正義は勝つ

一件落着

この前ヒューストンバレーのジゼルを観に行ったとき。 少しおめかしをして、うきうきして行った。 ヒューストンバレーの公演はWorthamオペラ劇場である。 吹き抜けで物凄く天井が高くて、内装もモダンでかっこよくてシャンデリアが一杯あって いかにも「劇場に来た!」と言う非日常性を醸し出し、ワクワクさせてくれる。 そこのロビーで警官に呼び止められた。 「失礼ですが」 警官に呼び止められると「私何、悪い事したかな?」とちょっとドキドキしてしまう。 「なんでしょう?」 「失礼ですが、あなた楽器を弾かれませんか?」 警官の方もちょっと緊張している感じ。 「ハイ、私はピアニストですが…」 答えたとたんに警官の顔が緩み、大きな笑顔から歯がこぼれる。 「覚えていませんか、私のことを!」 「ごめんなさい、ちょっとすぐに思い出せないのですが…」 「ほら、クリスマスの頃コンサートで護衛をしたでしょう?」 そうだった! 貧困家庭に保存食を贈るために入場料の代わりに保存食の寄付をお願いする演奏会で、 私はあのころまだストーカー騒ぎで、警官の付き添いが付いたのだった。 あの頃は演奏会がある度に警備の手配とか、大変だった。 あの演奏会も、(警備を雇うお金もチャリティーに回せたのに)と、 大変悔しい思いをしたのだった。 ああ、そうだった、そうだった! どの会場でも私の護衛に当たってくれた警察官は皆とっても優しかった。 そしてトイレに行くときもついて行ってくれて、ちゃんと外で待ってくれて 私を本当にお姫様のように大事にしてくれた。 演奏中は客席が全部見渡せる席に座ってくれて、 いつも私は演奏に専念が出来た。 でも、あんまり一杯色々な機会に警察官がいたし、皆いつも制服だったし、 その時は一人ひとりを名前で呼んでいたけれど、 でもその名前ももう全部忘れてしまった。 ああ、あれから月日が経ったんだなあ。 「あの件はどうなったのですか?」 「ああ、彼は牢屋に行きました。 出てきてしまいましたが、でもこれから5年仮釈放ですし、 私は接近禁止令で守られています。 もう安心しています。 あの時は本当にお世話になりました。」 「ああよかった、元気で居てくれたのなら良いのです。今日は嬉しい!」 もう、あれから一年以上経ったんだ… そして今、私は本当に元気で毎日練習と演奏活動と論文執筆に燃えている。 朝は走って、食生活を真剣に考えて、沢山笑って、将来が楽しみで、 幸せに、幸せに、暮らしている。 これも皆、沢山の人が、私がこうして事件から前進できるように 少しずつ少しずつ協力して、私の事を支援してくれたからなんだ。 彼がサイコパスだと分かってから、サイコパスについて色々調べた。 サイコパスは普通の人間と脳の仕組みが少し違うらしい。 人が痛みを感じているのを見て、自分も同情して痛みを感じたり、助けたいと思う、 そう言う人間らしい反応がサイコパスの脳にはおこらない。 サイコパスの傾向を持った人と言うのは圧倒的に男性が多く、 傾向を持っただけならば100人に一人と意外と多い。 そして、皆が犯罪者になる訳では無く、 例えば執刀医や軍人や政治家、会社の重役や金融関係には サイコパスの傾向を持った人が割と多くて、業績を上げたりするらしい。 サイコパスは人の痛みで自分が不快感を感じないから、 […]

一件落着 Read More »

