March 2013

ホット・チョコレート

この頃、ホットチョコレート(ココア)を毎晩のように飲んでいる。 ライス大学には生徒が運営しているカフェやバーがある。 バーでは働く人は全て一時間ずつボランティア。 でも希望者があまりにも多いため、いつもキャンセル待ち状態出そう。 人件費も場所代もかからないから、アルコールの元値だけ。 ビール一杯95セント(80円くらい)から飲める。 私はビールはあまり飲めないので、ほとんど関係無い話しだが、好きな人にはたまらないらしい。 私がライスに来る前、様子を探るためにライスの学生に電話をしたら、 最初の10分がこのバーの話だった。 サンドウィッチも、スナックも安いので、私もそう言う利用はする。 あと、飲みたい友達と喋ったりするためとか。 私がホットチョコレートを買うために通っているコーヒーハウスも学生運営。 コーヒー一杯やはり95セント。 全てのコーヒーが有機栽培で、 発展途上国などで強制労働があるような国から輸入している豆は使用していない。 私はコーヒーも飲めないのだが、ここのお茶は美味しい! そして、この間初めてホットチョコレートを注文してびっくり! ちゃんとミルクをスティームしてカプチーノのようにほわほわにしてくれ、 その上チョコレートの粉も本物! すっごく美味しいのだ。 この頃なんだか忙しいのだが、 金曜日に第一稿締め切りのペーパーを書くため、毎晩図書館に通っている。 その図書館に行く途中に、ホットチョコレートを飲んで一息ついて、気力アップするのである。 今日も全ての予定をこなしたら、今8時50分。 カフェでホットチョコレートを頂きながら、ブログをアップして、これから図書館! 頑張るぞ! 図書館が24時間開いているのが、本当にありがたいです。

