音楽人生

猛練習日、二日目。

昨日の引き続き、今日も缶詰で練習!の日。 10時15分から一時間、生徒さんをお教えして、 11時半から博士論文について教授とのミーティング、 2時から3時までもう一つ事務的なミーティングが入っている他は 今日は全部練習! 休み中に事務などの野暮用!ストレッチ!水分・栄養補給! 夏休みで学校のリサイタルホールとフルコンが朝練に使えるのが贅沢。 今朝はウォームアップと「『クラシック』って何⁉」のソロ曲を 良い音響で、良く聴きながら、まず復習。 5月21日のリサイタルの反省やこれからの課題を頭の中で明確にする。 まず、耳のウォームアップ。 腕と手の重みを鍵盤に預けた形でペダルを踏んでジャーンと鳴らし、 音がホールに広がり、消えていく過程を集中して聞く。 この時、昨日ブログに書いた 「上体を起こして胸を張り、客観的にホールの音を聞く距離をピアノと耳の間に保ちながら 丹田をしっかりと張り、重心を落とし、お尻を椅子にどっしり落ち着けた状態」の復習。 ウォームアップしていると色々な事を想う。 今日思っていたのは、過去と現在と未来と言う事。 人生とか、時間の概念とか、そう言う抽象的な話しではなく、音と演奏に関してである。 音楽と言うのは時間の芸術。 過去・現在・未来に同等に意識を持って、始めてバランスの取れた演奏となる。 過去は今まで弾いてきた音楽とその過程。 現在は今瞬間的に出してる音。 未来はこれから醸し出す、音楽。 このどれに囚われすぎても、バランスが崩れる。 ホールでフルコンで練習していると、あまりの音の美しさに過去と現在に囚われがち。 それが、本番の危険性だと言う事に気が付く。 そして、これが「酔う」と言う現象なんだ、 子供の頃から注意されていたのは、これなんだ、と気が付く。 常に次の音、フレーズ、そして残りの曲に頭の3分の1を残しておかないと。 でも、未来ばかりに頭を置くと、焦った、余裕のない、冷めた演奏になる。 ジュリアードの生徒が 「走る」とか「指だけ猛スピードで回して音だけ大きい」とか批評されるのは、 練習室があまりにも小さく、 防音がしっかりしていないためピアノが鳴らないようにしてあって 音が鳴らないから楽しみは頭の中で鳴る未来の音だけになり、 そしてそれを追いかけるだけの練習になるからでは? ホールで練習していると、そんな事を想う。 バルトークの3楽章をみっちりやる。 形が何とか見えて来て、技術的難所も何とか解読して消化。 後はテンポを上げて、考えずに指が動くようにするところまで繰り返す。 でもつくづく、ピアノと言うのは民族楽器と一番程遠い所にある、と実感。 ピアノは発明が1700年、とまず非常に遅い。 それから工業革命を反映するべく急進化して、 木と金属とフェルトとからなる、非常に精工なからくり機械に発展した。 高い。それに動かせない。 まさに、帝国主義的、エリート主義的、排他的、クラシックの象徴。 その音も、象徴的存在も、民族音楽と正反対の所にある。 それで、歴史的に民族音楽に多用されて来たクラリネットとヴァイオリンと どうやって一緒に民族音楽風に奏でれば良いのだ? 兎に角、ピアノらしからぬ奏法をするしか無い。 叩く。 非常に短い音を出す。 不協和音を強調する。 物凄い破裂音のアクセント。 […]

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演奏会翌日:10キロ走って反省会!