美しく生きる=感謝をする。

去年の暮れ。 警察にお菓子を持って行った。 日本の警察署がどうだか知らないが、 アメリカの警察署は金属探知機を通り、荷物検査があり、 さらに身分証明書うを見せてから、面会の警察に下まで迎えに来てもらって 始めて上のオフィスまで上がることができる。 このとき私は部署の皆に食べてもらおうと思ってクリスマス用の大きな菓子折りを持っていた。 そしたら受付で私の荷物チェックをした警察が 「事件の解決でもあったのですか?」と実に不思議そうに聞いてきた。 クリスマス前。 大学では色々なオフィスに皆が小さなプレゼントを一杯持っていく。 それなのに、警察には誰もそういうものを持っていかないらしい。 私の方がびっくりした。 確かに警察はお役所仕事で私もぎりぎりする事がある。 やる気が無い警察官も居る。 税金で給料をもらっているのに…と言う世論をよく聞く。 それが今回被害者となって実感した。 サーヴィス業なら常識的な礼儀や配慮が全くない。 傍若無人で、しかも仕事が理解を超えるほど遅かったりする。 「正義感を持った熱血人が警察になるのじゃないのか?」と 今ではお友達になった社会福祉のAさんに愚痴を言ったら、諭された。 警察の自殺率と言うのは凄く高いのだそうだ。 正義感を持った熱血人が付く仕事なのに、実際に仕事を始めるとルールでがんじがらめ。 犯罪撲滅に関わりたくても、全く関係ない事を延々とやらされたり、 逆に犯罪対策に関わったら成功率の低さに絶望したり… そして、一般公開されている警察のお給料を見せてくれた。 愕然とするほど安かった。 私は今回ストーカーに付けられたりして、それなりに危険を感じたりしたが、 私が一人のストーカーに対して感じる危惧の数倍を、警察になったら毎日感じているだろう。 それが、「税金の無駄遣い」とか言われて感謝もされず、 被害者には犯罪が解決すれば当然のように受け止められ、 逆に解決しなければ、感情のはけ口にされたりして、やるせないだろう。 そしてお給料は本当に安い。 これじゃあ、正義感なんて吹っ飛んでしまうかも知れない。 お菓子を持って行って良かった。 愚痴をAさんに聞いてもらって、警察に直接文句を言わなくてよかった。 皆それぞれのチャレンジを抱えて、それでもそれなりにできるだけ頑張っているんだ。 優しい気持ちで、感謝することに、努力しようと思う。

美しく生きる=感謝をする。 Read More »

言うべきか、言わざるべきか、ストーカー

今日はコンサートである。 ヒューストンの様な石油産業や有名な癌治療センターを初めとする病院産業で 経済的に潤っているヒューストンですら貧富の差と、飢えの問題と言うのは如実にある。 飢えている家庭のために、食材を寄付で募り配布するNPO, Target Hungerのためのチャリティーに今夜参加する。 今までも特に2011年の災害の復興支援などではチャリティーで頑張ったりもしたが、 まさかの自分が家庭内虐待と、離別の後のストーカー行為の被害に遭ってしまって 色々な友人、コミュニティー、そして福祉や警察に色々良くしてもらってから特に コミュニティー還元をしたいと強く思い、今回の演奏会に声がかかって喜び勇んだ。 しかし… ストーカーはまだ牢屋に入っていない、仮釈放の身である。 今ここで何か事を起こせば彼の刑期はどんどん重くなるし、 接近禁止令も発令していてしばらく音沙汰は無いのだが、 自分の安全性の問題だけでは無い、主催者・運営スタッフ、 そして何より聴衆の安全の問題でもある。 言うべきか、言わざるべきか。 余計な心配は掛けたくない。 しかし万が一お出ましになったら私一人では対応し切れない。 教えている学校には非常に悩んだ末、 接近禁止令が発令した段階で、言った。 首になる覚悟だった。 接近禁止令が出る前は出没しても、どうしてもらえば良いかがはっきりしない。 しかし、接近禁止令が出た後は、出没したら彼は逮捕の対象となるので、 接近禁止令のコピーを送り、事情を説明した。 そしたら「言ってくれてありがとう。何にも心配せずに教えることに専念してください。 警備には万全を尽くします」と言ってくれた。涙が出るほどうれしかった。 今夜の演奏会は若い音楽家を育成するためのプロジェクトで、 企画・運営もまだ若いトランペット奏者。 私は、私の経験から一人でも多くの人が色々学んでくれれば、と思っているので、 彼に言うことにした。 彼は非常な責任感を持って、接近禁止令の難しい文書を全て読んだらしい。 そして、運営スタッフにとても丁寧な協力要請のメールを書いてくれた。 その上、この音楽家を育成するための法人にも連絡を取ってくれたのである。 法人は、警察がこのイベントに一人警察官をよこすことを要請してくれた。 イベントでこのように警察官にガードとして来てくれることを要請するのは、 時間給を払ってやるのである。 チャリティーイベントなのに… このお金をチャリティーに廻せるのに… やるせない。 悔しい。 …ここでブログを一回終了して、さあ一日を始めましょうと思ったら、 物凄い倦怠感で、自分で焦ってしまった。 どういう風に言葉にするか、と言うのはとっても大事だ。 「やるせない。悔しい」を結論にするのは、良くない。 私は宣言するぞ! 私は絶対にこの経験を活かしてみせる。 私は絶対にこの経験からただでは起き上がらない。 私はこの経験からすでに色々な事を学んでいる。 ―弱い立場の人に同情する人間性。 ―家庭内虐待に関するアメリカの法律と警察・福祉の仕組み。 ―友情とコミュニティーのありがたさ ―そういうありがたい友人たちとコミュニティーに恵まれて、私はこう言う挑戦に遭遇してしまったが全然へこたれていない、自分が思っていたよりも強い人間だ、と言うこと。ふてぶてしく友達と冗談や面白い場面に手放しで大笑いし、音楽活動にますます意義を覚えて活発に演奏の機会を増やし、そして前にも増して人生を謳歌している、と言うことに誇りを覚えるタイプの女だ、と言うこと。それで得た、自信。 さあ、今日の演奏会も大成功にさせるぞ!頑張るぞ!

