言うべきか、言わざるべきか、ストーカー
今日はコンサートである。 ヒューストンの様な石油産業や有名な癌治療センターを初めとする病院産業で 経済的に潤っているヒューストンですら貧富の差と、飢えの問題と言うのは如実にある。 飢えている家庭のために、食材を寄付で募り配布するNPO, Target Hungerのためのチャリティーに今夜参加する。 今までも特に2011年の災害の復興支援などではチャリティーで頑張ったりもしたが、 まさかの自分が家庭内虐待と、離別の後のストーカー行為の被害に遭ってしまって 色々な友人、コミュニティー、そして福祉や警察に色々良くしてもらってから特に コミュニティー還元をしたいと強く思い、今回の演奏会に声がかかって喜び勇んだ。 しかし… ストーカーはまだ牢屋に入っていない、仮釈放の身である。 今ここで何か事を起こせば彼の刑期はどんどん重くなるし、 接近禁止令も発令していてしばらく音沙汰は無いのだが、 自分の安全性の問題だけでは無い、主催者・運営スタッフ、 そして何より聴衆の安全の問題でもある。 言うべきか、言わざるべきか。 余計な心配は掛けたくない。 しかし万が一お出ましになったら私一人では対応し切れない。 教えている学校には非常に悩んだ末、 接近禁止令が発令した段階で、言った。 首になる覚悟だった。 接近禁止令が出る前は出没しても、どうしてもらえば良いかがはっきりしない。 しかし、接近禁止令が出た後は、出没したら彼は逮捕の対象となるので、 接近禁止令のコピーを送り、事情を説明した。 そしたら「言ってくれてありがとう。何にも心配せずに教えることに専念してください。 警備には万全を尽くします」と言ってくれた。涙が出るほどうれしかった。 今夜の演奏会は若い音楽家を育成するためのプロジェクトで、 企画・運営もまだ若いトランペット奏者。 私は、私の経験から一人でも多くの人が色々学んでくれれば、と思っているので、 彼に言うことにした。 彼は非常な責任感を持って、接近禁止令の難しい文書を全て読んだらしい。 そして、運営スタッフにとても丁寧な協力要請のメールを書いてくれた。 その上、この音楽家を育成するための法人にも連絡を取ってくれたのである。 法人は、警察がこのイベントに一人警察官をよこすことを要請してくれた。 イベントでこのように警察官にガードとして来てくれることを要請するのは、 時間給を払ってやるのである。 チャリティーイベントなのに… このお金をチャリティーに廻せるのに… やるせない。 悔しい。 …ここでブログを一回終了して、さあ一日を始めましょうと思ったら、 物凄い倦怠感で、自分で焦ってしまった。 どういう風に言葉にするか、と言うのはとっても大事だ。 「やるせない。悔しい」を結論にするのは、良くない。 私は宣言するぞ! 私は絶対にこの経験を活かしてみせる。 私は絶対にこの経験からただでは起き上がらない。 私はこの経験からすでに色々な事を学んでいる。 ―弱い立場の人に同情する人間性。 ―家庭内虐待に関するアメリカの法律と警察・福祉の仕組み。 ―友情とコミュニティーのありがたさ ―そういうありがたい友人たちとコミュニティーに恵まれて、私はこう言う挑戦に遭遇してしまったが全然へこたれていない、自分が思っていたよりも強い人間だ、と言うこと。ふてぶてしく友達と冗談や面白い場面に手放しで大笑いし、音楽活動にますます意義を覚えて活発に演奏の機会を増やし、そして前にも増して人生を謳歌している、と言うことに誇りを覚えるタイプの女だ、と言うこと。それで得た、自信。 さあ、今日の演奏会も大成功にさせるぞ!頑張るぞ!
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