December 2012

ヒューストンでクリスマス

今まで私は年末年始はNYで過ごしてきた。 2006年から2010年までロサンジェルスに居た時も、2010年以降ヒューストンに越してきてからも、これはいつも決まっていた。13の時に日本に家族が帰った後私を引き取って面倒を見てくれたアメリカ人老夫婦がもう80代、90代とずいぶん年を取って来て、せめてクリスマスは一緒に祝いたかったのと、NYはやはり私の拠点で友達も多いし、コンサートも、仕事もあったからだ。 でもヒューストン3年目にして、こちらにも一緒にクリスマスを祝いたい人間関係が発展し、また友達の結婚式が29日に在ったりで、今年は12月30日までヒューストン、そして大晦日にNYでNew Year’s Eve Concertで演奏して、12月5日にリサイタルを開き、学校が始まる前日、1月6日にヒューストンに戻ってくる、と言うスケジュールに落ち着いた。 そうすると、また色々な機会が発展するものである。毎年恒例で、でも私はNY滞在のため失礼していたヒューストンの日本人会のクリスマス・パーティーで1時間の演奏を提供することになった。ドビュッシー生誕150年の締めくくり、特に日本人会のために日本、そして東洋の影響を強く表現する「黄金の魚」(映像第二巻より)、そして曲集『版画』から「Pagodes」など、そしてクリスマスのお祝いを盛り上げるため、ショパンの「華麗なる円舞曲」。さらに、今学期ルネッサンス音楽の勉強を通じて考察したクラシック音楽とキリスト教の関係と、クリスマスと言う祝日のキリスト教のルーツを尊重して、バッハのカンタータ「羊は草を食む」のペトリによる編曲、などのプログラムを演奏した。 そして昨日は相棒の家族と親戚のクリスマス。お昼を食べたあと、クリスマス・プレゼントの交換。そして相棒とデュエットで音楽を添えた。 日本の年末年始が恋しいけれど、でもこちらでも元気で楽しく、音楽いっぱいにお祝いしています。

ヒューストンでクリスマス Read More »

冬休みは師走!?

久しぶりに休んでいる。 今週末はJASH(Japanese American Society of Houston)の忘年会で一時間ほど弾かせていただくし、まだ生徒の成績を計算・入力していないし、クリスマス・プレゼントの買い物とか、車の整備とか、やることは色々あるんだけれど、久しぶりに友達とギャラリー・オープニングに行ったり、夜更かししてヴィデオで映画を観たり、長いお散歩をしたり…そして久しぶりにどっぷり趣味的に読書! まずはじめに遠藤周作の「沈黙」を読んだ。天正遣欧少年使節のリサーチを通じて(リサーチ・ペーパーも苦労したルネッサンス音楽の成績も「A]でした!!)キリシタン時代の日本のことに興味がわいた。ペーパーを書き終えるまではノン・フィクションしか読まない、と決意していたが、この時代の記録、特にキリスト教に関する記録と言うのは抹殺されていることもあり、逆に言えば想像力にとどめをかけるものが何もない!と言うことでこの天正遣欧少年使節に関する小説も多いが、キリシタン時代、特にキリシタン迫害に関する小説はとても多い。その中でも特にリサーチをしている中で何度も興味をそそられた遠藤周作の「沈黙」を図書館で取り寄せてもらって、午後の4時にピックアップして、次の朝の10時には読み終えてしまっていた。この小説はポルトガル人の神父で布教活動のリーダー格、信者からも布教仲間からも信望の厚かったフェレイラ神父の拷問後の棄教、そしてその事実確認とフェレイラ神父をキリスト教に戻すために送り込まれた若い神父の続く棄教に関する小説。マーティン・スコルセージー映画監督が映画化するための権利を最近買ったらしい。ここでは敢えてあらすじを書かないが、引き込まれるように読んでしまった。 続いて「ハンガーゲーム」。これは一度読み始めたら読み終わるまで何もできない面白さと言う噂を聞いていた。全3巻。勿論、英語。英語での読書をもっと早く、もっと楽に(日本語のように)できるようになりたい、と思い、この本を友達から借りた。ハンガーゲームは最近映画化されて、私も映画館でとても楽しんだ。ちょっと「バトル・ロワイヤル」のパクリ!?と言う感じが否めないが、暴力とセックスが興味の対象ではなく、反体制の政治的メッセージとか、青春の夢、理想、野心、そう言った物が結構感動的に描かれていて「バトル・ロワイヤル」よりずっと入り組んだ心理サスペンス的な側面のある筋書きになっている。一日半、全てを後回しにして読みふけり、一巻を読み終えた。やはり日本語より遅い。 そうしているうちに、アマゾンからグラウトとパリスカ共著の「西洋音楽の歴史」と言う音楽史の教科書が届いた。博士課程の最終試験の準備にこの教科書推薦されたので、買った物だ。天正遣欧少年使節のリサーチ以来、歴史にはまっている私はちょっとわくわくしてしまい、ハンガーゲームをお休みしてぱらぱらめくってみる。結構カラフルなデザインで思ったよりずっと読みやすそうである。 冬休みが始まっている。

冬休みは師走!? Read More »

