2017

遅ればせながら...6月3日にラジオ放送された原稿です。

横須賀ゆかりのピアニストグループ、『スカぴあ』の創始者メンバーとして2011年に活動を始めた。 日本での演奏活動をずっと共催してくださっていた「世界で活躍する音楽家を応援する会」が横須賀拠点と言うだけの、メンバーの中でも一人だけ横須賀出身で無い、しかも在外の、お味噌の様な存在の私。 でも色々一緒に仲間としてやってきた。 その活動の一部。 FMブルー湘南78.5MHzで毎週土曜日朝10時半から放映されているクラッシック音楽番組『スカッとスカぴあ』。6月3日に私の日本での演奏活動の宣伝も兼ねて、出演させていただきました。その時書き起こした原稿をここに今日は挙げさせていただきます。 ちなみにこの番組、世界中どこからでもインターネットを通じてお聴きいただけます。リアルタイムのみですが。私は今月、8月の土曜日4回も担当です。放送終わったら原稿アップして行きますが、お聴きいただければ一番うれしいです。このURLでお聴きいただけます。 http://www.jcbasimul.com/?radio=yokosukafm それでは、6月3日放送された原稿をコピペ! ヒューストンのスカぴあメンバー、平田真希子です。先月、沢山の方々の様々なご支援の基、お陰様で遂に博士課程を取得し、さて、これから何を?と言う近況報告からまず今日は始めさせていただきたいと思います。私は今、二つの大きな目標に向かって歩み始めました。一つは、世界平和につながるような音楽活動をしたい、と言う目標です。音楽は想像力を刺激します。遠い昔のヨーロッパのベートーヴェン、ショパンがどのような社会背景、どのような心理で曲を書いたのか、思いを馳せるとき、共感する、と言う私たちの能力が増長される、と思います。この想像力と共感への欲求が、私たちをお互い助け合う、相手の痛みや苦しみに手を差し伸べられる、人間らしさを強めてくれる、と言う信念の基、これから色々活動を展開して行きたい、と思っています。その皮切りに、私は今年の夏から米日財団が一番力を入れて運営しているUS-ジャパン・リーダーシッププログラムに参加いたします。日本から20人、アメリカから20人選ばれた様々な分野の代表たちが2年間にわたり一週間ずつ今年は日本、来年はシアトルで集まって、世界情勢や社会問題などについて協議し、文化交流を行い、友情を育んで将来の国際関係を改善して行くことを目的としたプログラムです。過去にはヴァイオリニストのみどりや、オリンピック選手の有森裕子さんなどもご参加なさったプログラムです。もう一つは、音楽の効用と言う物を科学的に立証するためのリサーチに、音楽家として携わって貢献したい、と言う事です。最近、脳神経科学の世界では、音楽家の脳と非音楽家の脳に違いがあることが注目されているそうです。また、医療現場に芸術を起用することで、医療効果が高まる、と言う事を受け、アメリカの国立保健機構では新しく「芸術と医療」と言う分野を設けました。私はこの5月から、ヒューストンにあるCenter for Performing Arts Medicineでコンサルタントと言う役書きをもらい、自分の脳のfMRIイメージを提供したり、どのような音楽が脳のどの部分にどのような影響を与えているか研究している方に、音楽の基礎知識を教えて差し上げたりしています。 そんな中、来週からまた、今年17年目になる日本での演奏活動を行わせていただくために、来日いたします。6月17日(土)に13時半開演で品川きゅりあんでさせていただく演奏会を中心に、様々な場所で7回演奏させていただきます。詳しくはMusicalmakiko.comをご覧ください。今年はいつもにも増して、思い入れが強い帰国です。選曲にも、私の修行や考察の結果を反映させてみました。題して「天上の音楽 vs. 地上の英雄」。前半が天上の音楽、ゴールドベルグ変奏曲です。なぜ、天上の音楽イコール地上の英雄かと言うと、ゴールドベルグ変奏曲が、古代ギリシャの「音楽は天上を体現している。惑星が天上で動き回る時に醸し出す、私たちには聞こえないその音が究極の音楽だ」と言う考えを受けて、バッハの数字学や宗教観を非常に投影させて書いた曲だからです。後半の「地上の英雄」では、思想・工業・社会革命などを経て、数字や宗教などと言ったものに絶対的な真実を求めるのをやめ、代わりに主観が大事になった時代、活躍したベートーヴェン、ショパン、そしてリストの特に英雄をテーマにした曲を集めて、歴史考察を試みます。 