August 2011

マキコが大事!

私はケチである。 学生時代は学生ヴィザで、アルバイトが自由にできなかった。 それに、アルバイトに割く時間があるなら練習を、と言う気持ちも在った。 兎に角出費を出来る限り抑える事で忍ぼうとした。 多分、普通に日本で生活している人からは考えられない節約をしていたと思う。 今ではアメリカの永住権も手に入れ、晴れて学校から生活費まで支給していただける身分になり、 それからありがたいことに演奏からの収入もあり、もうそんなにカツカツしなくても良いのだが… 生活習慣、だろうか。 あるいはこれはもう生活態度の問題、なのだろうか。 病的なまでの節約が中々抜けない。 出費の際はいつも、その投資に対する相応な見返りがあるか、しばし考えてしまう。 今、朝食の準備中、ドライ・フルーツとナッツのミックスの 買ったばかりのちょっとした贅沢と健康のための投資をひっくり返してしまった。 ナッツは値段が上昇中だ。 キッチンの床に派手に散らばったナッツを私は一つずつチリをよけながら拾い始めた。 箱に戻して食べるつもりだったのである。 でも、ナッツは多く、時間がかかり、色々な考えが頭に及んだ。 私はこれから毎日、これを食べながら何を思うだろう。 そしてこのチマチマとナッツを拾っている時間はなんだろう。 さらに、ゴキブリ退治用の薬がところどころに置かれている床から拾った物を食べる 肉体的、そして心理的副作用は…? 腹をくくって、「マキコが一番大事、マキコが一番大事」と唱えながら ザッ、ザッ、とナッツをかき集め、バッとゴミ箱に全部捨ててしまった。 自分に対する、ちょっとした変化の宣言である。

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ちょっと多忙です。

ブログ更新、少し間が開いてしまった。 結構多忙に過ごしている。 本格的に授業などが始まる前に、と友達と先学期以来4ヶ月ぶりの会話もある。 これは、勿論正式に昼食や夕食などを食べながら、と言うのもあるが、 学校の廊下で立ち止まって、しばし立ち話、と言うのも多い。 さらに、新居にまつわる、新しい家具や日常雑貨の購入、片付け、もろもろの手間。 そして、「新学期の抱負」、例えば毎週末土曜日・日曜日と2万歩以上歩く等、を頑張ってこなしてしまう。 その上学校は始まってはいるから、それなりに宿題も、クラスもある。 そして今学期から担当する聴音の授業の準備、 さらにゴールドベルグのCDの最終プロダクションに関するもろもろ、などなど。 と、言うわけなのです。 熱は知恵熱のように、派手に出て、そしてウソの様に引いてしまいました。 元気いっぱいで頑張っています。

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頑張れ、私の免疫力!

リサーチ方法のクラスと、総譜をピアノで弾くための勉強のクラス、 火曜日はこの学年度最初のクラスの日だった。 その後午後は久しぶりに練習して、夜は日本人会開催の総領事公邸での集まりに参加。 とても楽しい充実した一日を終えたと思ったら。。。 その夜中、すごい悪寒で目が覚めたのである。 みんなが暑さに文句を言うヒューストンの8月の熱帯夜に寒いぼが立っている。 冬用にクロゼットにしまいこんだ毛布を引っ張り出して、パジャマの重ね着をし、 生姜湯を作ってビタミンCの錠剤と一緒に飲んだ。 そしてベッドを見下ろしながら (明日は11時から聴音のクラスを教えなければいけない。絶対休めない。 よし、これは病原菌と私の免疫力のバトルだ!絶対勝つぞ!!) と自分にハッパをかけて、意を決してベッドにもぐりこんだ。 それからはほぼ毎時間、暑すぎたり、寒かったりで目が覚め、 その度に兎に角水分とビタミンCを摂取、 そして汗にぬれたり、寒いぼ立てたりしている自分の肌を拭ったり、こすったり。。。 そして兎に角、目を硬く閉じて、一生懸命寝た! 今朝はとりあえず高熱は下がった様である。 微熱の感触はあるし、波乱万丈の一夜を終えて、ぐったりとしただるさは残るが、 兎に角私は勝って、晴れて11時のクラスを教えに行った。 一時間教え終わって、そのままとんぼ返りでベッドにもぐりこみ、眠ることしばし。 起きたら夕食時。しかし、昼食も取っていないのに、まったく食欲が無い。 そういえば朝食もオレンジ一個だった。 う~ん、これはやせるかも! 早く、良くなりたい。

