August 2014

ロビン・ウィリアムスが自殺をしました。

日本で食べたイチジクが大変美味しかったので、 昨日、こちらでもBlack Fig(黒イチジク)なるモノを買ってみたら、 「美味しい、美味しい」と一緒に食べた日本の家族に申し訳ないくらい、 さらに美味しかった! びっくり。 家族で毎日寝食を共にしていた生活から一転。 新アパートのルームメートは旅行中で、ずっと一人の時間が続く。 入居の作業や転居に伴う手続きの数々、 新学期の手配や買い物の合間に、 練習や論文のリサーチをやっていて 忙しく、結構楽しく過ごしているのだが 毎日ワイワイから急に一人暮らしは、ちょっと不思議な感じ。 悪くない。 でも、不思議。 家族のスケジュールの合間にする練習と、 用事は沢山あるのだが全てが自分本意の生活でする練習とは まったく違う。 両方とも良い点と良くない点があるが、結局は自分次第。 と、前書きはさておいて。 ロビン・ウィリアムズ(63)の自殺はアメリカではかなりの衝撃を持って迎えられている。 天才と言っても良いくらいの才能の持ち主。 アメリカで私の世代の物は皆、 グッドウィル・ハンティングとか、ミセス・ダウトファイヤーとか 彼の映画を観て育っている。 まあ、ちょっと考えてみると彼のコメディーは躁っぽいな~とか、 思い当たる節が無きにしもあらずだけど、 しかし、ショックだった。 でも、比べるのもおこがましいが、私も演技をする一人の人間として その苦しさはちょっと分かるような気がする。 もっとずっと若かった頃、 試行錯誤の一つとして、演劇のクラスを取ったことがあった。 色々学んだが、一番心に残ったのは 先生が話してくれたある有名なシェークスピア俳優の話し。 物凄い成功の舞台のあと、付き人が楽屋で泣いている本人を発見。 「あんな成功の後で、何で泣かれるんですか」と聞くと、 「成功する時に何で成功しているか、自分には全く分からないから もう二度と成功出来ないかも知れない、といつも怖い」 と言って泣きつづけたそうです。 ロビン・ウィリアムズはディズニー映画「アラジン」のジニー役もやっています。 このTwitterが今、Facebookで彼の冥福を祈って、まわされています。 https://twitter.com/TheAcademy/status/498996314395246593/photo/1

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リサイタルは儀式!?

私の博士論文のトピックは「ピアノ演奏に於ける、暗譜の歴史」である。 暗譜演奏を定着させたのは、リストとクララ・シューマンと言う事になっている。 ちなみに、今日のピアノ・リサイタルのフォーマット ―2時間の、休憩を挟んだ独奏― を定着させたのもこの二人、と言われている。 (実際はリストがロンドンで1840年に行ったのが最初と言われている。クララ・シューマンは、リストに着想を得て、1844年に初めて『リサイタル』を行っている。これはこのフォーマットの方がより良いと思った、と言うよりは、それまでの伝統―他の楽器奏者や時には役者や劇団を雇って合間に演じさせる―は手配も大変で出費もかさむから、だったようだ) この二人とこの時代について言及してある、と言う事で 実際には暗譜については一言も触れられていなかったが 読んで見たら、面白かった。 The ritual of music contemplation: An anthropological study of the solo piano recital as cultural performative genre Pedroza, Ludim Rebeca http://search.proquest.com.ezproxy.rice.edu/docview/305478050/abstract/D02ACCDCA0A44617PQ/10?accountid=7064 まず、リサイタルと言うものの意義について問いかけます。 今の世の聴衆にとって、音楽を楽しむ、または知る上で、どれだけ有意義で有効なフォーマットか。 ピアニスト自身は、まるでリサイタルを演奏することがピアニストである証明のように 学生時代はその為に練習を重ねるが、実際の収入をリサイタルで得ることになるピアニストはわずか。 ならなぜ、ピアニストの教育で、リサイタルにこれまでの重点が置かれるのか。 まさに! 次に、リサイタルとは、むしろ儀式ではないか?と、問いかけ、儀式の定義を行います。 主に人類学者Victor Turner(そして補佐的に、人類学者Eric W. Rothenbuhler)の研究を基に、儀式とは二つに区分けられる、とします。 1.アフリカの部落のような小さく、工業革命の影響を受けていないコミュニティーに置ける、全員が参加を義務付けられる儀式。(例えば日本の伝統的なお祭り、教会の祭典、など)。これは、コミュニティーの日常から離れ、また日常の良さを確認して、戻るための役割がある。(Liminolity) 2.工業革命後の、大きな社会に置ける儀式(演劇、舞踏、スポーツイベント、など)-余暇にどの『儀式』に参加するかは、個人のアイデンティティーをつかさどる大きな要素。この『儀式』は日常から距離を隔て、日常や現実の正当性や、現状はどう変化できるか・するべきかと言うアイディアの提示などを行い、革命などに繋がることもある。(Liminoid) そして、では、リサイタルとは1と2のどちらに属すのか? 彼女は歴史を追って、リサイタルは儀式2から儀式1へ移行している、と意見を述べています。 もう一つ、この論文で面白かった点。 リスト対クララ・シューマンで、リサイタルは全く違う役割を果たしていた。 リストは自分の超絶技巧とスター性を見せびらかすために 聴衆を自分だけに集中させる2時間が欲しかった。 しかし、クララ・シューマンは音楽を崇高な物として、「娯楽」から遠ざけようとした。 その違いが選曲にも、演奏法にも、明らかだ、と言うのです。 私は明らかにクララ・シューマン線で今まで来ました。 しかし、最近、私にリスト線の選曲をリクエストする人が出てきているのです。 私はピアノ演奏をスポーツを見るような感じで技巧だけに感嘆して欲しくない、と言う思いから 例えばリストの『ラ・カンバネラ』などの曲を今まで避けてきました。

