April 2016

充実!集中!

有難い事に、ヒューストンでやる3回シリーズ「What is ‘Classical’Music?!」は Japanese Association of Greater Houstonの多大なご協力を得ることが出来、 3回シリーズの2回目は熊本復興支援のチャリティーコンサートになること、 総領事館にもご協力いただけることなどが決定。 さらに、博士論文も教授やアドヴァイザーとの面談などを通し、 新しい視点を編み出して、今後の課題を明確にして行っています。 演目解説も書かなきゃ… リサイタル進行表の作成などもあります。 さらに、昨日の夜はヴィデオ・カメラとプロジェクターを使って プレゼンの時のパワーポイントや、演奏中の手の動きをお見せし、 視覚的要素を取り上げることで聴衆の皆様によりお楽しみいただけないか、 会場で2時間ほど実験。 そういう間を縫って、練習を進めます。 毎分が貴重。 今日も頑張ります! 集中するぞ~!!!!

充実!集中! Read More »

練習しながら馳せる思い

あと一週間半で、「『クラシック』って何⁉」を初演する。 練習に拍車がかかっている。 しかし演奏会が迫っているからと言って演奏準備のみに生活が染まる訳では無い。 博士論文のためのリサーチや指導教授との交信、 日本での公演の広報やその他もろもろ準備、 5月7日を皮切りにヒューストンである色々ある他の演奏会の準備・練習、 生徒さんの指導とそれにまつわる交信、 健康管理のためのほぼ毎朝のジョギング、食生活管理、など。 練習できる時間は貴重である。 いかに効率よく、短時間で最大の向上を遂げるか。 速い曲をゆっくり練習し、技術的な難関を分析・理解し、弾けるようにする。 ゆっくりな曲を2倍、3倍のテンポで練習し、曲の方向性や構築・全体像をつかむ。 音量の大きな曲や部分を弱音で練習し、イメージトレーニングの様な事をする。 こうすることで、肉体的疲労を防ぎ、強音の箇所を長く練習できる他、 音量を落とすことによって違った視点からその曲を考察できる。 実際には弾かないで、楽譜を勉強する。 などなど。 背水の陣で頑張っていると、時々思いがけないインスピレーションを受けることがある。 ゴールをはっきりと設定し、それをクリアするような練習をしているのに不思議だ。 昨日はスコット・ジョップリンのラグタイムを練習している時、 突然(他の曲と同じ弾き方じゃダメだ)と悟った。 スコット・ジョップリン自身は11歳から16歳まで ドイツ出身の音楽教師にその才能を見込まれて無料でレッスンをしてもらっている。 音楽を娯楽だけでなく芸術として教わり、 クラシック、オペラ、民族音楽と色々なジャンルを教わったらしい。 だから彼の音楽教育、ピアノに於ける基礎技術は、結構きちんとしていただろう。 でも、ジョップリンのラグタイムを一世風靡した背景には クラシックの様なヨーロッパ風エリート主義・歴史崇拝に対する反抗心、 アメリカ独自の文化、純粋に楽しい音楽を求める心があったのではないか。 19世紀の終わりと言うとJohn Philip Sousaもアメリカ全土を魅了していた頃だ。 そしてラグタイムを演奏するドサ周りの黒人の多くは独学でピアノを学び、 耳で弾く、楽譜が読めずに「正規」の奏法を教わらずに来たピアニストが多かったのでは? 少なくとも、幼少にハノンやツェルニーを何時間も練習したようなピアニストでは無い。 大体ラグタイムの書き方自体が指主体ではなく、手首・腕主体だ。 どうやったらクラシックと対象的な奏法・音色・スタイルを編み出せるだろう。 ピアノで座る姿勢をまず変える。 重心を下げ、力を抜き、勢いと重さで弾くことに重点を置く。 この人達はクラブやお祭りや世界万博で何時間もBGMを弾き続けた。 何時間も、騒がしい環境の中で弾き続けるためには、楽に弾けなければいけない。 渾身を込めてはいけない。 この音楽は深いメッセージや募る思いを表現するのではなく、 むしろそう言う物を押しやるような強い生活力、意志的な明るさ、 ある意味ドイツ流クラシックの自己陶酔的な真面目さと対局する意地を持つ。 軽くて良いのだ。 ピアノに自己投影をする教育を受けてきたクラシック奏者としては 「軽く弾き流す」と言う事には違和感を感じる。 でも、それを敢えてすることで、新しい人生観が得られるような気もする。 こう言う事を、15分の練習で考えたりするのです。 練習ってすごい!

