タングルウッドでの演奏、その8
7;30 身支度、朝食、キャンパスに移動 9 練習、リハーサル、 10 研修生による現代曲フェスティバル演奏会で、演奏 1 お友達と芝生でピクニック 2;30 ボストン交響楽団(ショスタコーヴィッチ・チェロ協奏曲、ヨーヨー・マ独奏、J.Kuerti指揮) 4 お友達と芝生でワイン 5;30 寮で夕飯 8 研修生による現代曲フェスティバル演奏会。 今日は、キューバ出身の女流作曲家Tania Leonの"Singing Sepia"の演奏が在った。 ソプラノ、クラリネット、ヴァイオリン、とピアノ4手の為の曲で、 詩はRita Doveの奴隷制度に虐げられた女性の視点から書かれたもの5点を取り上げている。 私はこの曲の楽譜を見た時から、「指揮者がいなくちゃ出来ない!」と思い、 この曲用の指揮者が割り当てられていないことを知ってからは、 リハーサルが始まる前から私は「指揮者が要ります、指揮者なしでは弾けません」と騒いでいた。 例えば、 一人の奏者がカデンツァの様な非常に速い、拍を数えるのが不可能な自由なパッセージを弾いている間 残りの奏者は一つのパターンを繰り返し、 その「カデンツァ」が終わったところでみんな一斉に次のセクションを始める、とか それぞれのパートを熟知するだけの時間と、リハーサルがあれば指揮者なしでも良いかも知れないが、 タングルウッドの限られたスケジュールの中では、指揮者がいた方がずっと簡単に楽譜を実現できる、 そういう曲だったのだ。 私が大騒ぎしたにも関わらず、最後の二回のリハーサルまで指揮者がいなかったのは、 作曲家自身が「この曲は指揮者無しで」と要望したからだが、 最終的に私と、アンサンブル皆の要望が受け入れられて、Stephen Druryが指揮をすることになった。 しかし、それまで指揮者が無くても なんとか一緒に、少なくともそれぞれの楽章を一緒に始めて終われるように それなりに合図とか、いろいろ考慮してリハーサルして来ていたので、 突然指揮者が登場して、大抵のところはずっと簡単になったもののかなりの調整が必要で、 最終リハーサルでは「今日のリハーサルの出来次第では、この曲は見送りにします」 と、リハーサルの始めに宣言されるまでに至った。 私の4手のパートナーのピアニストが全く現代曲の経験がなかったことも困難の一つの原因だった。 この曲は本当に本番が終わるまで、どうなる事やら開けてびっくり、と言う感じだった。 しかし、うまく行ったのだ。 ドレス・リハーサルと本番を聴いてくれた作曲家も満足してくれていた。 完璧とは言い難かったが、最終的には的確さよりも、 詩と、詩からくる感情、雰囲気を大事に演奏しよう、と皆で頑張って 今までのどのリハーサルよりも皆で団結して、上手く弾けた。 良かった、良かった。 お客さんも喜んでくれたし。