昨晩はヒューストンで現在進行中の三回シリーズ 「『クラシック』って何⁉」の二回目、「Why so Sad?」を開催しました。 演奏会を企画した後、チラシを刷ってしまった後で起こった 熊本での地震の復興支援チャリティーに、この2回目を起用したのは、 ヒューストン日本人会と日本大使館を始めとする多くの方々の ご賛同とご協力を得ることが出来たからです。 昨晩は総領事であられる天野ご夫妻もいらしてくださり、 大雨にもめげずに沢山の方々がお見えになってくださり、 お陰様で盛況な演奏会となりました。 この場を借りて、お礼を申し上げます。 お陰様で熊本に送る支援金も、皆さんのご厚意で集まり、 私たちの気持ちが応援になれば、と演奏会の企画に携わった一同願っております。 今回は生演奏の横でプロジェクターで投影した 実際に弾く鍵盤の上の私の手のクローズアップをお見せしました。 これはアイディアとしては良かったのですが、実現に色々試行錯誤があり、 スクリーンは麻衣子さんが夜なべして完成した手作り! でも、大変好評だったようで、良かったです。 さらに、ライヴストリーミングの実験もひそかに行われていました。 これは、ご病気だったり、介護中だったり、小さなお子様がいらしたり、 色々な諸事情から会場に実際にいらっしゃるのが困難な方々にも 会場の雰囲気を楽しんでもらいたいと言う気持ちから始まった試みです。 これも現在進行中のまだまだ実験の段階なのですが、 でも私たちのアウトリーチの試みの一つです。 私たちは音楽を通じて皆が共感できる場を提供すると言う事に 象徴的、かつ重大な意義を感じ、 それにどのように社会的接点をより強く持たせ、 社会の潜在的ニーズに対応できるか、と言う事を考え、 試行錯誤しています。 ヒューストンの日本人コミュニティーの多大、かつ継続的な応援を得て、 多少の失敗を恐れずに大胆に試行錯誤を重ねる贅沢に本当に感謝しています。 ただ今回は、演奏以外の要素に集中し過ぎた嫌いがありました。 演奏以外の心配に集中していて、演奏はむしろ安心していたのです。 弾き始めて、始めてドレスでむき出しの肩と腕が冷房で冷え切っていること、 ピアノに戻りが遅い鍵盤がある事(良く鳴るべ―ゼンドルファーだったのですが) などなどに始めて気が付き、 さらに2週間前に一度弾いて安心していたベルグのソナタが いかに複雑で込み入った曲かと言う事を演奏中に改めて感じ入り圧倒され、 改めて、ピアニストの最優先は常に練習であるべきだと言う事を感じました。 でも、沢山の演奏の機会に恵まれているせいか、 それとも一つ一つの演奏の出来に全く揺るがない愛情を受ける幸せを実感しているからか、 私が成長して来ているのか、 はたまた最近の身心共の健康を目指すジョギングや食生活が功を成しているのか、 昔だったら一日落ち込んでいたのが、今日の私はとにかく前向き。 気分を切り替えるために朝は初めての川沿いのコースを10キロ1時間16分で走り、 次と、その次に控える演目の準備を始め、 そして午後のフルートの発表会の伴奏をこなし、 自分でも頼もしいほど前向きに過ごしています。 今回は金・土・日と続けて全く違う演目の演奏会を入れてしまった事、 さらにそれに備えるつもりで 木曜日の夜に「リラックス」と称して夜更かしをしてしまった事、 季節の変わり目、そして冷房が効きすぎ始める時期に 防寒着を続けて忘れ、肩や腕を冷やすことを何日も続けてしまった事、 さらに演奏会の演奏以外の要素への集中によって

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本番当日の覚書ーChin up!