練習しながら馳せる思い Read More »

ヒューストン日本人会へのお手紙。

私のヒューストンでの「『クラシック』って何⁉」の世界初演も後2週間を切り、 練習に励みたいところですが、演奏会の準備や引っ越しその他色々あり、 ブログの更新が滞るのを懸念して、一石二鳥! ヒューストン広報用の文章をそっくりそのままお送りいたします。 今年もジャパン・フェストは大盛況の内に終わり、ブルーボネットの花の思い出も遠ざかって来ました。もうすぐ初夏。皆さまいかがお過ごしでしょうか? 去年の初夏に佐々木麻衣子さんと私、平田真希子で行った4回の演奏会は私たちがマドリッドで開催された国際クラリネット協会で演奏するための旅費をファンド・レイズするための物でした。日本人会を始め、沢山の方に心からのご支援を頂き、私たちは元気よくスペインで心置きなく演奏して沢山の思い出を作って帰ってまいりました。ありがとうございました。 その時に会場を提供して頂いたFort Bend Music Centerにお誘いを受け、また日本人会にも多大なご協力を頂いて、私たちは今年も三回シリーズで演奏をお届けいたします。 コミュニティーに根付き、社会性を持った音楽創りをしたいと考えている私たちは、いつもどのようにクラシックをより楽しく、より身近に感じて頂けるか、試行錯誤を繰り返しております。今年のシリーズは現在の私たちのそんな思いを反映して、題して「『クラシック』って何⁉」。「知的だがお堅い」と言うイメージを持たれがちなクラシックがなぜそうなったのか。そもそも『クラシック』とは何を指すのか?考察いたします。 一回目は私のピアノ・ソロ・リサイタルで『ばりばりクラシック~ウィーン楽派』対『ぎりぎりクラシック~民族音楽に憧れて』を前半と後半に分けてお届けします。モーツァルトの「キラキラ星変奏曲」やベートーヴェンの「悲愴」と言った超有名クラシックを、ジョップリンのラグタイムやジャズっぽいガーシュウィンと比べるとどうなるのか? 5月7日(土)17時開演、Shepherd School of Music at Rice University, Duncan Recital Hallにて 2回目は「Why So Sad?」と題したプログラムで佐々木麻衣子さんと私のジョイント・リサイタルをお届けします。私たちはなぜ19世紀ロマン派の悲しい曲風に魅了されて止まないのか?麻衣子さんのクラリネットが歌い上げるサンサーンスや、私がピアノで激情をたたき出すラフマニノフをお楽しみに!このイベントはJAGHを始め、さまざまな日本人コミュニティーのご協力を得て、熊本復興支援のチャリティーコンサートとさせていただきます。 5月21日(土)19時開演 Fort Bend Music Center (Kirby Location): 3313 Southwest Freeway, Houston 3回目は「Folks in Classics」と題し、佐々木麻衣子さん、私に加えて、ヴァイオリニストのIngrid Hunterとトリオでクラシック音楽を影響する民族音楽にスポットライトを当て、クラシックの中の民族音楽と言う、一見矛盾なコンセプトに迫ります。蓄音機を抱えヨーロッパの田舎を走り回って口伝の民謡を集めたバルトークの作品や、リストのハンガリー狂詩曲、ブラームスのハンガリー舞曲、などなど、「のりのりクラシック」をお楽しみください。 6月4日(土)19時開演 Fort Bend Music Center (Kirby Location): 3313 Southwest Freeway, Houston 音楽の効用については、色々な研究や逸話があります。さまざまなハンディを背負った病人たちが音楽を聞いて起こす驚愕的な反応を記録したドキュメンタリー映画「Alive Inside」はYouTubeでViralになりました。神経学者Oliver Sachsが書いた「Musicophilia(邦題:「音楽嗜好症」)では生態レヴェルでの音楽の影響、音楽の治癒力、などを症例や逸話を交えながら科学的に描いていきます。また音楽家の脳と非・音楽家の脳と少し違うと言うことが今神経科学で盛んに研究され、Houston Medical