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ヒューストン第一日目

日曜日、とても素晴らしいヒューストンでの第一日目を迎えることが出来た。 朝、前の晩遅くについて、ほとんどそのままになっていた荷物を少し解いた後、 10時に学校で月曜日から教え始める聴音のクラスについて担当の教授とミーティング。 女流作曲家として前から噂を聞いていた台湾人の教授。 去年はフルブライト交換留学生として台湾に台湾の土着音楽を学びに行っていて居らず、初対面となる。 同じ内容の別のクラスを同時進行で教えることになるわけだが、 彼女が監督で、私は彼女に指導(の指導)を受ける形に成る。 これから一年一緒にお仕事をする上で、聴音指導に限らず、色々刺激を受けられるだろう。 楽しみ。 12時に新居の、ライス大学の修士・博士課程の生徒のためのアパートで 注意事項などの簡単な説明会がある。 思いがけない再会がいくつもあり、喜び合って、そのまま軽く一緒に昼食をする。 私がロサンジェルスで研究生として在籍していたコルバーンから何人もの新入生があり、 とても嬉しい再会。 午後は、ルームメートを通じて新しく出会った、統計学の修士の生徒たちに誘われて、 近くのスーパーまで食料の買出しに出て、映画館に直行。 「The Rise of the Planet of Apes」を見る。 特撮もストーリーもとても奇抜で、とても楽しむ。 一瞬、自分が日本に居るのか、NYに居るのか、ヒューストンに居るのか、 ぜんぜん関係無くなってしまう。 その後、プライヴェートで教えている12歳、10歳、5歳の姉妹の家族に夕食によばれる。 この姉妹の下にさらに、3歳と1歳の男の子が居る、大家族。 お父さんはライスの会計学の教授。 お母さんは教育学で修士を納めたゆったりとした美人。 子供たちはお客さんで大はしゃぎでみんなで一斉にしゃべりかけてくる。 それにまったく動じずに手作りのパンや、家庭菜園のサラダでもてなしてくれた。 私は5人の子供にモテモテで、引っ張りだこになり、にやけっぱなしだった。 とても、とても充実した、楽しい一日目だった。

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画家のためのモデル体験について

私がいつもその積極的な好奇心と精力的な活動に感銘を受けている画家のO。K。さん 「描かせて」と前からお申し出を頂いていたのですが、 今回CDのカヴァーイメージの候補に描いて頂くことになりました。 マンハッタンを見渡す大きな窓を構えた、素晴らしいアトリエでのお仕事です。 色々なポーズをとって色々な位置で座りなおして見て、やっと決まりました。 高い、高い壇上の上にすえられた肘掛け椅子に 私が白黒のドレスを着て両足を右向きに組み、上体を真正面、そして首を左側に向けて 流した様に座っているポーズです。 ちょっとワシントン・D.Cにあるリンカーン・メモリアルの彫刻に似たポーズです。 でも、もう少し体の線を意識し、首の線を強調するためにひねりを入れた、と言う感じ。 一回のセッションが25分、合間の休憩が5分、全てタイマーで計ってやります。 私がヒューストンに帰ってしまうまでに時間が限られていたこともあって とても緊張感の漂う、密度の濃いセッションとなりました。 閑談をしながら、と言う雰囲気ではまったくありません。 かかっていた歌謡曲のアレンジが可笑しくて私がくすくす笑ったらば 「笑わない!」としかられてしまいました。 そして描きながら大きなキャンバスと絵の具のあるパレットの間を O.K.さんが踊るように忙しく行き来し、 キャンバスの下から見える足が踊る様に屈伸します。 しかし、動かない、と言うのは不思議な感覚です。 段々体から意識がどんどん離れていきます。 始めは「綺麗に書いていただこう、どうしたら綺麗に見えるだろう」と それなりに息や姿勢などを意識して、ヨーガのポーズでもとっているつもりでしたが、 そのうち段々、意識がまったく今の自分の肉体的状況を離れる様に成りました。 哲学的な事を久しぶりに延々と考えて見たり、子供時代の思い出にふけったり、 何だか不思議とこの「動かない」と言う状態が色々な象徴に思えてきます。 「時間」と言うことについても、「肉体と意識の関係」と言うことについても考えます。 そして、25分と言うのが段々短く感じられるようになり。 そのうち、このひねったポーズが少しずつ苦しくなってきました。 首が痛い! こうなってくると今度は「だるまさんころんだ」です。 キャンバス前にO.K。さんが隠れているときは、出来るだけ一生懸命筋肉を動かします。 しかしO.K。さんは時々、本当に「だるまさんころんだ」の鬼を彷彿させるやり方で、 ひょこっとキャンバスの後ろから状態をかしげて顔を出すのです。 その時は「ぱっ!」と大急ぎで気づかれない様に元の位置に戻ります。 顔面体操、首回し、肩回し、背筋のストレッチ、思いつく限りやりました。 時々O.K.さんはキャンバスから後ずさって、絵と私をジーっと見比べます。 それから物凄く接近してきて、私の顔の一部をまじまじと見られるときもあります。 見られる、と言うのは不思議な物です。 「見守られる」とか「見つめられる」と言うのとは、違います。 反応も許されないわけですから、何だか物になった気持ちがします。 写真機が発明される前は、 みんな自分のイメージを記録したい人はこうやって絵描きさんに書いてもらったんだなあ。 私はシンガー・サージェントが好きなのですが、 彼の描いた貴婦人がみんなこうやって描いて頂いていたんだ、 と言うのが不思議とセンチメンタルに思い起こされます。 生憎私がヒューストンに今日発ってしまうので、 完成は写真を参考に、しばらく経ってからになります。 今のところ、凄みのある、雰囲気のある絵になってきていますが、 ちょっと芸術性が高く、私のCDカヴァー、と言うのとは、ちょっと違うイメージですが、 「O.K.さんの作品として、『綺麗に書こう』とか邪念を入れずに、正直にお書き頂く」 と言うことで合意し、完成を楽しみ待っています。 タイムスリップした様な、とても興味深い体験でした。

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