私の選曲からまず、オープニングだけ、味見的にお聴き頂きましょう。まず、「天上の音楽」、ゴールドベルグ変奏曲のアリアです。グレングールドの1955年の録音からお聴きください。https://www.youtube.com/watch?v=Ah392lnFHxM (0:51、前半の終わりまで) 対称性、バランス、等と言ったものが重視された、美しい曲ですよね。実はこのアリアの中には30の物凄い変奏を可能にする種が沢山潜んでいるのですが、そんな事はおくびにも出さず、あくまでも平穏に響く、広く愛される有名なアリアですよね。 次にベートーヴェンのソナタ第一番をお聴き頂きましょう。1794年の作品です。この時代にはすでに啓蒙主義が浸透し、個人の思想や感情と言ったものが重視されています。感情の方が知性よりもより道徳的である、とするセンチメンタリズムなどを受け、疾風怒濤と言う、美しさよりも劇的さを好む動きが、音楽や文学などに見られるようになって来ています。リヒテルの1976年の演奏です。https://www.youtube.com/watch?v=X4KGTrk9ah4 (0:55まで) 音域、強弱の幅、音の長短、静寂の音楽的使い方と言ったものがバッハのアリアよりもずっと劇的ですよね。後半では、ベートーヴェン、ショパン、リストと進むにつれ、この傾向がどんどん強くなっていくのがお聴きいただけると思います。これには美的感覚の変化だけでなく、工業革命を受け、ピアノの急激な品質改良がおこなわれた、と言う事も反映されています。さらに、資本主義的な経済になり、音楽や演奏会が商品化されて、演奏会場がどんどん大きくなり、一つの演奏会の聴衆の数がずっと増え、そのために音量も劇的要素も市場のニーズに応えて大きくなっていったのです。 その傾向を次にショパンとリストで比べてみましょう。まず、こちらも有名!ショパンの英雄ポロネーズです。キーシンの演奏です。https://www.youtube.com/watch?v=Ac1qWwc0pG0 (1:06まで) このオープニング、ドラマチックですよね。聴衆の期待をあおるような、(これから何が起こるんだ…!)とワクワクさせてくれるようなちょっとミステリアスで緊張感のあるオープニングです。 そしてさらにドラマチックなオープニングがこちら。リストのメフィスト・ワルツの一番です。この曲はドイツの悪魔伝説に基づいたレーナウの詩を基に作曲されています。リストの描写です。悪魔メフィストフェレスと、悪魔を呼んでしまった主人公ファウストがあるいていると村の宿場で結婚式が進行中。メフィストは音楽家からヴァイオリンを奪い取ると、魅惑的な音楽を奏で始める。ファウストは、メフィストの奏でる音楽をほれ薬にして村の美人を踊りへと誘い出す。」と言う事です。まず、オープニングの数秒だけ、お聴きください。https://www.youtube.com/watch?v=o59zEOq1uBY (最初の16秒のみ) こちらも劇的ですよね。これ、何を表現しているか、お分かりになりますか? https://www.youtube.com/watch?v=KfSH1ezevjM (0:02から0:16まで) メフィスト・ワルツのオープニングはメフィストが調弦をしているところから始まっているんですね。実ににくい演出ではありませんか?   このメフィスト・ワルツ一番はオーケストラ版とピアノ版がほぼ同時に作曲されました。ピアニストが英雄視され、崇拝された理由の一つには、この個人主義の時代に於いて、一人でオケと同じ音楽が演奏できる、と言う事もあったのです。では、メフィスト・ワルツ、今日はオケ・バージョンでお楽しみいただきましょう。ストコスキー指揮、ロンドン交響楽団の演奏です。https://www.youtube.com/watch?v=RUyAkl_x_i4 (時間が許す限り。) 今日の『スカッとスカぴあ』はヒューストンから平田真希子がお届けしました。来週から来日して6月17日品川きゅりあんで13時半開演の演奏会を中心に、3週間で7回演奏いたします。詳しくはホームページ、Musicalmakiko.comにてご覧になってください。日本での再会を楽しみにしています。

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今年もありがとうございました。行って来ます!

