September 2009

アシスタント・指揮者に指名される!

この土曜日にコルバーンのオケの定期演奏会がある。 曲目はラヴェルの「道化の朝の歌」、ヒンデミットの「ウェーバーの主題による交響的変容」、 そして我が学校のチェロの教授、ロン・レナードのソロによる、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。 いつも学校のオケでアシスタントを務める人は、私の指揮の先生でもあるのだが、 去年、Pacific Symphonyの常任指揮者に任命されてから、学校のオケの演奏会に時々来れなくなった。 オーケストラには、指揮者のほかに指揮者のアシスタント、と言うのがいる。 この人は「指揮者に何かあった場合、飛び入りで指揮をする人」と言うことになっているが、 実際にはそういうことはまあ大抵無いので、結局サウンドチェックの時に客席を駆けずり回って、 オーケストラの音響のバランスに問題が無いか、チェックする人、と言うことになる。 演奏会で、一番の経費はホールの借用費だから、リハーサルは学校のリハーサル室でやって、 本番と、本番前のゲネプロだけ、会場で演奏する。 でも、ホール毎に音響と言うのは丸っきり違うし、 客席にどう聞こえているかと言うのは、実は舞台からは本当に分からないものなのである。 ソロのリサイタルをする時でさえ、これは大問題で、 私は手をパンパンと打ち合わせてみたり、大声で叫んでみたり、 ピアノをバン!と打ち鳴らして残響を聞いてみたり、いろいろするのだが、 弾いている自分の音を客席で聴くのは不可能だから、いつも不安な要素なのだ。 だから、友達に客席に座ってもらって弱音がちゃんと会場後方まで届いているか、 大きな音が大きすぎないか、細かい音がちゃんと歯切れよく聞こえているか、意見してもらう。 オケの場合は、それをするのが、アシスタントなのだ。 そして今回は私がそのアシスタント! 勿論、風邪の季節だし、万が一に備えて、ちゃんと指揮できるように勉強します。 本当に指揮できたら、凄いなあ! わくわく

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ロスの週末

ハリウッドがロスにあるのは、ロスの降雨量がアメリカで一番少なく、日照時間が一番長かったからだそうな。 その昔、映画に必要な照明を太陽に頼るしかなかった時代、ロスは最高のロケ地だったわけだ。 今では撮影は大抵屋内で、電気照明でやるので日照時間は映画製作にはあまり関係ないが、 その気候のおかげで私たちは、とても幸せな毎日を送ることができる。 大体いつもぽかぽかとお日さまが照って、9月後半から5月頃まで気温は10度と25度の間を行ったり来たりする。 (夏は地獄の様に暑いらしいが、私はまだ夏をロスで過ごしたことはない) そんな訳で今日は私はLAマラソンに向けてトレーニング中の友達に付き合って海岸に行ってきた。 友達が走っている間、自称未だに病み上がり中の私はのんびりと砂浜に座り込んで、 海を見ながらテレテレお勉強をした。 海岸は、学校からドライヴして20分くらいのところに延々と広がっている。 波の音を聞くのは本当に気持ちがいい。 2週間前サーフィンをしたときは、水は全然冷たくなかった。 今朝もサーフィンしている人が結構いる。 子供も水遊びしている。 ロスのもう一つ素晴らしい事は、いろいろな人種が同居しているので、 色々なお食事が体験できることだ。 土曜日の夜は友達の誕生日で、インド料理を食べた。 その時、エチオピア料理とインド料理の比較検討が話題に上り、食べたくなったので、 日曜日の昼食は今度はエチオピア料理を食べに行った。 エチオピア料理は、インジェラと言う発酵したパン生地を薄くのばして焼いた、クレープの様なパンをちぎって シチューの様に、色々なスパイスで煮込んだ野菜や肉を包んで、手で食べる料理だ。 スパイスを使って煮込むところがインド料理に似ている、と言えばそうだが、 スパイスの種類が違うし、そんなに辛くなく、うま味の要素がずっと多いと思う。 私は大好きな料理だ。 それにしても、ロスは日本系の店や料理屋が並ぶ「リトル・トーキョー」や 同じく韓国系が密集する「コリア・タウン」、 そして今日行った所はエチオピア料理屋ばかりが並ぶ一角だし、 同じようにタイ系、ベトナム系の地域、そしてチャイナ・タウンもあるし、 メキシコ人ばかりでお店の表示がみんなスペイン語の地域もある。 なんでこうはっきり分離するのか。 ちょっと車でドライヴすると、ハングル文字、中国語、スペイン語、など地域によって看板が違う。 本当に国際旅行をしているようだ。

