グスタヴォ・デュダメルについて
日本でグスタヴォ・デュダメル(Gustavo Dudamel)と言うのはどのくらい話題になっているのだろうか。 ロサンジェルス・フィルハーモニックの音楽監督を17年務めあげたエサ・ペッカ・サロネンの後任。 若干28歳の若さも話題だが、それよりもヴェネズエラ出身だと言うことや、 恩師、サイモン・ラトルをまねて伸ばしたくりくりの髪が 激しい指揮と共にぶんぶんと振り回される様子、そのカリズマ、人当り良さで非常な話題の人になってる。 ロス・フィルのシーズンは来週始まるが、 そこらじゅうの街灯にロス・フィル宣伝のデュダメルの様々な写真がプリントされた旗がはためき、 どの新聞もこぞってデュダメルについての記事を書き、 まさしく「犬も歩けばデュダメルにあたる」なのである。 今日読んだ新聞記事によると、このデュダメル・フィーバーにあやかろうと、 「デューディー・ドッグ」なるホット・ドッグ(アボガドのドレッシングや香辛料などが南米風らしい) を売り出す店まで、出てきているそうである。 私は2年前に彼の指揮を見ているが、確かにすごいドラマチックな指揮者だと思う。 そして人をその気にさせるエネルギーと言うか、オーラみたいなものが在って 「世界皆兄弟」みたいな気持ちにさせてくれるから、彼の指揮でオケで弾くのは楽しいと思う。 新聞記事の見出しだけでも面白い。 「デュダメルは、クラシック業界を救えるか?(高齢化が危ぶまれるクラシック業界に若い世代を呼びこむことができるか、と言う内容」 「デュダメル、茶色の新風(ロスの人工比率を大きく占めるヒスパニック系の観客を増やすことができるかと言う内容~確かにクラシックの観客は白人が多く、近年東洋人の割合が増えたが、他の人種は人口の比率に比例していない。しかし、デュダメルは南米出身と言ってもその風貌はむしろ白人に近いと私は思う)」 一観客としては、これからデュダメルの指揮をたくさん見れることは嬉しいが、一演奏家としては、このプレッシャーを彼がどうやって乗り切るか、同情と興味と応援したい気がこもごも。 ロス・フィルの新しい時代が開幕する。