今年の日本での活動では3週間で実に600人以上の聴衆の方々と音楽交流することが出来ました。 感謝の念に堪えません。 昨晩最後の「『天上の音楽』vs.地上の英雄」を武蔵境にあるギャラリー「静」で弾き終え、今日ヒューストンに発ちます。 また行ってまいります。長い間、ありがとうございました。 飛行場では溜まっているメール、飛行機の中では読書と爆睡に励みます。 ヒューストンに着いたらまた盛りだくさん! そして次の帰国は7月20日から11日間。US-ジャパン・リーダーシッププログラムに参加します。

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書評:恩田陸「蜜蜂と遠雷」をピアニストとして読むと…

日本に帰って来る度の楽しみには色々(食!)あるが、乱読もその一つである。平田家はみんな本が好きなので、帰ってくるとすでに両親からの「推薦読書」が結構ある。妹が漫画をシリーズで図書館から借りておいてくれてある時もある。今年は特にUS-Japan リーダーシップ・プログラムへの参加を来月に控えて、みんなの推薦読書がより硬派になっている。私の音楽馬鹿さ加減を一か月で解消しよう、と言う野望には無理があるが、でも面白く・ありがたく読み進んでいる。 今日のブログには今年の直木賞受賞で話題になった、国際ピアノコンクールを描いた小説「蜜蜂と遠雷」について書きます。この本は私の演奏会に来たお客様にも意見を求められるほどだった。今朝読破。小説の中心になる4人の登場人物がコンクールに勝ち残れるのかどうか、気になってぐいぐい読んでしまう。まず第一印象から言うと、この小説はバレーを題材にした少女漫画(例えば有吉京子の「スワン」)によく似ているな~、と思った。そしてピアニストとしてピアノ・レパートリーの描写をどう思うかと聞かれると、私は筋を追う事に専念して、特に小説の終わりの方はそう言う所は読み飛ばしている自分を発見した。一般のお客さんには「ピアニストは演奏中何を考えているのか」と言う興味に夢が出て、この小説のお陰でクラシックの人気が高まるのかも知れない。そうすれば私もうれしい。今回の帰国で、家族の気遣いが例年より細やかなのも、もしかしたらこの小説のお陰なのかもしれない。私がこの小説で一番共感したのは、「練習と言うのは掃除に似ている」と言う所である。曲(家)が小さければ、掃除も簡単。でも曲(家)が大きくて、構造が複雑であればあるほど、その家をきれいな状態に保っておくことが難しくなってくる。一か所をきれいに保つことを集中すると、他がいつの間にか汚くなっている。でも、段々効率よくその家をきれいにすることをマスターするとやがて、花を飾ったり、特別にぴかぴかに磨いたりして、自分らしさを演出することが出来るようになる。この描写は(そう言う云い方もできる!)と深く共感した。それから本番前と演奏中の緊張の描写。特に三次予選トップバッターがプレッシャー負けして暴走する部分は、凄い洞察力・描写力だと思った。恩田陸は幼少からピアノを習い、大学時代にはビッグバンドでのサックス演奏経験などもあるようだが、それにしてもすごい。 でもやっぱり、少なくともピアニストとしての私の実感とは違うな~と言う所もある。そして風間塵と言うキャラクターはかなり現実離れした状況設定。曲に対する奏者の事細かなイメージ描写も、う~ん、やっぱり音楽とか音楽体験を言語化することの限界を感じてしまう。それから小説に於いて注目されるコンテスタントの二人が日本人、もう二人が日本人とのハーフと言うのも、この小説は国際的にはベストセラーにならないな、と私が思う理由である。あと、もう少し違う国の教育とか音楽観とかピアノ技術へのアプローチの違いを浮き彫りにした方が、舞台を国際コンクールにした理由がもっと生きるな、と思った。 同じく音楽を題材にこれから色々執筆しようと思っている私が一番うれしかったのが、ナクソス・ジャパンとの提携で小説で出てくる曲全てを、著者のイメージと合った演奏で聴ける、と言うサービスがあること。http://www.gentosha.jp/articles/-/7081 私も自分の著書にはCDを付録して出版したいと思っている。私の場合は自著自演になるけれど。