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教えていて気付いたこと

今週は、私の恩師であるMr. Perryが演奏旅行で居なかったため、下級生のレッスンをした。 全部で7人教えたから、7時間のレッスンした訳である。 こんなに教えたのは本当に久しぶりで、しかも皆グリーグの協奏曲やブラームスの協奏曲(しかも2番!)など 凄い大曲をばんばん持ってくるので、本当に楽しかった。 こうやって立て続けに教えていると私たちの一般的な傾向と言うのが見えてくる。 例えば、暗譜が心元ない時、大抵皆左手からあやしくなって、そして崩れる。 私自身がそうなのは前から知っていたが、これは一般的な傾向らしい。 考えてみたらば、ある程度あたりまえで、例えば人間の耳は高い音に集中するそうだ。 だから、メロディーを受け持つ右手をより良く覚えているのは、よくわかる。 ただし、さらに突き詰めて考えていて気になったのだが、鍵盤の右に行くほど音が高くなるのは 私が知る限り初代鍵盤楽器からいつも一貫していたことだ。 どうして左に行くほど音が低くなっちゃいけないんだろう。 これはもしや右脳・左脳にかんけいがあるのでは!? そう考えると、皆が左手から暗譜を忘れていくのは非常に興味深い。 付け焼刃の知識で申し訳ないのだが、右脳は体の左半分をつかさどり、左脳は右半分をつかさどる。 その役割をまとめると 右脳=図形、音楽、全体像などをとらえる力、直観力 左脳=言語、分析、思考力 と言うことになるらしい。 音楽のメロディなどを聞き取るのは右脳です。だからピアニストやバイオリニストのようなプロの演奏家は,特に右脳がすぐれているように思えますね。ところが,プロの演奏家はかえって左脳がすぐれているといいます。音楽を演奏するには,メロディだけでなく,曲のテンポやピッチ,構成などを分析する力がなくてはいけません。これは,左脳の働きですね。プロの演奏家は,右脳だけでなく左脳もいっしょに働かせることによって,すばらしい演奏ができるのです。(教育文化社広島本社のHPより、http://www.edu-cul.co.jp/column/column7.html) 楽譜を読み取り、曲を習得する段階では左脳を主に使わなくてはいけない。 ただし、演奏する時は右脳中心にスイッチすることができれば、左手から崩れることはなくなるのでは? と、右脳を使って直観的に、あてずっぽうを好き勝手に書いてみました。 それにしても右手=高音、左手=低音、と言う公式は不可欠だったのか、疑問が残ります。

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一緒に聞く音楽

どんどん毎日元気になってくる。嬉しい。 気分が悪かった時は本当に部屋を出て学友と顔を合わせるのも億劫だったけれど、 今日は色々用事でみんなに会うことが多く在って、そのたびに何だか嬉しかった。 夜、お友達がお部屋に遊びに来てくれた。 Youtubeで色々な演奏や曲で好きな物を皆で紹介し合った。 私はこういう風にYoutubeで遊ぶのは初めてで、 Youtubeで音楽を聴くときはいつも部屋で一人だったけど、とても楽しい体験だった。 昔はむしろ演奏会で聴く生演奏よりも、完全に一人で音楽に浸りきれる録音の方が好きだったけど、 人、特に気心の知れた音楽仲間と一緒に聞く音楽と言うのは、全く違ってまた凄く良いものだ。 浸りきって一人で聴く音楽と言うのは、全く主観とすでに持っている知識だけの世界に集中することになるが 一緒に聞く音楽は、他の人の感性を受け入れる客観性を残して聞くから、全く別体験だ。 視野も、音楽世界そのものもぐっと広がる。 とても刺激的で、勉強になったし、何より楽しかった。 昨日から、旅行中のMr. Perryに代わって後輩のレッスンをしている。 皆とても才能があるので、ちょっとした意見を述べるだけでどんどん演奏が変わって面白い。 私も、張り切って、そして皆の音楽性に触発される。

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病み上がりの音楽

その圧倒的な名声により、後にポーランドの首相まで務めた、カリズマ・ピアニスト、パデレフスキーは 「一日練習しなかったら自分にわかり、二日練習しなかったら評論家にわかり、3日練習しなかったら聴衆にわかる」と言ったそうだが、これは私にも当てはまるだろうか? 今日は、ちょっと反対の体験をした。 今朝の寝起きは、すっきりと言うのは程遠かった。 目の奥が重く、眠くは無くてもいつまでも瞼を閉じていたい感じ。 でも、もう4日もピアノに触っていない。 後で昼寝をするにしても、とりあえず起きてちょっとでも朝のうちに練習したかった。 シャワーを浴びながら、身支度をしながら、何度もくじけてベッドに戻りたくなる。 ここまで休んだんだからあと一日大事をとって完治してから練習再開の方がいいのかも知れない。 でも頑張って、練習室まで自分を引っ張っていく。 始めはやっぱりもどかしかったけど、弾いているうちにどんどん元気が出てきた。 目が、耳が、指が、体が段々覚めてくる。 どんどん音が、音楽になって聞こえてくる。 どんどん指が軽くなってくる。 そしてベルグが、シューベルトが、ベートーヴェンが、バッハが全く新鮮に聞こえてくる。 凄い! 毎日練習していたら絶対分からない感動。 生きている、と言う実感、音楽家で良かった、と言う実感がふつふつと沸いて、 思わずにこにこしてしまう。 頭が痛くて、ふらふらしていた時は友達に笑顔で挨拶するのさえ面倒くさかったのに。 4日休んで、やっぱり良かったんだ。 そして、やっぱりピアニストになって、良かったんだ。

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