凄い日!
今日はたくさん凄いことが在った。 まず朝、ボストン交響楽団のドレス・リハーサルを見学しに行った。 今日のプログラムはブロンフマンの独奏でラフマニノフの協奏曲3番と ショスタコーヴィッチの交響曲5番、指揮はマイケル・ティルソン・トーマスである。 リハーサルでは前から10列目くらいの鍵盤側の席に座って聴いていたが、 私たちを見つけたブロンフマンは、昨日の遭遇もあってか、オケのイントロ中に目礼してくる。 それだけで興奮なのに、リハーサル中に「聞こえる?」と目と手振りで聴いてくる。 本当は今夜の本番を控えて、抑えめに弾いているブロンフマンの音は、オケに負ける時もあったが、 まさか「聞こえません!」とは、絶対に言えない。 ブンブンと、頭を縦に激しく振って「聞こえます!聞こえます!」と何回もやった。 リハーサル中のブロンフマンはオケのテュッティの最中は、 難しいパッセージを鍵盤に指をあててさらったり、水を飲んだり、オケの団員と目くばせを交わしたり、 結構気が多かった。 そして、「これが彼にとってはメトロノームと練習するようなものなんだなあ」と思わせるような、 感情と、勢いをすべて排除して、正確にゆっくり目に通していた。 しかし夜の本番では、一転して物凄い演奏を披露したのだ。 何回も重心を鍵盤に乗っけるべく、お尻を浮かせ、テンポは計算されつくしているが 常に緊張感があり、そして勢い付けるところでは、オケを振り飛ばすかのような勢い! 終わった瞬間に、観客が地震の様などよめきを上げて、立ち上がった。 5回カーテン・コールが在った。 午後はアンドレ・プレヴィンの歌曲のドレス・リハーサルがあった。 アンドレ・プレヴィン出席だったので、普通のドレス・リハーサルよりも緊張したが、 彼はみんなを惜しみ無く誉めて、とても楽しそうにしていた。 マーティン・キャッツの公開レッスンがそのあと在った。 この人は有名な伴奏者で、今日はドイツ歌曲の公開レッスンだったのだが、 歌詞をいかに音楽に反映させるか、と言うことに重点を置く面白いレッスンだった。 コンサートのせいか、それとも充実感か、とても幸せな気分だ。