れない。 『食べるように読む』と言う感じが英語の読書にもそのまま反映する感じ。 言葉を読む、と言うより、知識を吸収する、と言った感じ。 私は二か国語しか喋れないが、9か国語とかしゃべる友人はどうなのだろう? 今度聞いてみよう。 一つの事に夢中になると、他の事にも夢中が移る。 さあ、練習も頑張るぞ! 今日は本番! 19時半開演! 千葉は稲毛のジャズSpot「Candy」! こちらです。http://blog.livedoor.jp/jazzspotcandy/

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