言うべきか、言わざるべきか、ストーカー Read More »

虐待と、ストーカー対策、覚え書き。

今回の一件で、色々経験して、色々学んだ。 私はライス大学の素晴らしい支援団体を通じて、 これ以上無いと思われるほどの貴重なアドヴァイスを沢山いただいた。 これをちょっとまとめ書きして公開して、誰かの役に立てば良いな~と夢見ることにしよう。 ①「関係がやばくなってきた、これは虐待かも!?」と思い始めたら気を付けること。 虐待の被害者と言うのは、最初は大抵は自分の事を虐待の被害者だと思っていない。 自分が疑い深いんだ、 自分が…だから相手の怒りは当然だ、 相手は自分を愛している、この怒り・暴力は屈折していても愛情表現である 待っていれば相手(あるいは状況)は改善する。自分が我慢さえすれば全て丸く収まる。 …とかなんとか、思ってしまいたい。 相手もそういう気持ちを利用して、色々な事を言う。 「君はどうしてそんなに人を信用することを怖がるんだ? 過去にどんなトラウマがあったんだ、可哀想に… 僕がどれだけ君を愛しているのか、分からないのか? ここまでの僕の気持ちが理解できないなんて君は重症だ」 (相手がアメリカ人だったので日本語に訳すと歯が浮くけれど、あしからず) ②知り合いが虐待の被害者だと思ったら 知り合いが虐待されている時、善意で介入して説得しようとしても 大抵の被害者が自分の事を被害者と認識していないので、難しい。 あくまで自分はあなたが心配で言っているんだよと言うことをアピール。 「別れろ」とか威圧的に言うのではなく、「本当に幸せ?」と聞く。 「私はあなたに元気で幸せで居てもらいたい。」とお願いする。 そして、「別れなくて良いからちょっとだけ距離を取って、冷静になるために」と 短期旅行や短期別居などを勧める それから、虐待の関係に於いて一番最初に無くなるのは自由である。 私の場合、本当にべったりと一緒に居られて、 彼の目や耳を気にせずに第三者と話せる機会がどんどん減っていった。 そのうち、携帯も壊され、コンピューターも壊れ(多分壊され)、 兎に角外部との連絡が取りにくくなった。 被害者かも、と思われる人から連絡が来たら、何を差し置いても聞いてあげて下さい。 私が一番悲しかったのはやっとの思いで電話したら 「今何時だと思ってるの?」と怒鳴られたときである(アメリカ人の友達)。 それから、メールで「話したい」と打診したらば 「この日のこの時間なら話せる」と非常に狭い枠を指定され、頭を抱えた。 特に在外の日本人の場合、日本に居る家族と話したくても時差があって中々話せない。 わがままを聞いてあげてください。 それから、そちらから被害者に電話をするのも良いのですが、 その場合は加害者が見張っているかも知れない可能性を常に念頭に置いてください。 「なんでそんな曖昧な言い方をするんだ!はっきりとしろ!」とか怒鳴らないでください。 (これもアメリカ人の友達。「大丈夫なのか?」と心配して電話をかけてきてくれて、心配してくれているのは分かっていたのですが、彼が近くに居たので、SOSのメールを送ったことがばれないように「ああ、今映画を観たところ~」とのんきなしゃべり方をしたら怒鳴られました。声が大きかったので、携帯から漏れないか心配で、どうしようかとドキドキしました。(悟ってよ~!!)とすごく思いました。) ③いよいよ怖くなってきた、と思ったらば。 口論になったら、絶対自分が常にドアの近くに居るように気を付け、逃げ道を確保しておく。 二人きりで車に乗ることをなんとしても避ける。 警察の番号を携帯にインプットして置き、いつでも短縮ダイアルでかけられるようにしておく。 (いつも携帯と共に充電器も持ち歩き、絶対に電源を切らさないようにする) 専門の人にできるだけ沢山相談する。(警察、社会福祉、相談窓口など) 携帯に録音のアプリケーションをダウンロードして置き、証拠になりそうな会話を録音。 出来るだけ孤立しないように、顔見知りで良いから近所にネットワークを作っておく。 隣近所にいざと言うときに助けてくれそうな人の目星をつけておき、何かあったら駆け込む。 仕事や学校に行っている方は、そちらでできるだけ沢山の人に状況を知っておいてもらい、 支援ネットワークなどの情報を確保しておく。 ④ストーカー行為の対象になってしまったらば。 出来るだけ一人で行動しない。 出来るだけルティーンを作らない。