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引越し

実は日本に帰国する前、それまで住んでいた場所を引き払ってきていた。 今、新しいアパートに入居しつつある。 自分の持ち物を全て整理するのだ。 一つ一つの物を検証してそれぞれ属する場所に区分けしていくのは、 結構満足感の得られる作業である。 長年探していた書類がひょっこり出てきたり、 思いがけない昔の品にしばし思い出に耽ったりする。 荷造りをしている時は何しろ日本での演奏も迫っていたし、 時間も心も余裕が無かった。 心の友のMさんに手伝ってもらって、 機械的にあるもの全てを箱詰めしただけだったけれど、 今回は時間も心の余裕もある。 それにこれから一年は私の博士課程の勉強にとっても 演奏家としての活動に於いても、 さらには教授となるための就職活動に於いても とっても大切な時である。 自分ができるだけ自信を持って気持ちよく生活できるように 家具の配置からこまごまとした物の整理まで 習字の前に墨をするように、 心をおちつけながら きちんとやって置きたい。 そうやってアパートの整理をしていたら 引越し魔ベートーヴェンの事を思い出した。 彼は半年に一度の割合で頻繁にせわしなく引越しをしたそうだ。 家賃を払い忘れた、 近所と騒音のことで喧嘩になった、 治安が心配だった、 などなどの諸説の中には 「掃除するのが面倒だったから引越しした」 なんて説まで… そんなに引越ししてもちゃんと作曲したんだから、偉いよな~。 私も明日はまたきちんと練習します。 そして、論文にもかかります!

