July 2013

ドビュッシーの生家のある街、ノートルダム聖堂でのミサ ―パリ6日目

昨日は朝は練習と荷造り、 そしてお昼にピアノ付きの借りていたアパートを引き払い (そのアパートの持ち主が旅先から帰ってくるので) パリの中心地(マドレーヌ広場)にある4.3星ホテルに移りました。 部屋には大きなバスタブと、ヴェランダが付いていて、 ヴェランダからはマドレーヌ聖堂と、マドレーヌ広場、そして遠くにはエッフェル塔も見えます。 そして、私がパリの街を歩きながら見上げては恋焦がれた、 小さなヴェランダの上の小さなテーブルと2脚の椅子も! 嬉しい!! 今、そのヴェランダでお紅茶を飲みながらこのブログを書いています。 ホテルに移った後は荷物だけ降ろして、 ドビュッシーの生家があるパリから電車で20分ほどの郊外、サン・ジェルマン・アン・レーに。 パリはとても凝縮されている、人口密度の高い都市なので、 東京のようにやはり込み合った郊外が延々と続くと思いきや、違うのです! Givernyに行ったときもびっくりしましたが、 Parisからでると草木の生い茂る、ほとんど田舎! Saint Germain en Layeはヘンリー4世のお城もあって、 その前には大きな、物凄くきれいな公園が広がっています。 天気の良い日曜日で、この駅で降りた人は多く、その沢山が公園に足を向けていましたが、 でも、それらの大衆を全部吸収して、 まだゆっくりと人を気にすることなく歩き回り、 皆がゆったりとピクニックできる大きさとデザインです。 ドビュッシーの生家の展示室は生憎日曜で休館でしたが、 ドビュッシーは本当の中産階級に生まれたんだな、と実感できる家並みでした。 一戸建て、と言うよりは日本の小さな住宅街の一軒、と言う感じ。 隣り合わせの家の壁がくっつきあってずらりと何軒も連なっている町並み。 でも、とても可愛いです。 その後、ノートルダム聖堂で6時半からのミサに出席しました。 ノートルダム聖堂と言うのは建設に100年以上かかっている大聖堂で、 音楽史上の最初の部分で特に重要だった場所です。 楽譜の記法がはっきりと設立された、対位法の最初の発展がここを中心に起こった、など。 私はそこでのミサにどうしても出席したかった。 オルガンも、聴きたかった。 しかし、最終的に一生の思い出になるのははきっと 私の前の列に座ったきれいな黒人のお姉さんのことだと思います。 だってミサは全部フランス語だし(歌は時々ラテン語)、 それにこのお姉さんは1時間強のミサの間に実に15個ほどの飴を食べたのです。 はじめはその包み紙をゆっくりとはがす音が気になって気が付いたのですが、 小さな葡萄色の硬い飴をこのお姉さんは飲み込んでいるかのように次々と口に入れるのです。 一個の飴が口に入ったその瞬間に次の飴の包み紙をはがし始めている風です。 そして、あ!その一個をその豊満な胸の谷間に落としてしまいました。 そうしたら、あ!臆すること無く右手を自分のシャツの中に突っ込んで20秒ほどその飴を探し、 あ!食べてしまいました。 強烈な印象です。 観光スポットでもあるこの教会、 沢山の国から沢山の信者と非・信者が出席したミサだったと思います。 私のようなもぐりは聖歌も全然歌えず、どこで立つかも、どこで座るかも、見よう見まね。 でも、そんな観光客の分まで頑張る決意を誇示するかのように、 私の左前のめがねの純朴そうな男性は大きな声で言葉をはっきりと発音しながら歌い、 私たちにお手本を示すがごとく、堂々と座り、堂々と立ち、大きな十字を切り、 頑張ってミサに参加をしていました。 そして聖体拝領の前の隣人に挨拶をするやつ。 […]

ドビュッシーの生家のある街、ノートルダム聖堂でのミサ ―パリ6日目 Read More »

