August 2014

ピアノ今昔物語

博士論文執筆に向けて、膨大な量の文献を斜め読みしている。 私のトピック「暗譜の歴史」については 驚くべきことに今まで全く研究された形跡が無く、 仕方なく18、19世紀のピアノ史を今読み漁り、 暗譜に少しでも関連ある箇所に記しをつけてまとめる、と言う作業をしているのだ。 文献の量は膨大で時間の制約もある。 それになんと言っても暗譜に言及している箇所が驚くほど少ない。 と、言うことでもうほとんど「暗譜、暗譜」とつぶやきながら頁をめくっている、 と言った感じなのだが、それでもちょっとは頭に入ってくる。 そして興味をそそられる箇所は「ああ~、時間~」と思いながら読み込んでしまう。 例えば、フランス革命後、『文化を庶民に!』と言うモットーの素、 今のコンセルヴァトワールが出来た。 その音楽学校の楽器と言うのは、実はギロチンの犠牲者、 あるいはギロチンの犠牲になることを恐れ逃亡した上流階級者の持ち物を まあ簡単に言えば、没収したものだったのである! 私の今読んでいる本は、その没収された楽器のリストにかなりページ数を裂いていて その楽器の種類とか、 革命前にどういう家庭がどういう楽器を持っていたのかとか むしろそう言うことに集中しているのですが、 こういう史実って、ちょっと怖い。 まあ、実際的な判断ではあるけれど、冷淡。 それから分かってしまうのは… 音楽っていつでもお金にならないんですね。 もうスター級に有名なピアニスト・作曲家でも、恋は多くても結婚が出来ない者のオンパレード。 相思相愛でも階級差別、職業差別などで、家族に反対されたりして、 結局独身で一生終えてしまう人が多い。 ベートーヴェンもまあ、そうでしたね。 彼の場合は難聴とか、性格的にも難しい事も在ったようですが。 そしてこういうスター級ピアニストでも、金策に物凄く工夫をする。 例えばクレメンティ、プレイエルなどは、 超有名ピアニストでキャリア・スタートを切るのだが、 結局ピアノ・セールスマンとか楽譜出版業に走ったりしてしまう。 そしてみんな膨大な量のレッスンを教えているのである。 駆けずり回って、と言う感じ。 朝の5時からレッスン!とか。 毎日9人の生徒の家から家へ徒歩で通う!とか。 いつ、練習とか、作曲とか、していたんでしょうか… 演奏の日も、教えていたんでしょうか… 練習もしていますよ~。 それから、ヨーガに通っています。 体が資本!

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正しい集中

『集中』と言うことについて考えながら超絶技巧の練習をしているうちに 何にどう、集中するかと言う選択の重要性も分かって来た。 ただ単に集中すれば良い、と言う訳では無い。 非生産的な集中、と言うのもある。 例えば、極論だが「間違えるかもしれない」と言う気持ちに集中するのは、 勿論、逆効果だ。 さらに過剰に細微に集中するのも、全体像が全く見えなくなり、逆効果。 バロメーターはミスタッチの数。 細微に集中~例えば指の一々の動きや筋肉の感覚、一つ一つの音~は ミスタッチ減少に役立ちそうで、逆効果なのである。 むしろ音楽に集中して(もう何十年と弾いているピアノ、指は鍵盤がどこにあるか知っているはず)と 大きく構えた方が、ミスタッチは減る。 『音楽に集中する』と言うのは、要するに 1.良く聞き、 2.タイミング、音色、歌いまわしなどに於いてできるだけ音楽性に富んだ選択をし 3.自分の肉体的能力を盲目的に信じ込むこと、だ。 3.に至るまでは勿論、 何年もの基礎訓練とか、 盲目的に自分の指を信じて音楽的に弾いてみる前の ゆっくりと音や、跳躍などの確認練習をする事や 色々条件が勿論ある。 しかし、そう言うステップを踏まえた後は、そう言うことを全て肉体に任せ、 意識は音楽へ集中! 切り替える、のである。 父が大好きな『スターウォーズ』(勿論、古いほう)で、 ルーク・スカイウォーカーがジェダイになるべき最初の訓練をオービーワン・ケノービーに受けている時 目隠しされたら、今まで出来なかったことが出来るようになる、と言う場面がある。 ほら、あの光の剣で、飛び回る機械からムヤミヤタラと出るレーザー攻撃をかわす、と言う訓練! あれを思い出しながら練習している。 そうそう、そう言う(いかにくだらなくとも)できるだけはっきりとしたイメージを持つ、 と言うのも集中にとってはとっても重要! 思わぬところで思わぬ経験・見聞が役に立つ物である。 ああ、スターウォーズを見といて、良かった~!!

