July 2016

音楽の記憶

時々、他の方々の音楽とか、演奏とかを記憶する能力に驚愕することがあります。 今年日本で演奏したラフマニノフ2曲は 2007年にリリースした私の3枚目のアルバム『Etudes, Seriously』に収録されています。 収録の直後、2007年の日本でのリサイタルで私はこの2曲を演奏していました。 「その時と演奏と比べて今回は...」と言った人があったのです! 9年前の演奏を思い出して、今回聞いた演奏と比べることが出来る!すごい! ちなみにこの方曰く、 「今回の『悲愴』は今までのベートーヴェンの中で一番良かった、 一番良く分からなかったのは『告別』。」だったそうです。 私は言われるまで自分が日本で『告別』を弾いていたことすら忘れていたし、 今ここに書くために自分が何年前に「告別」を演奏していたのか、グーグルしました。 (2009年でした。) 音楽と言うのははかない、時と共に消えてしまう時間の芸術です。 それが、人の記憶の中にとどめられている、と言うのは畏れ多い。 私は自分に起こった出来事とか、映画や小説のあらすじなどは、 人が驚愕するほど覚えていることがありますが、 事実や数字や地理、固有名詞、そして音楽に対する記憶ははっきり言って悪いです。 だから10年前の演奏を記憶して、現在の演奏と比べると言う事がどう言う事なのか、 想像も出来ない。 しかし毎年恒例で16年間続けていると、 毎年私の演奏会にいらしてくださる事をある節目として ご自分の人生に照らし合わせて記憶したり、楽しみにしてくださっている方々も いらしてくださっているようです。 有難い事です。 癌闘病を何年もされていたNさんは、毎年演奏後に 「来年も聞きに来れるように、一年間頑張ります」と私にご挨拶して下さいました。 ある年、もう入院されていたNさんは私に 「一時退院を演奏会の日に合わせて、友達に付き添ってもらって行きます」 と、絵葉書を下さっていたのですが、病状が急転し、叶わなくなりました。 演奏会後、病院にお見舞いに訪ねた私は、 Nさんと初めてゆっくりと会話をする機会を持ち、驚愕しました。 Nさんは、それまで来てくださっていた私の10数年分の演奏演目とドレスを 全て記憶してくださっていたのです。 もう一人、癌闘病中に私の演奏会にご家族でいらしてくださった方もいらっしゃいました。 私の演奏会がAさんがこの世で聞かれた最後の演奏会になってしまわれたのですが、 Aさん亡き後、Aさんの奥様とお子様が毎年演奏会にいらしてくださいます。 こういう方々の記憶は、私のインスピレーションとなって 私の演奏に織り込まれています。 私の音楽は私一人の物では無い、と言うのはこういう意味もあります。

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さ!生活が再開してきました。

昨日の夜はもう映画鑑賞をするくらいしか覚醒している手段が無く、 映画を観ながらも頭は夢の世界をさまよいそうでしたが、 頑張って10時半まで起きていたかいあって、夜は起きずに朝は割とすっきりお目覚め。 今日は生徒4人とのレッスンを再会するほか、 私が不在中のレッスンを受け持ってくれた友達とのミーティングを朝、カフェでやり、 お昼をヒューストンの親しい友達として、 その合間に、7月中に始める麻衣子さんとのブラームス・クラリネット作品のCD録音の練習! 博士論文もそろそろお尻に火をつけないと。 だんだん現実にフォーカスが戻ってきます。 プロジェクトは一杯! わくわく。 音楽人生万歳!

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時差ぼけ

ね、眠い... 時差ぼけを経験したことが無い人には多分想像が出来ないと思われる、この眠さ。 文献を読もうと思って文章を目で追っていても気が付くと自然に目が閉じている。 夢の中で在り得ない内容を文献の中に読んでいる。 「ウソ!?」と思った瞬間に目が明くのだが、瞼は限りなく重く、また落ちてくる… 時差ぼけの時期は食べ過ぎるか、全く食べない。 余りの眠気に食欲は無いのだが、眠気覚ましに食べ始めると止まらない。 今回は後者。 え~ん、こういう時はどうやって時間を有効利用したらよいんだ!? と、言う事でこれからのヴィジョンやプロジェクトをリストアップして 自分を奮い立たせよう!計画。 ...は、また明日。 兎に角眠い。 今、夜の7時15分。 おやすみなさい

