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会話術

あるジャーナリストとお話をする機会を得た。 (Nさん、こんにちは!) この人が、インタビューなどで人の話を本当に聞くと言うことがいかに難しいことか、言及された。 自分の世界観、先入観、価値観などのフィルターを通してでは無く、 その会話の相手をそのままの人間として受け入れる、と言うことは、結局不可能だ、と言われていた。 でも、それにできるだけ近づくべく真摯に聞く努力をする過程で、 それぞれの対話の相手を自分の世界観、先入観、価値観に取り入れることが出来、 自分の視野が広がるかも知れない、そうも言っておられた。 私も最近、自分がいかに人の話を聞けていないか、痛感している。 人と対話をするとき、その人の話す文章の前半を聞いて、後半に予測を付けてしまい、 その時点で、聞くのをやめてしまっていることが多いことに、このごろ気がついた。 これは、私の音楽の聴き方、さらに演奏中の自分の注意の払い方に全く比例している。 たとえば、クライマックスの前に長いスケールの上昇があったとする。 スケールはパターンだから、始まった段階で終わりまで大体予測がつく。 そうすると私はそこでそのスケールを聞くのをやめて、次のセクションのことを考えたりしている。 でも、こうするとそのスケールのクライマックスまでの盛り上がりが、最高ではなくなってしまう。 一音一音、来るべくしてくる音全てに耳を澄ます事が出来るようになると、 音楽全体が、緻密に、おのずから出来上がってくる。 会話でも、たとえば語尾まできちんと聞き、内容だけでなく、 その人の声音や、文章の終わりの抑揚の様子、その後の息まできちんと聞く、 と言うことが、本当に話を聞く、と言うことなのだと思う。 まだまだ、修行中です。

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疲れた時はどうすれば。。。?

将来対策の一環として、ある資格試験(内緒)を受けるべく勉強している。 今までも少しずつやっていたけど、テストが約一週間後に迫り、今日は5時間ほどぶっ続けでやった。 その後、練習、リハーサルなど、今日は割とぎっちりのスケジュールで、今、夜の8時半。 本当はもっと勉強したり、返信の必要があるメール、他の将来対策など、 今夜決行する予定だったことがまだ結構ある。 でも、頭の中で脳が充血して、腫れたようになった感じで、 何を読んでもすんなり入っていかないし、決断力も瞬発力も、ついでに楽観力(!?)まで、お留守状態。 こういうときは、皆どうするのだろう。 チョコレートを食べてみた。 ~全然変わらない。 久しぶりの友達と電話で喋ってみた。 ~楽しかったけど、脳みそはおんなじ状態。 なんだか今無理をしても、帰って逆効果なような気がするが、 それは私の逃げ?ここで踏ん張って頑張るべき? それとも、この「脳みその状態は、今日のインプットを消化中のサイン」と なるたけ楽に気分転換するべきだろうか? コルバーンに来て、ちょっと天才的な人たちを多く目の当たりにして、 そういう人たちの遊び人ぶりや、飲みっぷりや、怠け者っぷりにびっくりした。 私は特に4年前来たばかりの時は、本当に朝から晩までがむしゃらに練習して自己満足していたから、 本番の前夜に飲み会開いてどんちゃん騒ぎをして、本番直前に起床して 「二日酔い~」とか言いながら、凄い演奏する人たちを見て信じられなかった。 こういう人たちが本当に努力したらどうなるんだろう、と思っていたが今はちょっと考えが変わった。 皆、練習していない時間に、練習中に学んだことを反芻しているんだと思う。 だから今以上練習したからと言って、必ずしも今以上上手くなるわけじゃ無い。 そしてこの頃は、私も反芻するようになった。もとい、「反芻できるようになった」というべきか。 窓の外をボーっと見たりする。 気がつくと頭の中で、今日練習した曲が理想的に鳴っている。 (ああ、あそこはこういうイメージなんだ。)(ああ、ここはこの隠れた旋律がきれいなんだ。) そう、今の私は資格試験の反芻をしているんです。 怠けてるんじゃありません、断じて。 これでいいのです。 (-^□^-)

