October 2014

今出来ることをする、と言うこと。

ノートパソコンの電池が死んでしまった。 電気プラグを引っこ抜くと即座にコンピューターがシャットダウンしてしまう。 困る。 ああ。 と思っていたら、 今度は私の愛車のクラッチ(マニュアルを運転しています)が利かなくなってしまった。 修理場に向かって恐る恐る運転中にギア・シフトが全く出来なくなって、赤信号でアウト。 帰宅ラッシュの交差点でにっちもさっちも行かなくなって もうすぐそこだった修理屋さんの若いお兄さんが二人、私のSOS電話に応答して飛んできてくれ、 暑い中私の車を押して修理場まで持っていってくれた。 修理に半週間。 ああ。 泣きっ面に蜂と思っていたら、 私を「妹」と可愛がってくれていた 両親が帰国した16からこっちずっと「アメリカン・ファミリー」と慕っていたホストファミリーの息子、 スティーブンがジムで運動中に53歳で心臓発作で亡くなってしまった。 信じられれない。うそみたい。 ついこの間まで噂話しで盛り上がっていたのに。 思い出がどんどん込み上げてくる。 パリに行って3回休んで、もうこれ以上コミュニティーカレッジの授業を休めない。 でも木曜日の授業を終えて飛行場に直行しても、金曜日の朝どんなに早起きしても、 金曜日の朝一で行われるお葬式には間に合わない。 「てんてこ舞いの今よりも、落ち着いてから来て貰ってゆっくりおしゃべりできた方が嬉しい」 と私を気遣って言ってくれるホストマザーの言葉に甘えて、泣く泣く来週末の飛行機の予約をする。 あああああああ。 論文も、就活も、差し迫っているのだけれど、毎日取りあえず保留。 その間にも焦りが募り、しかし人生諸々の重圧も募り、息苦しくなっていた時、 お世話になっているヒューストン日本人コミュニティーの方々とお食事する機会に恵まれた。 「『やることが多すぎる』と言っている時は焦りばかりに集中して実は何もこなしていない時。 一つ一つ、する事をこなしていけば、いつか追いつく。 言い訳とか、愚痴とか言う暇があったら、 取りあえずやることリストの項目を一つ一つ消去することに集中する」 皆さん、それぞれの業界で物凄い活躍をなさっている凄腕のつわもの。 それなのに、(どうして?)(どうやったら?)と思えるほど 社交にも豆で、私にもいつもお声をおかけくださり、 周りへの気配りやコミュニティー還元に余念が無い。 「言い訳をする人は器の小さい人。言い訳をする前に行動する」 身につまされました。 そして、良い人々に囲まれてる幸せに感謝しました。 さあ、練習!そしてヨーガ! そして、する事リストを邁進!! 外は天気!中国茶が美味しい。 頑張るぞ!!! Steven, Rest in Peace. You were loved. 合掌。

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午前中から酔うなんて…!

パリから帰ってきてしばらく、 音楽よりもピアノ技巧に集中することによって心頭滅却を試みている。 朝一で午前中、正午のヨーガのクラスまで練習することが多いのだが、 久しぶりにゆっくりスケールや練習曲をさらい、 自分の体と鍵盤と音のつながりを確認。 禅僧のような練習をしている。 最近自分に課しているチャレンジ。 午前中の練習にはペダルを使わない。 特に演奏会に向けて練習している時は、 本番に近い奏法で、本番をイメージしながら練習することが多くなる。 勿論ペダルも使い、音楽的に歌いまわしながら弾くことを、朝から晩まで試みる。 でも、最近気がついたのだが、そうすると死角が出てくるのである。 ペダルを使わない利点は: 1.すべての音を意識するようになる。 2.上の1.の結果今まで意識していなかった和声や装飾音の発見があり、新鮮。 3.地に足が着く。 この3.はヨーガの着想。 ヨーガでは「地面からエネルギーを得る」、と言う言い方をする。 地についた自分の足をしっかり意識することによって、自分の確認をする、と言う意味だと 私は理解している。 日本語の諺「地に足をつける」とか、英語では「be grounded」とかも ほぼ同じ意味だと思う。 ところが、ピアノを弾いていると大抵右足はサステイン・ペダル、左足はソフト・ペダルに乗っていて、 地に着いているのはかかとだけ、になってしまう。 そしてこのかかとがピンポイント・ヒールなどを履いているときはもう悲劇。 本番中、この状態で緊張のためひざが震えたらもうアウトだ。 ペダル無しで練習していると、足をしっかりと地に着けてピアノを弾くことになる。 そうすると、落ち着いて冷静に、色々な判断が出来てくるのである。 聞き方もより分析的に、客観的になって、全く違ってくる。 ペダルを用いて演奏することは、まるで酔っ払って演説するような物である。 酔っ払っていると、勢いが出てくるかもしれない。 声が大きくなり、顔が紅潮し、人をも一緒に酔わせやすくなるかもしれない。 しかし、酔っ払いながらの演説に筋を通し、説得力を持たせようと思ったら、 素面のときの演説内容の裏づけリサーチと、冷静な論理づくり、そして練習が必要だと思うのだ。 そうしなければ、単なる自己陶酔だ。 自己陶酔と、共感を呼ぶ情熱の違いは本当に紙一重だ。 そこが素人とプロの違い、とさえ、言えるのかも知れない。 そして、素面でペダル無しの練習は新鮮で楽しいし、 自分に厳しくなる、良い修行。 午前中は酔わない!