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今年の夏のプログラム,「東洋を夢見る西洋音楽」について

今年の夏の選曲を一生懸命行っています。 リサイタルのトップバッターはモーツァルトの「トルコ行進曲」が最終楽章のイ長調ソナタ11番、KV331。 一楽章と二楽章は以下にもクラシックと言った変奏曲とメニュエット。そこで「ピアノ独奏会に来たな~」と言う気持ちを確立して頂いて、有名な三楽章「トルコ行進曲」に突入。ここで「東洋との遭遇」になります。なぜこの曲が「トルコ」なのか、と言うのは一瞬のデモンストレーションで一目瞭然です。ここで「東洋」の大義、さらに私がこのリサイタルプログラムをデザインするに至った思考を説明します。西洋音楽を専門する日本人として、日本と西洋音楽の最初の接触以来の発展の歴史を勉強する意義を感じたこと、などです。 モーツァルトのソナタは意外に全楽章で24分ほどかかります。前半の残りは主に日本人作曲家の曲を弾いてみようとおもっっていますが、その前に私がこの学年度リサーチをした「天正遣欧少年使節(1582-90)」について少し話しをしようと思います。ポルトガルから来た宣教師に洗礼と教育(音楽を含む)を受け、ヨーロッパに送られて日本での宣教活動の報告と資金援助の要請をスペイン・ポルトガル・ローマの貴族や法王に行った、4人の十代の少年たちが、日本からヨーロッパに向けて正式に送られた最初の使節団です。彼等は無事日本に帰国し、豊臣秀吉の前で持ち帰ったチェンバロ、ハープ、ヴィオラ・ダ・ガンバなどを使って御前演奏をしました。その時の曲が何だったのかと言う記録は残っていないのですが、今ではジョスキン・デ・プレの「千の悲しみ(Mille regretz)」と言うシャンソンであったのではないかと言う音楽史家、皆川達夫氏の説が広く受け入れられています。この曲をルート用の変奏曲にしたものがあるので、まずそれを演奏しようと思います。 まず、山田耕作(1886-1965)のピアノ曲を二、三曲弾こうと思っています。山田耕作一般的には「赤とんぼ」など日本語の抑揚を活かした、親しみ深いメロディーで多く知られていますが、ベルリンで留学中にはマックス・ブルックなどと勉強し、日本人としては初めて交響曲やオペラを作曲し、海外で演奏され、評価を受けた最初の日本人作曲家です。彼のピアノ曲はかなりの量になります。私はピアノ全曲集を最初から最後まで何回か読み通して見ました。「スクリャービンに捧ぐ」と題された二曲の曲集はいい曲ですが、すでにYoutubeでいくつかビデオが発表されており、出来ればまだあまり知られていない曲を紹介してあげたい。http://www.youtube.com/watch?v=iwB4rt7cItc でも、あまり難解なものや、単純すぎる物、彼のベストでは無いものを選曲してしまって、彼について間違った印象を残してしまってはいけない! 選曲にこんなに責任を感じ、悩むのは久しぶりです。自分の美的センスが問われる作業です。 他に、やはり武満徹(1930-96)はどうしても入れるべきでしょう。 時間的には、あともう一人くらい選べるのですが、これが又難しい。 色々考えています。 滝廉太郎(1879-1903)の「メニュエット」と「憾」と言うそれぞれ2分30秒くらいのピアノ曲があります。彼は結核で亡くなっており、病気を広げないために未発表の作品は全て焼却処分になったそうですが、メニュエットは初期作品、「うらみ」は遺作だったのと、彼自身は途中で断念した留学先で知り合った日本人女性のために書いた曲であったため、彼女の元に郵送されて、残ったようです。従って、この曲を弾くか、滝廉太郎は断念するか、と言う選択になります。私は「メニュエット」方が好きです。 滝廉太郎は音楽での日本国費留学生第2号で、第一号は幸田延と言う女性です。彼女は残念ながらピアノ独奏曲を残していませんが、ヴァイオリンソナタなど、多数作曲もこなしました。彼女が作曲した横浜平沼高校の校歌は聴いたらびっくりしますよ。(幸田延は山田耕作も、滝廉太郎も教授しています) 後半は、「東洋」に触発されて書かれた曲たちです。 トップバッターはラモー(1683-1764)のオペラ・バレー「インドの優雅の国々(Le Indes Galantes)(1735)」からの抜粋を作曲家自身がハープシコードのために編曲した曲集からさらに抜粋します。このオペラ・バレーのあらすじは、『破壊的な戦争では無く、愛を!』と言うメッセージの元に愛の妖精たちがそれぞれトルコ、ペルー、ペルシャ、そして「未開の土地」に行き、恋人たちの縁を結ぶ、と言う筋です。このあらすじは色々、意味深です。まず、ヨーロッパから見た「東洋」の大義。それから器楽曲(歌とは違って言葉を要しない)の国境・文化・言語を越えた共通性の大義。実際、最初は歌の伴奏として発展した器楽曲が独立したジャンルを確立する過程にはそう言う思想がありました。 それから、沢山の小品を弾きます。(順番はまだ未定) バルトークの「アレグロ・バルバロ」。バルバロというと、北アフリカのイスラム系の人種(ムーア人)が住む地域になります。英語で「Barbaric」と言うと「野蛮な」と言う意味になりますが、語源はこの地名なんですね。シェークスピアの「オテロ」の主人公はバルバロ出身のムーア人ですし、ストラビンスキーのぺトルーシュカにもムーア人が出てきますよね。でも、このバルバロも「東洋」に入っちゃうんです。ちなみに大きな意味ではユダヤ人も、ジプシーも「東洋人」です。 それからスペイン出身の作曲家、アルベニスの「Orientale」、ラヴェルの『マ・メール・モア』より「パゴダ(多重の塔)の女王レドロネット」、ブゾー二の「テューランドットの居間(曲集『エレジー』より)など。 そして最後はやはり東洋音楽を西洋音楽にとり入れることを一番積極的に開拓したドビュッシーの『映像』二巻目。 どうでしょう?曲目のご指摘などございましたら、どしどしお願いします!