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3枚目から2枚目へ移行宣言!

昨日、友達と話していて口から出任せだったのだけれど、 自分で自分の言うことを聞きながら (あ、これって「真実」かも!覚えとかなくちゃ)と思ったこと。 私も、私の友達も、クラシック音楽家と言えど、 いままでどちらかと言うと「ノダメ・キャラ」で来ていた。 いつもどたばたと、面白おかしく、詳細にこだわらず、がさつだけど大らか、みたいな。 でも、私は「色」とか「気遣い」「思いやり」「ゆとり」などから来る 「女性美」追求にギア・チェンジをしたい、と思うのだ。 理由は色々在って、今まで人や自分にきちんと説明したことも無かったのだが、 昨日の会話で言った出任せは、案外正当かも。 がさつをひょうきんでごまかして、面白おかしく出たとこ勝負で、と言うのは勢いが要る。 勢いは良いし、楽しいし、勢いがなきゃできないことも沢山ある。 でも、それは一生は続かない、と思うのだ。 これから段々成熟していくにつれて、色々得る物も多いと思うのだが、 一つだけ落ちていくことが決まっているのは、勢いだ、と思うのだ。 死ぬまで毎日、少しずつ進歩していくことを自分に課している私は、 勢い任せの3枚目より、 じっくりと追求できる「余裕」「細やかさ」「気配り」と言った 一呼吸置いたような「色」の方がずっとこれからの可能性を秘める成長株なのである。 これは、日常生活に於いても、音楽の解釈や演奏に於いても、全く同じである。 と、こういう話しをじっくりできる友達に恵まれていることは、幸せ。

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映画「ルーシー」を観ました

数日前のブログにも書きましたが 何時間も映画の予告編を次から次へとYoutubeで見てしまった晩 しまいには色々な映画がごっちゃになって来る中で一つだけ際立って 「絶対観たい」と思った映画を今日観てきました。 「ルーシー」です。 何故そんなに強く惹かれたかと言うのはむしろ勘的なものですが、 敢えて説明をするならば 1.演技派女優のスカーレット・ジョハンソンがアクション映画に出ている。 (クララ・シューマン系の私が今リストの『ラ・カンバネラ』を練習しているように) 2.脳の許容量を全て使いこなす女性、と言う設定に憧れを抱いた。 3.今模索中の「超絶技巧」の練習に役立ちそうに思えた。 技術的に難しいパッセージを物凄くミスタッチしてしまう時とそうでない時がある。 違いはちょっとしたこと。 肉体的、心理的、そして技術的な要素、 そして集中度と言う要素が在ります。 この集中度と言うのに、今物凄く注目していて、 この映画で何かヒントを掴めそうな気がしたのです。 う~ん、期待以上に凄い映画で、しかもとても私に役立った。 今、燃えています。 人間は脳のキャパシティーの10パーセントしか使っていないと言われています。 それが20、40、50、そして100パーセント使えたらどうなるのか。 スカーレット・ジョハンソン演じるルーシーは 麻薬を投与されて、意図せずしてそこまで到達してしまいます。 脳力がどんどん増すにつれ 「人間的で無くなっていくように感じる。 それまでの感情から遠く離れていく感じがする。 欲望が無くなる。死をもう恐れない。」 と、まるで禅僧のようなことを言います。 私は全くの凡人ですし、麻薬もやりませんが、 でも音楽を通じてこういう領域を垣間見ることがある、と思っています。 もう比べるのもちゃらちゃら可笑しいのかも知れませんが、敢えて。 映画:脳20パーセントの段階で、ルーシーは自分の体の全てをコントロールできるようになる。例えば、運動能力、メタボリズム、自己治癒能力、感覚の鋭敏化など。 演奏家:どんなに風邪を引いていて咳も鼻も止まらなくても、演奏中は出ない。花粉症でもくしゃみが出ない。すっごく眠くてもあくびが出ない。眠いのも、風邪で気分が悪いのも、花粉症で鼻がむずむずするのも、全部忘れてしまう。さらに、感覚が鋭くなる(遠くの音が聞こえる、人の気配に敏感になる、など) 映画:脳40パーセントで他の人を操れるようになる。(テレパシーとか、催眠術みたいに自分がさせたいことをさせられる、とか) 演奏家:演奏が上手く行っている時、本当に聴衆の呼吸とか、心拍数とか、呼吸の速さを、音楽と一体化させられる(と、思う―しかし、実際に医療現場で乱心拍の患者に音楽を聞かせるて、心拍を一定化する、とかリハビリ中の患者に音楽を聞かせて運動能力を高める、等と言うことが行われている) でも、確かにスカーレット・ヨハンソン演じるルーシーは 脳力が高まるにつれて、無表情に、冷たく(冷静に!?)なっていく感じがする。 ルーシーは物裡も数学も究極的に全てマスターしてしまう。 そして「でもこの知識をもってどうすれば良いのか、わからない」 とモルガン・フリーマン演じる脳科学者に相談する。 「伝達しか無い。人間、生物、そして細胞の、究極的な存在意義は伝達のみ」 と言われて、まあそうするのです。 (大丈夫、ここまで言ってもまだ全然映画の種明かしはしていません) 私に出来ることも、この音楽を通じて垣間見る、私自身も上手く説明が出来ない、 この超越的な「在り方(State of Being)」を 自分が音楽を通じて垣間見ることができるなら、 音楽の演奏を通じて他の人にも垣間見る機会が伝達できるかも、と信じるだけです。 奮い立ちました。 勇気付けられました。 そして、この主人公が女性、と言うのも、面白い。 なぜ、敢えて、女性、なのか。 私はその選択を多いに支援しますが、 でも、今の世相を反映しているようで、面白い。

