このブログの英訳はこちらです。The English version of this post is here.
そもそもピアノバンとは何か
『ピアノバン』はアップライトピアノ(俗称「箱型ピアノ」)をバンに載せています。ピアニストはピアノがすでにある場所でしか演奏できないという制限があります。その問題を解決してくれるのがピアノバンです。下の写真のピアノバンはとあるピアノ愛好家が(大自然の中でピアノを弾きたい!)と発注した物です。毎週末このバンを乗り回しているそうですが、「週日ならいつでも貸してあげる!」というお申し出を受け、今回の『Dr.ピアニストONピアノバン』企画の運びとなりました。
『Dr.ピアニストONピアノバン』いつ・どこで・だれと
- 日時:11月15日(月)~11月19日(金)
- どこで:サンフランシスコ界隈
- だれと:
- セルフ・ヘルプ・ハンガー(16日(火)1∼3PM)
- Genoa Street @ 61st St. and Stanford Ave, Oakland, CA 94608
- UC Berkeley の近所(17日(水)10:30~1:30PM)
- 2926 College Ave., Berkeley CA 94705
- SAVE-dv (17th(水) 4-5:30PM): Fremont Main Library Parking Lot
- 2400 Stevenson Blvd, Fremont, CA 94538
- カリフォルニア美術大学(18日(木)4~5:30PM)
- 1111 8th St, San Francisco, CA 94107
- ストリートサッカーUSA(18日(木)6∼6:30PM)
- まだ色々な予定・日程を検討中です。詳しい活動の時間表は追って発表します。
- セルフ・ヘルプ・ハンガー(16日(火)1∼3PM)
目的・意図
- ピアノ・ピアニスト・生演奏に触れる機会の少ない地域に出向いて交流する。
- その過程で私自身が貧困層や身障者・お年寄りなどの日常の現実やニーズについて学ばせて頂き、私の様な音楽家に何が出来るのか検討する。
- 音楽の治癒効果とそのノーハウをより必要としている地域の方々にお届けする。
- 活動をSNSで広報する事で他のアーティストたちにも新しい発表や地域奉仕の形を考えて頂くきっかけを提供する。
ピアノバン:背景。
2020年、去年の春、社会福祉家から電話を受けました。「パンデミックで高齢者施設での家族との面会やボランティアの訪問が全て不可能になってしまった。英語が喋れずインターネットが使えない高齢者の多くが食欲減退や睡眠障害などの鬱の症状に苦しんでいる。この人たちの為にピアノ演奏のビデオを作って欲しい」そういういう要請でした。勿論喜んで提供しましたが、複雑な心境でもありました。映像で流す演奏であれば、過去の巨匠でも良いのです。生演奏の治癒効果はその社会性や、非再現性にあります。ピアノバンがあれば駐車場などで、周りの人と安全な距離を保ちながら、時空を通じて音楽を共体験する事が出来ます。
そう考え始めたら、他にもパンデミックに関係無くピアノバンの出張演奏を喜んで頂ける人々を思いつき始めました。演奏会場に出向くことが難しい人たちは沢山居ます。移動手段がない方。貧困層者。心身に障害を持つ方々。小さなお子さんや身障者やご高齢者と同居されるご家族。
ピアノバンとの出会い。
まさに私が思い描いていたピアノバンの持ち主と運命的に出会ったのは9月の頭です。「プロのあなたには失礼かも知れないが、良かったら数曲聞かせてくれないか」とある協議会の閉会式の後におずおずと申し出を受け、外に連れ出されたらピアノバンが在ったのです。その時の演奏がこちらです。
興奮して私のアイディアをピアノバンの持ち主に一生懸命伝えました。そしたら「いいよ、いつでも貸してあげる。やってみなよ。」とあっさり言われたのです。それからメールのやり取りをして再来週にピアノバンの持ち主が住むサンフランシスコ界隈での実験が決まりました。
ピアノバンの必要性。
私はTempo:Music for Climate Action(音楽による環境運動)に携わるようになってから、芸術鑑賞の形態は変わるべきだと考える様に成りました。演奏会場や美術館に大勢の人が出向くと沢山の人がCO2を排出する結果となります。でも逆に奏者や鑑賞物が地域の集会場に出張すればずっとエコです。流通問題などが懸念される今日、私は地域の自治や経済発展などの独立性が必要になってくると思っています。出張演奏や地域芸術は地域の経済や一体感の確立にも貢献できます。
もう一つ、私は音楽の治癒効果を緊急時の救急対応に活用するべきだと思っています。温暖化の影響で自然災害の頻度も被害もこれから増大する事が予想されます。でも医療スタッフは一人に付き一人の患者さんしか診てあげられません。そして医療スタッフが対応できる肉体的な損傷だけではなく、災害は人々に精神的苦痛をもたらします。音楽があれば多くに沢山の人を慰めることができます。
私はこの「Dr.ピアニストONピアノバン」でプロトタイプを提供しているつもりです。そしてすでに手ごたえを感じています。私が話しを持ちかけると医療・教育・社会福祉・芸術といった色々な分野の方々が皆とても共感・賛同して下さるのです。更に、私はSNSであまり発信をしていないのですが、昨日ピアノバン計画についてFacebookにポストしたら200近い「いいね!」が付き、また多くの方にポストをシェアしていただき、びっくり致しました。きっと時期相応なのだと思います。私はこのピアノバンのアイディアを提唱出来ているだけでも、すでにやりがいを感じています。
ご支援のお願い
今回は余り準備期間が無い中、「えいや!」と即断した企画です。行き当たりばったりの体も多いにあります。そして私一人ではできることには限りがあります。皆さんにご協力をお願いさせてください。
- 資金援助:今回は自腹覚悟の托鉢スタイルで参りますが、ご無理のない形での資金援助は大変ありがたいです。
- 広報のご協力:
- サンフランシスコ周辺にお住まいの方や、お知り合いがいらっしゃる方。
- 私の演奏や音楽治癒効果のワークショップにご興味がおありになりそうな団体をご紹介ください。
- 私のイベントにお越しいただき、SNSなどで発信してください。
Pingback: Pianovan Adventure①:Planning - "Dr. Pianist" Makiko Hirata DMA
お疲れ様です。
クラッシックの演奏は、音響のよい会場で聴くのが習わしでした。
逆転の発想が、ピアノバンでした。
コロナ禍の心の病は、生演奏の癒し効果が必要で
そのためには、「Dr.ピアニストONピアノバン」が必定となりました。
理想的な社会貢献事業ですが、資金が必要となります。
英語に無知なものぐさ者でも寄付できるやり方を教えてください。
なお、懸念は、生活のために演奏するストリートミュージシャンやチャリティコンサートとの違いです。
小川久男
私も素晴らしい音響の中で芸術的に調整されたフルコンで弾きたいです。
でもそれはたまに食べるグルメ料理の様なもので、日常的な音楽交流も世の為人の為にもっと身近にあるべきだと思うのです。
資金援助のお申し出ありがとうございます。勇気付けられます。
詳細はメールにて。
平田真希子
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