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演奏の翌日

演奏会はどういう結果でも非常な集中と凄いエネルギーを否応無く要します。 特に昨夜の演奏会の様な演奏会、ただ要領よく『仕事』 -正しい音を正しいタイミングでそれまでの音楽人生で培った音楽的センスを応用して演奏すること― するのでは無く、それまで培って来た自分の音楽的センスと正直に見直し、自分の音楽に対する理解を出来る限り事実確認し、一つの曲、一つのプログラム、一つの演奏会場に置いてもう一度音楽に置ける自己のセンスと言うものを確立し直すような演奏会の翌日は、くらげ状態です。 演奏会は成功だったのです。大成功と言っても良いかも知れません。教授が何人も来てくれた他、学校の友達、シェパード音楽学校に関心を持つ沢山のコミュニティーの方々、日本人コミュニティーの方々、教えているクラスの生徒、多くの方に聞きに来ていただき、最大級の祝福を頂いて、喜んでいただきました。この演奏会のために曲を書き下ろしてくれたクリスは、「自分の曲がこんな素晴らしい演奏と演奏家に恵まれるのを生で聞けるのは一生に一度かも知れない」とまで言ってくれました。一緒に打ち込んだ共演者も笑顔で抱擁を交わして、演奏後の楽しい食事会では笑い声が絶えませんでした。でも、まだまだ課題は残っているのです。私は本当に演奏に打ち込んでいる時、自意識に負けてポっこリと音をミスしてしまったりします。ここぞ!と思うところを上手くこなして一瞬気を抜き、その瞬間に音をミスしたり、タイミングを逃してしまったりすることもあります。その自責の念に駆られてくらげになってしまうのか、くらげになるくらい疲れているから、どうしてもネガティブ思考になってしまうのか… でも、「くらげ状態」に甘んじている時間は最小限にしなくては。明日はもう一つの世界初演があります。締め切りの迫るペーパー、この夏のプログラムの練習開始、税金申告は4月15日、そして勉強、勉強、勉強、練習、練習、練習! 人生が一つの演奏会ごとに終わっていたら大変です!演奏会は通過点、長い音楽人生の成長の過程の一ページでしかありません。さあ、朝は日光を浴びてキャッチボールをして、汗を書きました。このブログを書きながら、甘い物も食べました。さ、さ、さ!頑張るぞ!まだまだ、まだまだ人生は長いのです!これから色々楽しいことがあるのです。

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今朝、今日、これから

朝食を取りながら、このブログを書いている。 朝食は具の方が汁よりずっと多い味噌汁!ちゃんと煮干で出汁を取りました。 具にはは人参、玉ねぎ、長ネギ、えのき、干ししいたけ、マッシュルーム、サツマイモ、キムチ、ワカメ、そしてキムチと卵! この頃忙しくて一日2食が多いので、食事の時は努めて健康的にバランス良く頂くよう、心がけています。 今日は11時から1時まで、3月17日の世界初演のためのリハーサル。ヴァイオリンと、打楽器とハープシコードのための曲で芭蕉の4つの俳句に基づいた、4楽章の曲です。5と7をリズムと拍子に多分に用いているほかは特に日本的なところが在る曲ではありませんが、とても軽快な楽しい曲。私の学校の音楽理論の教授による作曲。この初演で共演させていただくヴァイオリン教授が委嘱したそうです。 1時から2時までは私自身の「非音楽専攻のための音楽理論」の授業の中間試験! 対位法の試験です。ルールがいっぱいあるので、生徒も大変。 2時から4時までは3月15日にある室内楽のリサイタルのためのリハーサル。クラリネットとチェロとピアノのためのトリオと言うのは、あまり多くないのですが、ベートーヴェンの若い作品11、晩年のブラームスの作品114がそれぞれピカイチです。約100年を隔てるこの2曲の比較検討を通じて、この二人への考察、さらにこの二つの時代の考察を深めるのは面白いです。そして、このリサイタルでは私の2年先輩の音楽博士、クリス・ウォルクザック氏によるクラリネットとチェロとピアノのための「Animusu non Regimusu」の世界初演もあります。3つ合わせて、1798年から2013年まで300年以上をカヴァーしているのです。感慨深いです。 その後はスケジュールは空いていますが、する事はどっさり!3月15日のプログラム・ノートは絶対書かなければいけません。生徒の試験の採点。練習も3月15日と3月17日の曲だけではなく、この夏のプログラムもそろそろ譜読みを始めています。3月29日に第一稿が締め切りのプロコフィエフのオペラ、「三つのオレンジへの恋」に置ける日本の影響のリサーチ(まだオペラそのものも見終えていない!)。そして勉強!来年の博士課程の最終試験への試験勉強が中々まとまって始められていないのが、そろそろ気にかかり始めています。さらに、博士課程の自由研究でYoutubeに載せるヴィデオを自分で録画・編集・公開することになっています。先週の日曜日に約8時間かけて15エピソードを録画、月曜日と火曜日で計8時間かけて編集したのですが、昨日の夜はじめてヘッドフォン無しで自分のノートパソコンのスピーカーで再生してみてびっくり!音がとても遠い。どうしたら良いのでしょう。多分、音声を画像と切り離し、なんらかのソフトウェアで加工してノイズを減少、音声を大きくした後、もう一度画像に合わせるのだと思いますが、そうするとしたら、8時間の編集の苦労は水の泡になってしまう可能性が… ここにサンプルを貼り付けます。読者の誰かで、こう言うことに詳しい方がいらしたら、アドヴァイス、お願いします。 音楽人生、冒険に満ち溢れています。今日も、頑張るぞ!