虐待と、ストーカー対策、覚え書き。 Read More »

悪者退治は自己治癒の道!

「『ストーカー退治のピアニスト』と一生思われ続けてほしくない。ネームバリューを下げないでくれ。ピアニストとして正当に有名になることを目指してくれ」 「正義感は良いけれど、やっぱり囚われているからいつまでも身の危険も顧みずに色々やっているんじゃないかと心配」 「もうそろそろ練習と論文だけに専念しても良いんじゃない?これは結局はマキコさんの貴重な時間のロスじゃない?」 色々な友達が親身で色々言ってくれる。 皆、本当にありがたい。 私の事を思って言ってくれているのだと思う。 ありがとう… デモ。。。 こういう事件があった。 マンハッタンで真夜中に帰宅途中の女性が襲われた。 女性は「Help!」と大きな声で何度も助けを求めた。 沢山の人が窓まで行って、何事かと下を見下ろした。 でも、誰も下に行かなかったし、警察に通報もしなかった(一人が一回したと言う説もある)。 女性は殺されてしまった。 この実験は大きなニュースになり、 問題視をした社会学者たちがこの事件をシミュレーションした実験を色々した。 そしてBystander Effect(傍観者効果)と言う集団心理を打ち出した。 これは、起こっている事件・非人道的な振る舞いに対して 目撃者の数が多ければ多いほど、自主的に助ける人が少なくなる、と言う実験結果だ。 私はこの事件とBystander Effectに関して読んだのは学部生の時だけれど、 その時に「私は立ち上がって助ける人になろう」と決めた。 ちょっと話しは変わるけれど、ここでMirror Neuron(ものまね細胞)の話を。 私がコップを持って口に運ぶ。 それを見ているあなたの脳のものまね細胞は まるで実際にあなた自身がその行動を行っているかのように反応する。 このものまね細胞が音楽家の脳には平均値よりもはるかに多くあるのだそうだ。 私は音楽家だからそうなのだろうか。 周りの人が嬉しければ嬉しいし、 周りの人が痛かったり悲しかったりしたら、何とか良くなってもらおうと思う。 今回私がストーカー退治に燃えているのは、他にも沢山被害者が居るからである。 ここでは今その事があまり書けないのだが、でも皆私よりもずっとひどい被害にあっている。 別れる別れないの修羅場の時、元婚約者は私が助けを求めるのを防ぐべく 「隠しマイクが付けてある。いつどこで何を言っているか、全部聞いているぞ」と言った。 私は(そうですか、それでは)と思って 警察や社会福祉に相談に行くときは所持品を全て別部屋に置かせてもらって話しをした。 大学に属していたのが幸いだった。 大学構内に警察も社会福祉も全て揃っていたから 「レッスンがある」とか「練習に行く」とか言って、 そう言う所に通っていた。 そうしたら尾行されたりもした。 そして「お前は嘘つきだ!信用が出来ない!気違い!被害妄想!裏切者!」とののしられた。 こう言うのは、後から知ったのだけれど結構よくある虐待パターンらしい。 私がそういうのを乗り切れたのは、私の大学が全面的・積極的にサポートしてくれたのと、 私の友達と日本人コミュニティーが、それこそ自分の危険を顧みずに 私が別れられるように必死で私を説得し、引っ越し荷物を運び出し、 演奏会がある時は総出で見張ってくれたりして、 私に時間と手間と愛情をかけて応援してくれたからである。 証拠を収集する過程で昨日、そのころ相談してもらっていた友達の日記を見せてもらった。 そしたら私との会話が全て書き出されてあり 日記に手書きで延々と箇条書きしてあるのである。 そしてどのように説得して私を別れさせようかと言う作戦が書き出してあり、 こう反論したら、こう言ってみる、とか、微に入り細に入り、なのである。 私がもう投げやりになりかかっていたころ、

悪者退治は自己治癒の道! Read More »