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障がい者とご家族のための演奏会

昨日は千葉女子専門学校と障碍福祉サーヴィス「まあるい広場」、そして千葉の「平田真希子応援団」の皆さんのご協力により、障碍者とその家族のための音楽会が実現しました。音楽が特に自閉症などをお持ちの方々に効用を発揮することは証明されていますが、でも実情ではこの様な方々が普通の演奏会にご出席なさりにくいのです。通常のクラシックの演奏会では聴衆は儀式のルールにのっとった行動を期待されます。静粛不動で、決められた場所で拍手をする。それは、正直なところ大方の人に窮屈なのではないでしょうか?特に、色々な事情をお抱えの方々はこのルールに徹するのは無理がある場合が多いのですが、そうすると他のお客様のご迷惑になる場合があり、ご家族も恐縮されてしまいます。だから障がい者とそのご家族が、何の心配も気兼ねも無く、堂々とおおらかな気持ちで音楽を楽しめる会が出来れば良いな~、といつも機会を探しています。 昨日は思いがけず多くの方々にお越しいただけました。主に自閉症、ダウン症と言った知的障碍をお持ちの小さなお子様から大人まで、そしてそのご兄弟や保護者の方々、そして施設や団体関係者の方々など雲行きのあやしい土曜日の午後でしたが、120名位の方々がお集まりくださいました。中には車いすの方もいらっしゃいます。(音楽会の会場に居る!)と言うだけで興奮と緊張のあまり車いすの中で跳躍の様な動きが何分も止まらない男の子も居ました。開場前の私が少し練習の手を止めると、その度に一生懸命一々拍手をして下さる方も居ました。 時間が来て会が始まった時、私はまず音と言う物がいかに空気の振動で耳の鼓膜だけじゃなくて、聞いてくださる方を囲んでいる空気の全てを振動しているか、と言う事、だから私はピアノを弾くとき、聴衆の皆さまを一人ひとり優しく触れるつもりで弾いています、と言うお話しをしました。そしたら最前列の女の子が自分の頬っぺたを優しく触れているのです!うれしい…。そしてみんなの興奮を沈め、音に集中してもらうために、まず一音だけぽ~んと弾きました。そして皆には手を挙げてもらって「音が段々小さくなって、もう聞こえないと思ったら手を下げてください」とお願いしました。そしたら会場の空気が本当に集中して来るのが手に取るように分かったのです。不思議な感じでした。 その次にバッハの平均律集一巻から前奏曲一番を弾きました。 「この曲はいつも同じフレーズが二回繰り返されます。皆で一回目に息を大きくゆっくり吸い、二回目で大きくゆっくり吐いてみましょう」と言ってまずデモンストレーションをした後に曲を弾き始めました。そしたらみんな本当に一生懸命私と一緒に息を吸ったり吐いたりしてくれました。 その後にショパンのエオリアン・ハープを弾きました。 次は同じショパンの「英雄」ポローネズ!主題の勇ましいテーマが聞こえたら敬礼をしてください、とお願いしたら、みんな一生懸命聞いて、敬礼してくれました。ちょっとダイジェスト版にして、中間部はカットしましたが、全部弾いても皆一生懸命に聞いてくれたのかも知れません。 皆が元気づいて、にぎやかになってきたので、次は鎮静効果のあるドビュッシーの「月の光」を情景の説明をしてから弾きました。 そして「月の光」比べで、次はベートーヴェンの「月光」の一楽章。 そしてベートーヴェンが難聴・失聴に打ち勝った英雄だったと言う事をお話しした後、ソナタ一番の終楽章を弾きました。 人間と言うのはいかなる困難にも打ち勝つ事の出来る強い生き物だ、と言う事で、スクリャービンの左手のためのノクターンを弾きました。右手を故障してしまったピアニスト、戦場で右手を亡くしてしまったピアニストでも、生きている限り音楽を続けようとする意志のある人達が左手のための曲を沢山委嘱しました。その事だけでも、人間賛歌、そして困難を直面している人への応援歌となる、と私は思い、私自身がいつも勇気づけられます。 終演の時間が近づいてきたので、みんなで楽しい気持ちになってもらおうと思い、係りの方に鈴や太鼓やカスタネットなどを配っていただいて、みんなからリクエストを頂き、「サザエさん」「キャンディ―キャンディー」「ドラえもん」「水戸黄門」などのテーマソングを弾いていっしょに歌ってもらいました。みんな一生懸命歌って手拍子や打楽器で参加してくれました。エリーゼのためにも弾きましたし、最後のアンコールではトルコ行進曲でみんなに足踏みをしてもらいました。昔はこういうみんなが喜んでくれるポピュラークラシックや、アニメ・ソングなどを弾くのは、本当に心外だったりした時期もありました。自信が無かったのだと思います。でも今は私は音楽は楽しくなければいけない、と思います。そして本当にシェアするためには歩み寄りもしたい、と思います。 楽しい会でした。皆に喜んでもらえて、私も本当に嬉しかった。 音楽と言うのは本当に治癒能力があると私は信じています。でも本当にその効果を必要としている、闘病生活を送られていたり、人生に困難を抱えていられたり、自分で移動が難しかったりする方々に生演奏を聴く機会と言うのは少ないと思います。こういう活動をもっと沢山やりたい、そしてこういう活動を広めていきたい、と思います。 今夜は千葉のジャズスポット「Candy」で「『天上の音楽』vs.地上の英雄」を弾きます!Candyももう10年以上毎年お邪魔しています。通の常連さんが沢山集まる、熱気あふれる音楽会場です。楽しみです。