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ミュンヘンにて

チェックインカウンターのきれいなお姉さんもびっくり! 私も考えれば考えるほど摩訶不思議。 なぜ、日本からヒューストンに行くのに、ヨーロッパ経由で、 しかもそれが一番安いチケットだったの? 何にせよ、ミュンヘンに居ます。 羽田からミュンヘン、ミュンヘンで16時間待機後、ヒューストンへ! ミュンヘンでは空港で寝て、文献や楽譜でも読むかな~と、思っていました。 私にとっても過保護な父も「危ないことはしないほうがいいよ、うん、できれば動かないで、ずっと同じところに座っていな!」と言う意味のことを一生懸命言っていましたし。 でも、着陸直後の機長からの放送で「現地の気温は25度」と聞いて、 そう言えば、ヨーロッパは結構行かせてもらっているけど、 ドイツは2002年以降じゃん、ドイツの空気吸うだけでも違うかも、 音楽家としては、やっぱりこういう見聞のチャンスは逃しちゃだめだよね! と、急遽ミュンヘンにちょっとだけミニ旅行することにしました。 5時30分の着陸後、空港内で変圧器を買ったり、色々してたらもう6時過ぎ。 そしてミュンヘン市内までは電車で48分もかかると判明。 (まあ、いいか、電車の中では文献でも読んでいよう!)と開き直っていたら、 次の駅で私の真向かいに座ったおば様がとっても人懐こそうで、 一生懸命目を合わせてくるのです。 「私はミュンヘンは初めてなのですが、ミュンヘン在住の方ですか」 と声をかけると、 「私は英語が下手なのだけれど、でもミュンヘンに住んで35年になります」 と、一生懸命ミュンヘンの見所について説明してくれました。 ベルリンに住むお孫さんを一週間預かったあと、 親元に送り返すために空港に見送りした帰りだとか。 会話をしていたら48分はあっと言う間に過ぎてしまいました。 そして、ツーリスト・インフォメーションで教えてもらったマリアン・プラッツに到着。 そしたら、おば様も一緒に降りてくるのです。 (乗り換えするのかな~)と思いつつ、一緒に歩いていたら 「夫には1時間遅れて帰ると、さっき電車の中で伝えたので、ご案内させてください」 と、色々な建物や歴史的な場所に案内してくれました。 そのご好意にびっくり! 街角では、タンゴや、音楽学生らしい4人組の四重奏や、アコーディオン2重奏など、 兎に角生の音楽がいたるところで演奏されていて、 しかも人々が立ち止まってちゃんと聞き、そして2ユーロをバンバン上げている! なかでもアコーディオンのデュオは、ヴィヴァルディの四季や バッハのトッカータとフーガのニ短調など、息がぴったりで驚異的でした。 私も4重奏とアコーディオン・デュオに2ユーロずつ上げてきました。 とっても良い思い出になりました。

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羽田にてーありがとうございました。

昨日の美浜文化ホールでの「ショパンToジャパン」のリサイタルを無事終え、 今、家族に見送ってもらって羽田の警備を通り抜け ゲートでこれを書いています。 感謝の気持ちで一杯です。 音楽をやっていて本当に良かった。 演奏会と言うのは、それぞれが私にとっては本当に一大事です。 うまく行けば(ああ、なんて素晴らしい人生だ!)と思いますし、 不本意な出来の時は(ああ、私は一体何をやっているんだ)と本当に落ち込みます。 でも、私が今にこにこと羽田で搭乗を待っているのは、 昨日の演奏会が沢山の方にご来場いただき、 しかもその一人一人のお顔が演奏後、壇上から本当に嬉しそうに見えたから、だけでは在りません。 私の周りの人々に志を理解してもらえて、価値を見出してもらって、 そして多大なご助力を頂き、 うまく行かない時には励ましてもらい、 うまく行った時には一緒に喜んでもらっている。 私が音楽を通じてやろうとしていることは、 今の資本主義、効率主義の世の中からは少し外れていることだと思います。 だから、心細く成ることもあるのですが、 でも、こんな私を力いっぱい支援してくれる家族や親戚や友達や聴衆が私を囲んでくれて、 そして本当に大変な演奏会の企画・実行を進んで手がけてくれ、 一緒の道を歩んでくれる中仲間にも本当に恵まれて、 私は、本当に幸せ物です。 リンカーンが暗殺された、と言う史実は有名ですが、 彼が観劇中に暗殺された、と言うことは結構無視されます。 リンカーンは南北戦争や、奴隷解放論争の大変な時にも 週一の観劇を欠かさなかったそうです。 そう言う文化に触れる時間が自分の中の人間性を確認させてくれるから、だそうです。 チャーチルは第二次世界大戦中、経済困難に陥ったイギリスの窮地を救うため 文化活動の予算を削る、と打診された時、 「そんな事をしたら、何のために戦っているのか、皆忘れてしまう」 と断固反対したそうです。 工夫も上達もいつも必要です。 これからもずっと試行錯誤して、 どうしたらより多くの人に心から楽しんで音楽創りりに賛同してもらえるか模索しながら進行しますが、 でも、私は間違っていなかった、と思わせてくれる一ヶ月の日本での活動でした。 少なくとも、私の人生は音楽の道を歩んできたお陰で 本当に大好きな人たちに「大好き」と言える機会を多く持ち得ています。 これからまたヒューストンで活動と、模索を続けていきます!

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