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元気の素のリストアップ。

段々、回復しつつあるのを感じる。 論文書かなきゃとか、練習しなきゃ、とか思いつつ 何時間もYoutubeで映画の予告編を続けてみてしまった晩などは 本当に自己嫌悪なのだが、 そう言う時間もきっと必要としていたんだ、と自分に優しく、 前向きに、さあこれからはどうやったらもっと頑張って自分を好きになれるかな? と、自分を励ます。 有効なのは、楽しい外出。 友達と外で食事したり、 この前は公園でシェークスピアの「ヘンリー4世」の無料野外公演をやっていたので 友達と行った。 演劇自体は製作が良くなかったのか、シェークスピアにも駄作があるのか、イマイチだったが、 外の風はとても気持ちよかったし、 行きと帰りに思いがけずとても会話が弾んで、楽しかった。 もう一つ有効なのは、運動! 学校のジムで運動するぞ~!と張り切っていたら、 まだ秋学期の期間が来週まで始まらないと知って、がっかり。 でも、越してきた団地にジムがある。 あんまり機械とかは揃っていないけれど、 論文が進まずむしゃくしゃしていた時、 冷やかしのつもりで文献と鉛筆を持って覗きに行って、 マシーンでガシャガシャ心拍数を上げてきた。 爽快! そしてなぜか文献を読むのも非常にはかどりました。 病み付きになって、以来日課。 何しろ、階段下りてすぐのところにあるので、 読む文献が溜まってきたら下に行ってガシャガシャやりながら読んでます。 今朝は筋肉もりもりのお兄さんの筋トレに遭遇。 赤ちゃんが生まれるかと思うほどの力み方でした。 でも、気にしないで私もガシャガシャやりました。 さらに、食べ過ぎないこと。 時差がある時は食欲が非常事態。 全然食欲が無かったり、逆に夜中に空腹で目が覚めたりします。 今回は食欲が無い方でした。 自分でも信じられないほど、 普段食いしん坊の私の食生活が簡単な物になり、 でも結構調子が良い。 この頃は『良いものを少し』をモットーに食べています。 無農薬、無添加で健康な食材は害して値段が張るけれど、 その分量を食べなければ良い! 痩せてきたのも、楽しみです。 どこまでいけるかな~。

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