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今日はこんな日でした、その二

今日は予定がきれいに埋まっているとても多忙な日でした。 6時半に起床。身支度と簡単にメールチェック。 7時半登校。 8時にリハーサル開始。 8時半にリサイタルのPreview―これはこの学校特有なのですが、学位をとるための学校での演奏は3人の先生の前で本番前にプログラムを全曲通し、アドヴァイスを頂いて、お許しを得てからやっとリサイタルを正式に行う権利をもらえます。今日はそのプレヴューだったのです。皆のスケジュールやホールの空き具合から、朝8時半と言う音楽家にとっては非常な早朝になってしまいました。一緒に共演してくれる子、譜めくりをボランティアでしてくれる子、そして朝早い登校をして私のプレヴューを聞いてくださる先生方。せめてもの気持ちでベーグルとコーヒーの出前を取って振舞ったら、とても感謝されて、凄く雰囲気が和み、良い会となりました。演奏はまだまだ来週の本番まで課題を残す物で、先生方からも貴重なアドヴァイスを沢山頂きましたが、でもとても楽しく共演することが出来ました。 10時半にPreviewが終わり、許可を頂いたので、正式に来週末の本番を登録するための書類手続き。 10時50分からは、毎週火曜日と木曜日オペラのクラスがあります。今やっているのはリヒャルト・ストラウスの「エレクトラ」(1909年初演)。ギリシャ悲劇に基づくオペラですが、『サロメよりも残酷でえぐい』と言う批評家も居るほどのストーリーです。面白い。 12時からは、音楽理論の講義を聴講しました。この講義を行ったのは私と同い年くらいの若い女性。今、私の学校は楽典の教授を探していて、これから最終専攻に残った人たちが学校を訪れ、面接のほかにそれぞれのリサーチについて講義し、実際に教室で教え、時には演奏もし、自己アピールをする機会を与えられます。この女性は1930年代のウィーンで最初に音楽と心理学のつながりを提唱したクンストと言う人の書いた本に付いて講義をしました。 1時からは、他の3人の博士課程の学生と一緒にこの女性をお昼ご飯に招待(学校のおごり)。彼女に生徒代表と話をする機会を与えることで、学校について気兼ねなく生徒の言い分を知り、質問などが出来るようにしてあげる。さらに、これからこういう面接を受けるであろう私たちが、彼女の話しを聞いてこういう過程について学ぶことが出来る。そして最終判断をする学校の教授たちは私たちの彼女の印象を参考にする事ができる、と言うことで、学校のおごりで私たちはお昼にありついたわけです。インド料理を食べました。美味しかった! 2時半から5時までは図書館でのリサーチ。今年の夏用の日本の曲目、来週末のリサイタルのプログラム・ノート、3月末に第一稿が締め切りのリサーチぺーパー(プロコフィエフの「三つのオレンジへの恋」をやります。プロコフィエフはロシアからアメリカに移動中、2ヶ月間日本で船を待つために滞在しているのですが、この台本はこの旅行中に書かれ、作曲は日本滞在の直後に書き始めています。日本文化に触れた影響をこのオペラに見出すことは可能か、と言うのが私のリサーチトピックです) 5時からは毎週木曜日は私の7歳の生徒のレッスンです。サラと言う名前の赤毛の女の子でとても可愛い。 6時から8時までは3月17日に世界初演演奏をする曲のリハーサル。 家に帰って、シャワーを浴びて、軽食を取りながらこのブログを書き、これからバロック時代の鍵盤楽器のための曲の歴史(フレスコバルディからスカルラッティまで)をまとめます。私たち博士課程3年目の生徒は来秋、博士課程の最終試験があります。音楽理論4時間、音楽史4時間、そして専攻(私の場合ピアノ)4時間、系12時間の筆記試験が3日に渡って行われます。その準備のため、毎週一回有志で集まって勉強をします。それぞれ毎週トピックを決めてプレゼンテーションを行うのです。いつもこのスタディー・グループのための勉強は後回しになってしまいます。明日の12時に皆で会う予定です。あと14時間でどれだけの情報を消化して、まとめることができるか!よーい・ドン!

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