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心のこもった贈り物

私自身は気が利いた、心や工夫や思いやりの詰まった贈り物をするのが苦手で、 でもその分、贈り物が上手な人に憧れて、自分もそうなりたいと思う。 私のヒューストンの心の友、佐々木麻衣子さんは 私に「素敵な贈り物が出来る人」の素敵さを教えてくれた人だ。 私たちが知り合ってから最初の私の誕生日に、 ヒューストンに移り住んで間もなかった私のために 私の顔写真を大きく入れたデザインを施した名刺をプレゼントしてくれた。 それから毎年、私が思いつきもしないような、でも適切で本当に思いやり一杯の 忘れられないプレゼントを毎年してくれる。 一番感激したのは、菜食主義だった時にプレゼントしてくれた豆乳メーカー。 実はその数年前、麻衣子さんが同じ機械を恩師にプレゼントするのを見て 「何て素晴らしい贈り物なんだ!」と褒めたたえていたのだ。 それを覚えていてくれたのと、特にその時菜食主義だった(一年坊主で終わったが)私に 「ちゃんとタンパク質もとってね」と言う愛情がこもったその贈り物に 私は今でも思い出す度に感激する。 私の直接の友達では無いのだが、 家族ぐるみのお付き合いを何十年もさせていただいているNさんには 人生を好転させるような贈り物を何回もしていただいている。 一番大きかったのは、13歳の時。 すでにNYに赴任していた父を引っ越し手続きを済ませて追う母と妹と私に それぞれ一つずつ、クリスチャンのNさんが「幸運のおめだい」をくださった。 成田行きの電車が出る駅までお見送りに来てくださった時の事だ。 成田までの電車の中で「幸運のおめだい」の説明書きを読んだ私は、その時決めたのだ。 「これからある時諸々には不快な事も不可解な事も困難な事も沢山あるだろう。 でも、私にはこのおめだいがあるから、すべてが意味がある、結果的に良い事になる」。 私は特にどの宗教の信者でもないし、 歴史的に宗教は悲惨な戦争や迫害を沢山引き起こしたと思っているけれど、 でもこの頂いたおめだいに、信じることから来る強さを教えてもらい、今でも実践している。 今年私は修士時代からの私の心の友のKさんにオークヴィレッジの夫婦マグを頂いた。 オークヴィレッジは「百年かかって育った木は百年使える物に」と 「環境との共生を目指したモノづくり」をモットーにしている1974年創設の会社で Kさんのご実家の家具はすべてここで買われたそう。 (オークヴィレッジ:https://www.oakv.co.jp/) ここの漆器のマグをお祝いに頂いて、その箱の中に入っていた説明書きで初めて 陶器をチャイナと言うように、漆器は英語で「ジャパン」と言う事をしり、 漆を塗る技術と言うのが縄文時代から培われて来た日本特有のものである事、 その漆から取られる天然塗料は他のどんな塗料より耐久性に優れていること、 漆塗りの工程、漆の器の使い方、そして漆塗り直しのサーヴィスについて知った。 日本人である事を改めて誇りに思い、この贈り物を長く、幸せに使おうと思った。

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無事盛況の内に終演いたしました~!

昨日の千葉美浜文化ホールでの演奏は、 ウィークデーだったことや、夜の演奏会だったこと、 さらにいつも千葉の演奏会の運営に携わってくれている方々の多くが 積極的に選挙運動にかかわっていらして超多忙中だったこと、 などからチケットの売り行きが懸念されていましたが、 本当に熱心に聴いてくださる方々がお集まりくださり、 横須賀からはるばる駆けつけてくれた友達なども居て、 大変うれしいラスト公演となりました。 本当に反応の良い聴衆で、私のジョークにはいつまでも笑ってくださるし、 「ブラボー」も出、また拍手の時に私が見るお顔が皆さまとても良くて、 (音楽をやっていて良かったな~)と思える演奏会でした。 演奏会に足を運ぶと言うのが、結構大変に思えたりします。 特に日本の交通事情では、駅までの道のり、乗り換え、などなどで、 演奏会に行く、と言う行為が半日がかりになってしまったりします。 例えば昨日は20時半の終演でしたが、中には帰宅が11時近かった人も居たでしょう。 でも、それでも私が曲がりなりにも演奏活動を続けていけるだけの人が来てくださる。 これが嬉しく、その道中をねぎらうつもりもあって昨日はリンカーンの話しをしました。 (「この話は良かった」と昨日言っていただけたので。) ご存知リンカーンは南北戦争のさなか暗殺されましたが、 その暗殺は劇場で、リンカーンが奥さんと観劇中に起こりました。 これは周知の事実ですが、南北戦争が終結に向かう大変な時、 なぜリンカーンが観劇をしていたのか、と言う事実に気が付く人は少ない。 私も指摘するまでそこに考えが及びませんでした。 リンカーンはどんなに忙しい時でも芸術鑑賞をすることは、 問題からいったん離れることで新鮮な視点で取り組むことが出来る 必需なものとして、定期的に観劇などのために時間を取っていたようなのです。 人生、色々あります。 今現代のこの世の中、音楽会に足を運んだり、観劇のために劇場に行くのは容易では無い。 でも南北戦争中のリンカーンにできるなら、私たちだってできるし、 リンカーンが必要だと思ったのなら、私たちにだって多いに意義がある事だと思います。 それになぜか、演奏会に積極的に足を運んでくださる方の多くは ご自分の人生も非常に充実している方々が多い。 例えば昨日、ヴォランティアスタッフとして午後から来てくださったご夫婦は 経営を始めたカフェを休業にして来てくださいました。 このカフェが面白い! パレスチナ支援のために始められたカフェなのですが、 パレスチナ在住のクリスチャンが作っているビール(タイベビール)を キリンや日本酒やウィスキーと共に出し、 オーガニック野菜を材料に作ったパレスチナ中東の軽食をお出しし、 本を読みながらくつろげるスペースのようです。 また、ライブや映画所上映会、勉強会などとしても活用されているようで、 パレスチナの映画もご上映なさったりされているようです。 Cafe & Bar/イベントスペース「平凡」。 http://tabelog.com/en/chiba/A1201/A120101/12038649/ こういう活動にも多いに触発されます! 音楽人生万歳!

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