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壇上で涙してしまいました…自分でもびっくり!

昨日は千葉美浜文化ホールでの「『天上の音楽』vs.地上の音楽」でした。音響もピアノも素晴らしいホールで前々から今年も楽しみでしたが、本番前の練習の時、あまりにも音がきれいで練習し過ぎ無い様に、本番のために体力温存するため自分を制するのが難しい感じでした。こういう時、本番前は結構苦しいです。素晴らしいごちそうを目前に、お預けを食らっている感じです。 今、昨日の録音を聴きながらブログを書いていますが、素晴らしいピアノや音響と言うのは奏者を勇気百倍にし、また実際の助っ人にもなってくれます。私も昨日は本当に気持ちよく弾けました。まだまだ課題は多いのですが、でもきゅりあんよりも自分本位の演奏が出来た、と自負しています。 でも、ゴールドベルグを演奏する前にちょっとしたハプニングが… このブログを読む方の中には「寝耳に水」の方も多いかと存じますが、私実は毎年恒例で17年間行ってきた日本での演奏活動に一つのピリオドを打とうと思って今年は来日しています。今の形ではあまりにも家族や応援の会・応援団の皆さまへの負担が大きいと言う事、そして私ももう音楽博士の学位を頂き、長かった学生生活に終止符を打ち、ボランティアの方々に頼らなければ出来ない活動は辞めようと思ったのです。品川きゅりあんの際には、嬉しい演奏会の場で、その事をお客様にご披露するのも水を差すようで気が引けしなかったのですが、千葉の方では主催者をずっとしてくれていた叔母から「話しをしてくれ」と言われていましたので、ゴールドベルグの紹介の最後にちょっと言い始めたのです。 「私が今年特にこのゴールドベルグ変奏曲を弾きたかった理由は長~いこの曲の最初と最後にそっくり同じ形で提示される美しいアリアに、時間の不思議さと感慨深さを感じたからです。17年間、私も多大なご支援を得て演奏をしてまいりました。長いようでも短いようでもありました。色々な事がありました。私自身も色々経験・成長しましたが、お客様も皆さま色々おありでした。長い介護の末親御さんを亡くされた方も居ます。生涯の伴侶を亡くされた方も居ます。ご自身がずっと闘病生活を送りながら『来年も真希子ちゃんの演奏が聴けるように一年また頑張ります』と毎年おっしゃってくださった方も亡くなってしまいました…」ここで、ウっとなってしまったのです。自分でも全く予想していなかったことでした。でも本当に沢山の方のお顔が思い出されて感無量になってしまったのです。感謝と、『愛』としか言いようのない気持ちに襲われてしまったのです。 私は本当に幸せ者だと思います。これからは、音楽を通じた社会貢献・国際親善を積極的に模索・実行して行きます!また、ご招待いただければ日本でもどこでも、聴衆が居ればどこでも飛んでいきますので、是非ご相談ください:)

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