ピアニストをしていると、色々な会場の色々なピアノで演奏することになる。 昨晩は悲しいかな、電子ピアノでの演奏だった。 屋外なのでしょうがないのだが、 そして芝生でたむろす小さな子供連れの沢山の家族に 良天候の中音楽を楽しんで頂けて嬉しかったが、 歩いたり走ったりが嬉しくてたまらないやんちゃ坊主が何度も舞台を疾走したり、 譜めくりが棒を駆使してアクロバットのように風にあおられる譜面を押さえつけたり、 そんな中で何とかやった演奏だった。 風に凍える腕に鞭打って、モニターの割れる音を無視して、 ベストを尽くして演奏した。 二週間前の「『クラシック』って何⁉」世界初演は反対に これ以上ないほどの環境での演奏。 その朝、調律師がきちんと調整・調律してくれたフルコンに、 音響の微調整を壁に取り付けてある布をコンピューターで動かして出来る リサイタルのために作られた300席のホール。 ここで久しぶりに音響とフルコンのすごさを思い出した。 ここでの練習の時に気が付いた、演奏に関する普遍的な真実がある。 目線は出来るだけ上に、と言う事である。 キーシンも、ランラン(私は嫌いだが)も、内田光子も、リヒテルも 良く目線を天井に泳がせて弾いている。 あれはお客さんのための演出ではない。 姿勢を正し、耳をピアノ本体から一番遠い状態にして、目線を上にあげた時 ホール自体に響く音、お客さんが聴いているのに一番近い音を聴ける。 さらに、緊張すると皆取り勝ちな、鍵盤を凝視した、鍵盤に覆いかぶさる姿勢。 これは音が客観的に聞こえなくなるだけでなく、 首や肩、上腕にかなりの緊張を要し、 さらに呼吸も浅くなる。 主観的にはより一生懸命弾いているような感じだが、 実際は全くの逆効果なのである。 今夜の演奏はべ―ゼンドルファーのインペリアルと言う高いピアノで行うが、 会場自体の音響は若干乏しい、ドライな物である。 カーペットが敷き詰めてある会場だと言う事、天井が低い事、 理由は色々あるのだが、 私はその中でどのように聴衆と共鳴出来る音を発信できるだろうか。 自分のベストを尽くします! 今日の演奏会は熊本復興支援のチャリティー。 日本大使館や日本人会のご協力を得ての演奏会となる。 詳細はこちら。 平田真希子さん、佐々木麻衣子さんコンサート なお、演奏会場に来る事は無理だが寄付だけご希望、と言う方は Japanese Association of Grater Houstonへの小切手(Kumamoto Donationと明記)を P.O. Box 130954 Houston, TX 77219までご郵送ください。

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本当の友好、と言う事。

明日、Korean-American Society of Houston主催のイベントで演奏する。 私にはおこがましいほど大志が色々あるのだが、 その一つは自分の音楽活動を通じて国際親善の様な事が出来たら、と言う夢である。 例えば私に向かって「ハイル・ヒットラー」と嫌味を言ってくるような ネオ・ナチスのはびこるドイツの田舎町でリサイタルを演奏した時。 アジア人が珍しいらしく、街行く全ての人に振り返って見られているような ポーランドの小さな町のオーケストラと共演した時。 「音楽は世界の共通語」と、 肌の色が違う自分が、彼らと同じ音楽に情熱を抱き、人生を賭けていることを 見てもらえることに意義を感じた。 でも、自分では気が付かなかった自分の活動の象徴性と言うのを、 お客様に気が付かせていただいた事がある。 タングルウッド音楽祭でメンデルスゾーンの三重奏を演奏した時の事。 中国人のヴァイオリニストと韓国人のチェリストと私のトリオは、 タングルウッドが勝手に組んだ組み合わせ。 顔合わせから数週間で私たちは演奏を披露すると言うスケジュールで、 私は、私よりも年少の弦奏者たちを叱責しながらリハーサルを仕切って 準備不足にやきもきしながら本番に臨んだ。 クラシック業界にアジア人は多い。 韓国人や中国人と共演することは日常的だし、 そんなことよりも少しでも良い演奏を披露する事だけに集中していた。 そしたら演奏後に、お客様の一人にこう挨拶されたのです。 「世界はゆっくりでも少しずつ進歩をしているのですね」 意味が分からなかった私にその白人男性は続けた。 「あんな戦争を経た60年後にその子孫たちがこうやって音楽を奏で合うなんて」 物凄く感じ入った一瞬だった。 ちょっと位演奏の質を妥協しても、 「交流」と言う共演の側面をもっと大事にするべきだったのでは? 私はくそ真面目な人間だ。 準備不足でリハーサルに臨まれたりすると、短気になってしまう。 でも、音楽人生と言う特権的な毎日を送らせて頂いている私が そんなせせこましい事を言っていたら、本末転倒なのかも知れない。 明日演奏するヒューストン韓国人会の演奏会。 話しが来たのはほぼ2か月前。 タングルウッドの一件が在って以来、 「アジア人奏者のコラボでイベントやシリーズをやりたい!」と思っていた私は (運命!?きっかけ!?)と食らいついた。 しかし、今回の責任者のヴァイオリニストは連絡が非常に取りづらく、 何度メールしても「アジア人コラボ」のプロジェクト・ヴィジョンの話し合いどころか 演目の楽譜さえ、やっと送られて来たのが約一週間前。 この頃には私は業を煮やして、匙を投げかけていた。 そんな私の態度を反映してか、 それとも相手がその日の午後にヒューストンに到着して疲れていたのか、 昨夜のリハーサルは「雇われ伴奏」に近い、 交わす言葉は必要事項だけ、という感じの味気ない、ドライな物だった。 私もハードな一日で疲れていたし、 それに約束されている印ばかりの「謝礼」は キャンセルせざるを得ないレッスンと差し引くと赤字になるくらいスズメの涙。 それなのに、この態度は何だ!…そんな気持ちもあったことは否めない。 このイベントは屋外コンサートのため、雨天の場合は中止になる。 雨ごいダンスを激しく踊りたい、そんな気持ちだった。 でも、一日置いて、反省。