ソルボンヌ大学、フランスの中世、学会の日本人たち -パリ5日目

パリ5日目の昨日も非常に充実していました。 まず、朝は練習! ブログを書いて、メールをやって、朝食を食べて、シャワーを浴びたら 実質1時間しかなくなっちゃったけど、 でも、練習と言うのは実際にしている時間だけではなく、 練習しようと思って計画・準備している時間、 そして練習した後に意識的でも、潜在意識的にでも、そのした練習を復習している、と言う事実、 が、大事と常日頃思っています。 そして、12時からは学会に来て初めて、他の研究者の発表を聞いてみました。 私は性格的には結構まじめで、 学会に来たら朝から晩まで学会の他の研究者の発表を次から次へと聞くもの、 と言う気持ちで来ていたのですが、 今回の発起人かつ、学会のエキスパートのK氏に 「自分の発表だけして、後はパリを見ているほうが良いのです」 と言うお勧めに素直に従っていました。(そして楽しさを満喫しています!) しかし、月曜日は自分の発表、そして日曜日は学会がお休みと言うことがあり、 他の人の研究発表をしって、少なくともどういう会場のどういう雰囲気の中で発表するのか知りたい、 と思い、聞きました。 カナダの偉そうな教授がカナダの詩人の間でのオリエンタリズムについて喋っていたのですが、 とても面白い内容で、私は楽しかった。 でも、聞いている人は7人でした。 小さな教室のようなところであって、その教授はパワーポイントも使わず、 要するに授業と同じだ、と思いました。 ちょっと安心しました。 その後、今回の学会のハイライトの講義がソルボンヌの旧校舎である、 と言うのでそれに行きました。 今回の学会はソルボンヌを会場としていますが、 私たちの活動は主に最近立てられた、非常に新しいキャンパスであって、 12世紀に設立された大学、と言う歴史の重みを余り感じられません。 この旧校舎も18世紀以降のものでしたが、でも結構凄い建物で中の装飾も凄かった。 なぜか講義がいつまでも始まらず、私は次の約束が在ったので建物だけ見て、出てしまいました。 次は私の両親の大学時代の友達のM氏と、 Musée de Clunyと言う、フランス中世のものを扱う、 ソルボンヌ旧校舎近くの博物館に行きました。 凄い場所(もともとは修道院)、そして凄いコレクションです。 鎧兜、タペストリー、ステインド・グラス、絵、装飾品、日常用品など色々ありますが、 今、中世音楽を勉強しているので、非常に面白かった。 しかし、何よりも印象深かったのは、 フランス革命時に破壊された聖人の像の数々です。 胴体を真っ二つにされていたり、顔を丁寧に削ってあったり、 その破壊力に、その時の怒りと、反体制の動力を感じました。 そして夜は今回の学会に出席している日本人の教授が多く集まるパーティーに出席しました。 色々な方のご研究や、出版されている御本について伺うことも面白かったのですが、 研究・教授生活、とご自分の人生と言うものをどうバランスされているか、 垣間見るのもとても興味深かったです。 出張のように単身でこの学会のためにパリに来られている方がほとんどですが、 日本にはご家庭があり、お子様がいらっしゃる方が沢山。 そしてお会いした研究者の多くは女性だったのです。 そして逆にそう言う女性の中で、結婚しない・子供を持たないと言う選択をされた方々も、 多くが自分が自分として生きることに、何が必要かをとても大事にされていて、 素敵な人生を送っていらっしゃるようにお見受けしました。 とても、触発される晩でした。 大変有意義な時を過ごさせていただいています。

ソルボンヌ大学、フランスの中世、学会の日本人たち -パリ5日目 Read More »