絵の具について

絵描きの友達についてアート用品の店に行く機会があった。 友達は色々なメーカーの絵の具の文字通り色々ある色の選択に時間をかけている。 絵の具はチューブの中で見える色と、紙に塗ってみた色と、それが乾いた色は全て皆違う。 メーカーごとに、絵の具のチューブの外に絵の具が塗ってあったり、その色の後ろに印刷されたメーカーのロゴがどれくらい浮き出て見えるかでそれぞれの色の透明性が見えるようになっていたりと工夫がなされているのだが、その絵の具をどの薬品で溶いて使うか、どういうキャンバスを使うか、どれくらいの厚さでその絵の具を塗るかなど、全ての要素が出てくる色を左右する。値段だってピンからキリまで。絵描きにとっては絵の具の選択も真剣勝負である。 1900年初期までは絵の具は自然の色素を使うしかなかったそうだ。それは貴重で、色によっては非常に高かったらしい(特に青が高かった)。貧乏な絵描きは2色か3色を混ぜたり、重ね塗りしたりして、欲しい色の印象を与える工夫をしたそうだ。スポンサーがいて、好きな色を買うお金があった絵描きでも多くて7色か8色で絵を描いたらしい。今は科学的にもっとずっと色素の密度が高く、自然と同じ色の絵の具が作れるらしい。他の事も学んだ。たとえば、赤いバラの花の絵を描こうと思っても、ただ赤を塗れば良いと言うものでは無いらしい。赤の後ろに何色を塗るかで、上の赤がどういう風に見えるか、大きく変わるらしい。だから最初にカンバスに金を塗り、青で花びらを描き、その上に赤を塗ったりするらしい。 絵を書くのにも、色素についての歴史や科学や、光について、視覚について、色々深いんだなあ。ぜんぜん知らない世界でした。とても面白かった。

絵の具について Read More »

週末余暇の後は…

さて、今週末は土曜日の午後からきっぱりと日曜の終わりでお休みと決め、勉強もピアノもノータッチ!でした。が、今は月曜日の朝。「小春日和」と言うより「大夏日和」と言うような20度の陽気が延々と続いていたヒューストンの12月が、一晩で大幅に冷え込み、今朝は摂氏5度。気持ちも引き締まります。 次の課題は、水曜日に締め切りの音楽理論のテイク・ホーム試験です。このためには大きな茶封筒を二つもらってあります。一つは「締め切り24時間まえ、開封」と書いてあり、もう一つには「締め切り3時間15分前、開封」と書いてあります。24時間前の封筒の中には楽譜が入っており、それを20時間45分かけてじっくりと分析します。3時間15分前の封筒の中にはその曲に関する質問が入っています。これは博士課程最終試験と全く同じフォーマットです。 今日から今学期総復習をした分析技術のおさらいをするつもりです。今学期教えた「非音楽専攻のための音楽理論」の授業の中でこの分析技術の基本も少し出てきたので、来学期用に教えるノートを整理したり、そう言うこともこの二日で片付けよう、とたくらんでいます。そして練習も怠りません。作戦的には、30分練習して、1時間勉強し、と言うことを日中やり、夕方から勉強に集中しようと思っています。 それでが、頑張ってきます!

週末余暇の後は… Read More »

映画「リンカーン」を観ました

最近話題になっている映画、「リンカーン」を観た。 天正遣欧少年のリサーチをして以来、歴史が面白くなってしまい、話題に上っていたこともあって是非見たいとここ数週間思っていた映画、週末の息抜きに行ってきた。リンカーン大統領の第二期目、南北戦争も悲惨を極め、政治も切迫して、奴隷自由化の問題で議会沸騰中の中でのリンカーンを追い、その暗殺までが150分の映画にまとめられている。リンカーンが信念を持った使命を追った、物凄い権力を託された一人の人間として描かれている。その時代の、特に奴隷問題に関する様々な論争と言うのも、非常に面白かった。 演劇や映像に関わる仕事をしている我が誇りの妹情報なのだが、最近の映画と言うのは多様な言語圏に輸出することを念頭に字幕や吹き替えの手間・費用を最小限に抑えるために、せりふがどんどん少なくなっている傾向があるそうだ。このリンカーンはその正反対!アクションも、音楽さえも凄くストイックに最小限に抑えられ、全てが役者の神経の研ぎ澄まされた演技と、せりふのやり取りで成り立っている映画だった。でも、手に汗を握り、150分がぜんぜん長く感じられなかった。 俳優のケブン・スペーシーが、国家が芸術を支援するための費用がカットされそうになった時「芸術は必要か」と言う題でスピーチしたのが、Youtubeで観られる。 http://www.youtube.com/watch?v=aMrNvtT0dBM (英語です) この中で彼は「リンカーンが劇場で暗殺された史実は有名だが、リンカーンがその大統領任期中に、南北戦争の一番大変な時でもいかに観劇を大事にしていたか、と言うことについて言及する人は少ない。彼は劇を見ることによって生き、使命のために闘い続ける勇気を得ていた」と言う事を行っている。この映画のリンカーンは、皆がストレスでカリカリしている時にたとえ話をして、みんなを勇気付けたり、笑わせて和ませたり、感動させたりしている。そう言うのも、観劇から得た技術なのかな~、そう言う対人関係の技術と言うか、人柄と言うのは、その人の成し遂げうることのサイズを大きく左右するよな~、と思いながら、そう言う点でもこの映画は面白かった。 芸術の必要性に関するもう一つの逸話。チャーチルは第二次世界大戦がいよいよ切羽詰っていた時、財政難で芸術支援の費用を削減する、と言う話が出た時「それでは何のために戦っているのか分からなくなってしまう」と猛反対したそうです。

映画「リンカーン」を観ました Read More »