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金・土・日と全く違う演目で演奏するための準備

たまたまなのだが、毎週末複数の演奏を抱えている。 先週末はそれでも2回同じ演目で金曜日と日曜日に演奏しただけだったが、 今週末は金・土・日とそれぞれ違う演目・共演者。 昨日は土曜日と日曜日に向けてのあわせが午後に次々とあった。 今日は土曜日と金曜日に向けてのあわせが次々とある。 しかも、ソロ曲だってあるのである。 金曜日の演奏会はDiscovery Greenと言う公演での演奏。 雨天中止で,現在の降水確率は40パーセント。 降水確率にあわせて練習の優先順位が上がったり下がったりする。 こういう状況はまれなので、結構面白い。 これはKorean-American Society of Houstonが主催している催し物。 私は韓国人・日本人・中国人・台湾人と並んで共演して見せることに意義を感じるので、 電子ピアノである事、屋外である事、非常に忙しい週末である事、 全てを見越して受けた仕事だが、結構大変。 韓国の伝統楽器の演奏と共に、ガーシュウィンやピアツォラのタンゴなど、 世界各地の音楽を演奏する、と言う趣旨は良いのだが、 演奏者が各地から集まるのが今日! リハーサルは間に合うのでしょうか? 開けてびっくりお楽しみ!の世界である。 土曜日は麻衣子さんとの共演。 熊本復興支援のチャリティー、と言う事で ヒューストンの日本総領事ご夫妻や、日本人会の全面的な後援を受けてやる。 大変ありがたい。 麻衣子さんと演奏するのは、どういう状況でもいつも楽しみ。 日曜日はフルートの発表会の伴奏。 これはまあ、アルバイトだが、 でもピアノ合わせは初めてと言う3年生から 来年音楽専攻の大学一年生として進学する子まで それぞれリハーサルを要し、かなりの曲を弾く子も居る。 音楽は「音を楽しむ」と言う事を心して、 それぞれの曲、共演者、そして機会を愛でる気持ちを大切に、 今日も頑張ります! 今日は10時半からレッスンを教え、 11時45分から自分のソロ曲をレッスンしていただき、 16時から空港での演奏アルバイト、 そしてそれが終わったら19時30分から22時までリハーサル。 今日も充実!

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