モネのGiverny ーパリ4日目

「パリの郊外と言うのも絶対見ておくべきだ」と言う発起人K氏の強いお勧めにより 今日美知子さんと、 美知子さんのお友達のS氏(車を出してくださってありがとうございました) に連れて行って頂いて、 クロード・モネ(1840-1926) が1883年から43年間に亡くなるまで住んだと言う、 パリ郊外、車で一時間くらいのところにある、お家とお庭に行って来ました。 偶然、一年の中でも最善の時に当たったようです。 庭中に花が咲き乱れ、 庭の中にある池にはちょうどモネの絵そっくりそのままに睡蓮が咲き、 その庭は早足で歩いても15分はかかる広大なもので、 一つの理想郷となっています。 こんな中で生活していたら、本当に良い人になれるし、 こんなに沢山の花が咲き乱れていたら、絵を描かずには居られないよね、 と美知子ちゃんと話しました。 あんまりにも美しく、季節の移り変わりで刻一刻と変わっていく庭と暮らしていたら、 そのそれぞれの美しい瞬間を何とか残しておいて上げたい、と思ってしまうのではないでしょうか? 本当に美しいところです。 お天気が晴れ上がった日で、花の時期としても最高、 と言うことで随分込み合っていたのですが、 人々はお互いに本当に寛容で皆で違う言葉でニコニコ笑みを交わしました。 美知子ちゃんとその天国のようなお庭を歩いていたら、 ちょうど歩き始めたくらい、まだ言葉を喋る前くらいの赤ちゃんが 突然私たちの前でお母さんを見上げて、何が可笑しかったのか急にケタケタ笑い始めました。 大人だったら「思い出し笑い」と言う類の笑いでしたが、 赤ちゃんですからその笑いを自制する、と言う事も無く 本当に可笑しそうに、楽しそうに笑うのです。 それにつられて、私も美知子ちゃんも、周りの人たちも一緒に同じように笑い出してしまいました。 このお庭だったから… これもGivernyに行った理由の一つだったのですが、 お庭の中にたたずむ田舎風のお家にはモネの絵のコレクション(の複製)が飾ってあります。 彼自身のものも多く在りますが、他の画家のものも多い。 そして、その半分以上が浮世絵なのです!広重、北斎、写楽… 中にはアメリカ人を描いたものや、不思議な構図の風景画の浮世絵もあります。 どういうルーツでこれだけの浮世絵を手に入れたのか。。。 そして、浮世絵独特の遠近法や構図、、人物描写とか色の使い方を見た後に 彼自身の作品をみると(なるほど!)と思えるものがあるから、不思議です。 Givernyに行った理由の一つは私が今ドビュッシーのピアノ曲を多く手がけているからと、 今回の私のリサイタルのテーマ「ピアノで奏でる東洋」と言う、 西洋音楽の中で東洋と言うものがどう捉えられ、描写されているか、と言うことについて、 印象派の権化であるモネの家に来ることで分かることがあるのでは、と思ったからです。 モネが非常な時間と財産と時間をかけて創り出したこの理想郷。 そう言う浮世離れした、ほとんど個人的な感情を超越している理想郷と、 その当時遠い異国であった東洋に対する憧れ。 この二つにはもしかしたら共通点があるのではないでしょうか? 東洋と言うのは、彼らにとって、なんだったのか。 ドビュッシーもモネも、その生涯に東洋を訪れる機会はありませんでした。 でもむしろ、彼等は東洋を現実的に体験したくは無かったのではないか。 それこそ、『天国』のように絶対分かりえない、 でもだからこそ際限なく夢想する対象、としての異国、東洋。 東洋人としては、ちょっと不思議な感覚です。 帰りにヴェルサイユ宮殿をちょっと覗いて帰りました。 残念ながら中に入る時間は無かったのですが、その大きさを見れただけでも、 そしてその外側(!)に使ってある金箔の量が見れただけでも、 なぜ革命が起こったのか、そして全盛期の王侯貴族の何かが分かるような気がしました。

モネのGiverny ーパリ4日目 Read More »