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SHINRINYOK(笑)

運転中はラジオが楽しい。 今日クラシック音楽専門のラジオを登校中聴いていたらDJが突然 「ドヴォルザークが日本に住んでいたらばきっと…」 と、言い始めた。 在外日本人の常で「日本」とか「日本人」とか「日本語」とか言われると 耳がウサギの耳になってギョギョギョーンと興味がそそられる 「ドヴォルザークが日本に住んでいたらきっとしーんーりーにょーっくを楽しんだでしょう」 この「しーんーりーにょーっく」のところは声を張り上げて、 一生懸命母音ごとに区切りをつけて読み間違えないようにゆっくりゆっくり発音している。 なに!?なんじゃ!!?? Forest bathingとか何チャラとか説明を聞いてもしばらくは分からなかった。 「森林浴」と分かった時は笑ってしまった。 ローマ字で書くと、確かにSHINRINYOKUは「しんりにょっく」と読める。 …そう言えばドヴォルザークには自然を題材にした、広大な感じの曲が多いですね。 何か一日中思い出して笑っていた。

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Airbnbの素晴らしさ。

私がAirbnbと言うサイトを使うのは今回のパリが三回目だった。 自分が不在の間の短期間、住居を貸し出したり、それを借りたり、 あるいは自分の住まいに空いている部屋があったらそれを貸し出したり、借りたりするサイト。 他にも同じようなサーヴィスを提供するサイトはあるようだ。 それにCouchsurfing.com(居間のソファなど、夜眠れる場所のみを個人が貸し借りするサイト)や Homeswap.comのように個人宅を同意した期間交換する、と言うサイトもある。 始め私は、ただ単にピアノが付いている場所に住めたら、練習室レンタル料が節約できる!と思っただけだった。友達に勧められてサイトで色々検索しているうちにわくわくしてきた。ピアノ付きの部屋が沢山貸しだされているだけではない!ホテルの平均価格の約半分から、凄く魅力的な物件が沢山ある! そしてホテルと違ってこれらの住まいは観光地ではなく、普通の住宅地にある。勿論キッチンもあり、大抵の場合、日用雑貨や食料品が簡単に手に入る場所にある。要するに、『生活』をするのである。私が借りた二部屋は本当にきれいに掃除され、私の来訪を待っていてくれた。そうでない場所だってあるだろう。しかしいずれにしろ、生活臭がする空間に住む、と言うのは他人行儀なホテルに住むのとは随分違う。例えばパリ人はどんな本を読んでいるのか、どんなインテリアを好んでいるのか、ゴミ捨てのシステム、冷蔵庫や食品だなの常備品、その全てが興味深い。 前回二回は不在宅に泊まらせていただく、と言う形で、それもとても楽しんだ。 でも今回は、空いているお部屋に、いわば下宿させていただく、と言う形となった。 当然ながらその方が割安。 でも、大家さんと気が合わないかも、色々厳しいこと言われるかも、と懸念もあった。 メールのやり取りをしている段階で不安は吹っ飛んだ。 私がピアニストと知ると、まず設定している値段を特別に負けてくれ、しかも私のためにアップライトを調律してくれる、とまで言ってくれたのだ。そして色々情報交換しているうちに、彼女が映画製作に携わっていることなどが分かってきた。面白そう! 一週間彼女の家に滞在して、思いがけず心の友を得た気持ち。 シリアに関するドキュメンタリーをここ2年ほど制作している女性。 シリアの政治や内争に関することではなく、 最近ニュースで急に注目を浴びている、この余り誰も知らない国に、 人間味を持たせるべく、シリア人やシリアに関係がある人々に シリアに関する思い出や、日常生活、そして文化などに関して語ってもらう、と言う たんたんとして、しかし人類愛に満ちたプロジェクト。 まだフランス語とアラビア語しか無いのですが、HPをどうぞ! http://www.messagetosyria.com/ 演奏会にもお友達と一緒に来てくれて、とても感心して喜んでくれた。 一杯、芸術家として生きることの喜びと使命感と挑戦について語る時間を持てた。 私がパリを発つ日、自分の好きな赤ワインを一本説明つきで(赤だけれどもすっきりとしていて飲みやすい。一般的に好まれやすいのでパーティーに持っていくのに最適)、カードと一緒にプレゼントしてくれた。ギュッとハグして別れた。 とても嬉しかった。

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旅はタイムマシーン

旅はやっぱり良い! 旅をしていると、多分感受性が鋭敏に成っているのだと思う。 見聞きし、食し、感じる物全てが『重用事』としてインプットされているからなのだろうか? 一週間の滞在とは思えないほど 毎日が思い出に残る会話やイベントやちょっとしたハプニングでぎっしり。 ヒューストンに帰ってきてみると、ナンだか『懐かしい!』とすら思ってしまう。 たかが1週間の不在だったのに。 ヒューストンでは私が旅立つ前の友人や状況が、私を待ってくれている。 でも、私はグーンと人生進行した気持ち。 タイムマシーンに乗って、帰ってきた感じ。 そしてもう一つの『タイム・マシーン現象』は、パリの歴史の重み。 私が今回演奏させていただいたマレー地区は第三区にあるアルメニア教会。 石造りで天上の高い、17世紀に建てられた、非常に赴きの在る教会である。 毎週末、ヤマハのベビーグランドで演奏会が行われているらしいのだが、 ここは何と、ルイ16世がギヨティンで処刑になる道中、立ち止まって 最後の告解を行った教会でもあったのである! 余り目立たない壁の一角にひっそりと、 その時類16世が着た、と言う今ではぼろぼろの上着が額に入ってかかっている。 これに震撼してしまうのは、私が今論文用にパリでの演奏会の移り変わりを読んでいて、 丁度革命を前後して、いかに演奏様式が変わったかを勉強しているからだろうか? 教会で演奏している、私の写真です。

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