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ロスでの買い物

今週末は、結局何も買わなかったが、色々な面白いお店に行った。 まず、LAオペラが過去の衣装や、小道具などをバザーで売り出す、と言うので見に行った。 10時に始まって3時に終わる、と言うので私たちは2時ごろ行ったのだが、 そのころには凄く高いものか、凄くぼろいものしか残っていなかった。 でも10時ちょっと過ぎに行った友達は列が長すぎて入れなかったそうだ。 一番面白かったのは先シーズンLAオペラが初演を行った、 LAオペラ委託作品(Howard Shore作曲)「ハエ」の衣装。 ジョルジュ・ランジュランの小説「蝿」を映画化した、「蝿男の恐怖」をご存じだろうか? あれの、オペラ版である。 このオペラは私は見なかったが、見に行った友達は「あれはコメディー?」と首をかしげていた。 自分に生体実験を施した科学者が、段々蝿と人間の合いの子に変身していき、 最後に本当にハエになってしまう、というお話(だったかな?)。 その途中の「蝿人間」の着ぐるみがサイレント・オークションにかかっていた。 皆自分が払いたい額を表に書きつけていって、一番高く書いた人が競り落とす、という奴。 五千ドルからの競りだったが、かなり大きな着ぐるみで、あんなの買って、どうするんだろう。 他に、どっしり重そうな、中世のようなドレスとか、メキシコの帽子とか、色々あった。 それからびっくりしたのは靴のサイズ。 女性用の靴がズラリと並んでいるところがあって、行ってみたら一番小さいのが26cmで、 28cmとかが一杯あった。 もっと普通のサイズはもう売れてしまっていたのかもしれないけれど、それにしても大きい。 オペラ歌手が太っている、と云うのは一昔前の話で、 このごろの若いオペラ歌手は見た目も重視されるし、きれいな人が多いけれど、 それでもやっぱり背が高いほうが舞台映えするから、大きい人が多いのかも知れない。 そういえば、ドレスも大きいサイズが多かった。 その後、テレビの制作用の小道具の廃棄品を売るお店に行った。 墓石(の模型)とか、死体のマネキン(手とか、足とかがちぎれていて、血が出ている)とか、 映画「天使と悪魔」で使われた教会のセットとか、店頭に飾ってあるものは面白かったけど、 お店の中は結構普通の古道具のようなものが多かった。 ちょっとくたびれたソファー(いっぱいあった)とか、絵とか、家具とか、古着とか。 キャンセルされたシリーズ・ドラマのロゴが入った帽子やTシャツや椅子なんかが 山積みになって売り出されているところもあって、ちょっと物悲しかった。 でも、タンスだと思いきや、引き出しが開かない、要するに箱とかもあって、 一々結構面白かった。 やっぱりハリウッドが近所にあると、色々面白いなあ、と思った。

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お茶を飲む

先週5日ほど眠れない日が続いて、コーヒー断ちをすることにした。 そしたら嘘のように眠れるようになった。 コーヒーの代りに、朝いっぱいお茶を飲む。 今朝は「マンゴ・ブラック・ティ―」。 一箱2~3ドルのものなのだが、箱を開けたとたんにっこりするくらいいい香り。 今朝はおかげでずっと幸せな気分で練習した。 でもなんと言っても、私の一番のお気に入りはYogiと言うブランドの 「Super Antioxidant Green Tea (訳すと、超抗酸化緑茶?)」。 緑茶に、ジャズミンの花、レモングラス、タンポポの根やアルファルファの葉っぱ、リコリッシュの根など、 色々な物が混ぜて在って、本当に匂いを嗅いだだけで、体も心もきれいになった気持ちがする。 在る日、魔法瓶にこのお茶を一杯作って、幸せな気持ちで練習に向かう途中、 エレベーターに乗り込んだら、混んでいた。 学期も半ばに近付いてきて、みんな色々ストレスを抱えている。 コンクールに向けて準備している子も、お金の心配がある子も、譜読みがおっつかない子もいろいろいる。 そういう皆で、エレベーターの中が少し緊張していた。 私は自分のお茶があんまり嬉しくって、その効用を信じ切っていたので (よし、ここはお茶パワーの出番!)と、思い 「お茶が美味しくって嬉しいの。匂い嗅いで」 と言って、蓋を取ってエレベーターの皆に回した。 そしたら皆が匂いを嗅いだ順に「わ~、本当だ!」と、にこにこし出してくれたのだ。 お茶のパワーはすごい!凄く嬉しくなったひと時でした。

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不思議な世の中

行きずりの空手の先生と会話をする機会が在った。 私が音楽家だと知ると、「自分も空手をやっており、武芸(英語で"martial ART")を一種の芸術と心得ている」 と、自己紹介してきた。全くアングロ・サクソン系のアメリカ人男性である。 お互いの芸事について、いろいろ会話を進めていくうちに、 一番怖いこと、と言うところに話題が行き私が「暗譜の度忘れ」について話をしたところ 「空手でも似たことがある」と、言う。 (この会話は全部英語なのだが、これから大文字のローマ字で書くところは彼が日本語で言った言葉) 「KATAに沿って格闘を進めていく時、KATAを度忘れして一瞬流れが止まってしまうことがある。 これをSUKI(隙)と言う。しかし空手のKATAを審査されるとき、大切なのはSUKIを見せてしまった後、 どうやってSUKIでできた間を回復し、戦い終えるかと言うことで、 必ずしもそのKATA通りに戦い終えることでは無い」と説明し、そのあとでSUKIを、 「意思の力の間のギャップ」と定義した。 はあ~、暗譜の度忘れは「隙」ね~。そんな風に考えたことは無かった。 面白い世界になったものだ、それにしても。 アメリカ人が日本人の私に空手について講義し、 日本人の私がヨーロッパ系アメリカ人の彼に西洋音楽について説明する。

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