ヒューストン日本人会へのお手紙。 Read More »

「『クラシック』って何⁉」ヒューストンで3回シリーズ!

今年日本で演奏するリサイタルのテーマは「『クラシック』って何⁉」 同じタイトル「What is “Classical” Music?!」とテーマで、 ヒューストンでは3回シリーズで行います。 :「クラシック」と言うのは定義がしにくい、しかし一般的に良く使われる言葉です。特に音楽で言った場合、それは曖昧なのですが、イメージ的には『知的だがお堅い』と言うのが正直なところではないでしょうか? 今回のシリーズではクラシック音楽が「クラシック」と呼ばれるに至った歴史的背景を簡単にご紹介し、「ぎりぎりクラシック」のジャズっぽい物やや民族音楽性を色濃く出した「クラシック(?)」の名曲を「ばりばりクラシック」と比較検討しながら、音楽をより身近に楽しんでいただけるように工夫しています。 最初は私のソロで日本でやるものと同じ演目で。題して「ウィーン正統派対民族音楽」 5月7日(土)17時開演、Shepherd School, Duncan Recital Hallにて 次は麻衣子さんとのジョイントリサイタルで題して「Why So Sad?」 5月21日(土)19時開演 Fort Bend Music Center (Kirby Location)にて 最後は麻衣子さんとヴァイオリニスト、Ingrid Hunterを迎えてトリオで。 タイトルは「Folks in Classics」 6月4日(土)19時開演 Fort Bend Music Center (Kirby Location)

「『クラシック』って何⁉」ヒューストンで3回シリーズ! Read More »

歌うヒューストン日本人会。

ヒューストンの日本人コミュニティーは結束が強い。 色々な会があって、皆良く集まって歓談をする。 そして、集まると歌を歌う。 ピアノがある時は、私も演奏を添えさせていただいたりする。 オペラ歌手の方々が美声を披露されることもある。 また、一人ひとり皆の前に出て、順番に 過去の思い出の逸話や、専門分野についてお話しを披露したりもする。 そしてどんな趣旨の会でも大抵最後に皆で声を張り上げて皆で大声合唱をするのだ。 この前は伴奏譜が無かった。 曲は「千の風になって」。 前に二人の男性が立って、リードをする。 二人はイヤフォンで携帯から「千の風になって」を聞きながら大声で歌っている。 皆も二人に倣って声を合わせる。 一番が終わったところで突然、二人が止まってしまった。 微動だにしない。 皆どうしてよいか分からない。 (2番は歌うのだろうか?それともこの曲は終わったのだろうか…?) 数秒経過。 二人の内の一人が、突然、自分らを凝視する群衆に気が付き、自分の携帯を指さして 「あ、間奏です。。。」 大爆笑である。 でも、笑いながら涙が出そうになった。 19世紀の、マスメディアが浸透するはるか昔。 皆、こうやって一緒の時間を楽しんだのに違いない。 そして、そうやって大きな声で大きな口を開けて声を合わせて歌っている人達は、 皆専門分野では一目置かれるツワモノなのだけれど、 本当に、本当に、日本人コミュニティーと言う家族を思いやる、 良い人達なのだ。 ヒューストンの日本人芸術家や、日本人留学生を本気で支援し、 そして日本で震災があると、力を合わせて募金活動をやり、 何もない時はこうやって集まって音楽を鑑賞し、お互いの近況を報告しあい、 そして最後に一緒に声を合わせる。 こういうコミュニティーに属せて、私は幸せ者である。

歌うヒューストン日本人会。 Read More »