パリ、満喫!―3日目

リサイタルが昨晩だったのが信じられないほど、今日のオフデーは充実していました! まず朝、学部生の頃の先輩だった同じピアニストのDavidの家にお邪魔しました。 彼はアメリカ人ですが、亡お父さんがフランス人だった関係でもうパリ在住15年目くらいです。 彼とは本当に腹を割って音楽人生について語り合えます。 一年に一回会うか会わないかなのがお互い信じられないほど、 考えている題目が共通していて、すぐに話しが通じ合う。 色々な都合上、2時間半くらいしか一緒に居られなかったのですが、 「ピアノを弾く上でのインスピレーションと知識の量は比例するか、半比例するか」とか、 「演奏と練習のバランス」とか、ピアノ・トピックで物凄く盛り上がりました。 その後、学会(正式には今日が開会です。昨日の私の演奏会は前夜祭でした)の登録手続き。 参加者が一杯集まっていて、昨日の演奏会に来てくださった方や、お手伝いくださった教授などや、 その方々にまた紹介していただく面白い研究者たちが居て、楽しいひと時でした。 そのあと2時間ほど、ルーブルの周りを散策。 パリは凄い!本当に凄い! そして幼馴染の美知子ちゃんとチュルリー公園を歩きながら、 これも色々お話をしました。 観覧車にも乗りました。 パリは凄い!上から見ても、凄い! 19時からは学会開会のパーティー。 Hotel de Ville(パリ市庁舎)が会場で (中は金キラ金!彫刻がそこらじゅうにあり、装飾がそこらじゅうに施されている)、 ソルボンヌの学長が挨拶する、凄いものでした。 何しろ、参加者が1500人! そして20時からはAu Pied de Cochonでご馳走! ロブスターや、2種類の蟹や、2種類の海老などが蒸されたものを 物凄く一所懸命食べてしまいました。 幸せな一日でした。

パリ、満喫!―3日目 Read More »

パリデビュー、大成功!Poco Pianoエピソード#11も!

昨日は何を食べたんだか… 朝はしっかりヨーグルトと黒ゴマ黄な粉のバナナ、日本から持ってきたインスタントの粉ポタージュにおとといの残りの全粒紛バゲットを落として、食べたのですが、昼と夜はカロリーメートなようなものを食べて済ませてしまいました。歴史ある大学街の日本舘での演奏会が18時開場で、兎に角それに向けて休養を取ることを先決にしたのです。朝は昨日の夜最後にやった通し稽古の録音を聞き、じっくりゆっくり確認練習をしましたが、午後はもう弾きたい気持ちをむしろ抑える気持ちでベッドで目を瞑り、ぐったりなまけもの、で過ごしました。 そして演奏会は、26日の美浜ホールでの最後のリサイタルに向けてまだまだ課題を多く残すものの、素晴らしい聴衆とインスピレーション溢れる会場に恵まれ、それに支えられれて、とても喜んでいただけた様です。聴衆は主に今回の学会「国際比較文学研究会」の理事たちとその家族、そして一般のお客さま。比較文学と言っても文学を他の芸術分野と比較する、と言う分野もあり、音楽にとても詳しい教授も沢山いらして、そう言う方たちが本当に優しく聴いてくださり、私はちょっと感動しました。私の演奏の前にスピーチをしてくださったユージーンと言う教授は「東洋の女性が西洋音楽を演奏して比較文学の我々を楽しませてくれる。自分の文化に固執しないで、目を外に向けることに意義を見出す比較文学の学会に置いて、そしてこれからの世界の未来に願って、なんと適切な象徴でしょう!」と言ってくださって、私はとても感動しました。 演奏の終わった後は私は興奮が冷め切らず、自覚するような空腹感が無く、今回の発起人のK氏や色々なパリ在住の日本人の方々と一緒に打ち上げがあったのですが、フォアグラや魚介類などを(美味しいな)と思ってつまんだのですが、やはり少なかったようです -今朝起きたら凄い空腹感! やっぱり緊張したようです。 今日は一日オフ! 学部生の頃の友達に朝会って、その後学会のレジストレーションと開会式に出席します。 Poco Pianoのエピソードのエピソード11はこちらをどうぞ。

パリデビュー、大成功!Poco Pianoエピソード#11も! Read More »