「聴く」と言うこと
タングルウッド音楽祭にいる時はほぼ毎日、時には一日に二回以上、演奏会に行っていた。 しかし、タングルウッドの最終日、8月16日以来、音楽会には一度も行っていない。 始めは少し食傷気味だったし、移動や、引っ越しや、学校が始まって友達との再会とか、 色々在って演奏会に行きたい、とも思わなかった。 それに演奏会シーズンは9月下旬まで始まらないので、まだあんまり演奏会も無い。 でも、この数日、なんだか「演奏会に行かなきゃ」と言う焦燥感の様な気持がしてきた。 こんなこと、生まれて初めてである。 練習していると、自分の音楽が外からのインプットを必要としているのが分かる、そんな感じ。 図書館に行って、今学期演奏するブラームスのピアノ四重奏第二番の録音を借りて聴いた。 リヒテルと、ボロディン四重奏のメンバーによる演奏である。 生演奏の録音で、一楽章はリヒテルの演奏にちょっと不安定な所もあったが、 全体には圧倒的な演奏だった。引き込まれた。 弦がほとんどヴィブラート無しの完璧な音程で、ピアノの反映、エコー役を務める。 ピアノは、弦に溶け込むような音を出す。 夜は、今学期最初のピアノの「Playing Class」が在った。 コルバーンのピアノ科の生徒がみんな集まって、先生と一緒にその週に仕上がった曲を聴く。 昨日のクラスでは、サンサーンスの協奏曲2番、ショパンのアンダンテ・スピナート、 アルベニスの「テュリアーナ」と「コーパス・クリスティ」、ショパンのソナタ2番、 そしてラヴェルとシューベルトの三重奏を聴いた。 皆確実にうまくなっている。 リヒテルの録音とはまた全く違った意味で、非常に感動した。 私は、幸せな環境にいるなあ、と思う。